――男が良い人間か、そうでないか。そんなものは、女自身の心が一番正確に量り分かっているのだ。飛鳥が二階へ上がってからいくらも経たないうちに、彼は再びリビングへと降りてきた。着崩していた服は完璧なスーツ姿に着替えられており、一目でこれから外出することがわかる出で立ちだった。彼の腕には、厚手のアウターがもう一着掛けられている。ソファに座る星歌を見つけると、飛鳥は無言で足早に歩み寄った。そして彼女の腕を強引に掴んで立ち上がらせると、手にしていたアウターを彼女の肩に強引に覆い被せた。「ちょっと、何をする気?」星歌は眉をひそめた。自分が出かけるだけなら勝手にすればいい。なぜ、わざわざ私まで連れ出す必要があるのだ。しかし、飛鳥もまた、星歌の行動によって完全に精神の限界を迎えていた。今の星歌は、一瞬でも自分の目の届かない場所にいれば――たとえ何十人の護衛を見張りに立たせようとも――どんな手段を使ってでも、飛鳥の世界から忽然と姿を消してしまう。だからこそ、彼は決めたのだ。これから先、どこへ行くにしても、絶対に星歌を自分の視界から逃さないと。「放してっ……!」星歌は必死に腕を振り払おうとしたが、飛鳥は彼女の手首を万力のように掴んだまま、強引に玄関へと歩き出した。「このイカレ野郎! 一体どこに連れて行く気よ!」玄関の土間に差し掛かったところで、飛鳥はピタリと足を止めた。「靴を履け」「絶対に嫌!」星歌は間髪入れずに拒絶した。こいつと一緒に出かけるなんて、冗談じゃない。星歌はただ、飛鳥が家からいなくなる瞬間を待っていたのだ。あいつさえ出かけてくれれば、その隙を突いて監視をすり抜け、自分の拠点である星墨山へ帰ることができる。こんな男とあと一分でも同じ空間にいたら、吐き気でどうにかなってしまいそうだった。「……そうか。じゃあ、俺が直々に履かせてやろう」「…………ッ」この、狂人……!ゾッとするほど冷たく、有無を言わせない強圧的な態度に、星歌は反論の言葉すら奪われた。「……どこへ行くのよ」どうしても連れ出されるというのなら、せめて行き先くらいは知っておく必要がある。飛鳥は短く吐き捨てた。「病院だ」「…………」――病院?どうせまた、夏蓮が何か騒ぎを起こしたのだろう。それ
Leer más