「お父さんは悪くないわ!私が酷いことをたくさん言ったの!」 「いや、僕は父親だから、娘の成長を理解してあげるべきだった…。それなのに親権もいらないなんて言い捨てて…。」 しかし隆一も首を振り、それに対して優希がまた首を振って否定するという、父娘で首を振りあうのが何度か続くと、痺れを切らした老夫人が間に手を入れて止めた。 「…三滝社長も、自分を責めることを止めれるように頑張っていきましょう。」 苦笑いをした老夫人がそう言うと、優希ははっと気づく。 (私もお父さんにはいつまでも自分を責めてほしくない…。昔を思い悩んだ顔をされるより、笑いかけてほしい。) 美緒もこういう気持ちということなのだろうか…。 そう考えていると、そばで静かに話を聞いていた和珠が口を開いた。 「優希さんはすでに自分を取り戻しつつありますよ。」 なんのことかと思い「…私が?」と言うと、口元に笑みを浮かべて頷いた。 「先日、ご自分の意思で、あの2人からの理不尽な扱いに抗うと宣言していたじゃないですか。」 「あら、そうだったわ!」 和珠がそう言うと、老夫人は手を叩いて声を弾ませた。 しかし優希は戸惑いの声をあげる。 「でもそれは怒りが上回っただけで、自信を取り戻したわけでは…。」 「ゆうちゃんが自分の人生を罪悪感で諦めなければ、なんでもいいのよ。自分が嫌だと思ったことを言える、理不尽なことに抵抗できる、そういう当たり前なことをできるようになれば、きっかけはなんでもいいの。」 優希の言葉を遮った老夫人だったが、その声は柔らかく、優希への温かい愛情が感じ
最終更新日 : 2026-06-12 続きを読む