All Chapters of あの日、君と共に白髪を誓った夕暮れ: Chapter 21 - Chapter 22

22 Chapters

第21話

「そんなはずない。お前はまだ、俺を許してくれてないだけなんだ……」啓太は首を振り、菖蒲のきっぱりとした態度を信じようとしなかった。突然、スマホの着信音が鳴り響いた。画面を見ると、船長からの電話だった。啓太は立ち上がると、菖蒲に優しく言った。「迎えの船が着いたようだ。菖蒲、いい子だからここで待っててくれ。すぐに戻るから。そしたら、ここから永遠に離れよう」啓太は菖蒲をじっと見つめてから、踵を返して足早に倉庫を出ていった。倉庫の扉が閉まった瞬間、菖蒲は縄をほどこうと必死でもがいた。でも、啓太がきつく縛っていたから、びくともしない。その時だった。倉庫の側にある小さな扉が、音もなく静かに開けられた。そして、光を背にした人影が中に入ってきた。結衣だった。結衣は憎しみに満ちた顔で、毒を含んだ刃のような視線を、菖蒲に突き刺していた。「なんであなたがここにいるの?」菖蒲は、嫌な予感で胸がいっぱいになった。「私がどうしてここにいるのかって?」結衣は甲高い声で笑った。「菖蒲、私が手引しなければ、元夫さんと一緒に逃げるなんてこと、できたと思う?」菖蒲は眉間にしわを寄せた。「啓太と結託して、私を拉致したっていうこと?いったい何をするつもり?」菖蒲は、なんとか自分を落ち着かせようとした。「さあ、なんでしょう?」結衣は毒々しい目で言った。「あなたは私の婚約者とお父さんを奪い、本来なら私が継ぐはずだった近藤グループまで奪った!そんなあなたに、私が何をすると思う?」菖蒲は唇を引き結んだ。「今あなたがしていることが、犯罪だって分かってるの?」菖蒲は結衣を説得しようとした。「結衣さん、今すぐ私を解放してくれたら、お父さんの手前もあるし、今回のことは見逃してあげる。でも、そうじゃないなら……」結衣はヒステリックに笑った。「菖蒲、私があなたの言葉を信じると思う?」結衣の声はだだっ広い倉庫に響き渡り、不気味さを増していた。「私がどれだけあなたを嫌っているか、知ってる?毎晩、あなたをズタズタに引き裂く夢を見るのよ!」興奮のあまり、結衣は一歩ずつにじり寄った。「あなたさえ死ねば、お父さんはまた私だけを可愛がってくれる!私はまた、皆にちやほやされる近藤家のお嬢様に戻れる。近藤グループのたった一人の後継者よ!啓太さんも、克
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第22話

「お前のせいだ!全部お前のせいだ、このクソアマ!お前さえいなければ、俺と菖蒲はこんなことにならなかったんだ!お前が俺たちをめちゃくちゃにしたんだ!お前が騙したんだ!死ね!死んでしまえ!」啓太は狂ったようだった。結衣が悲鳴をあげて命乞いをしても、避けようとしてもお構いなしに、何度も、何度も容赦なく刺した。「気でも狂ったの?あ!やめて、やめてったら、やめて!啓太さん……ごめんなさい……許して……」結衣の罵倒は、やがて悲痛な命乞いに変わっていた。だが、その涙は啓太を我に返らせることはなかった。すぐに、結衣の服は血で真っ赤に染まった。彼女はぐったりと血の海に倒れた。啓太は荒い息をつき、血の滴るナイフを握りしめたまま、振り返った。彼は菖蒲を見た。「菖蒲……見てくれ……結衣は死んだ、死んだんだ!海外へ行こう、遠くへ。そして昔みたいにやり直そう、な?」啓太は期待に満ちた顔で、菖蒲に手を差し伸べた。「動くな!警察だ!」倉庫の大きな扉が乱暴に蹴破られ、突然現れた警察たちが一斉に流れ込み、冷たい銃口が啓太に向けられた。克哉が、警察たちのすぐ後ろから飛び込んできた。克哉は真っ先に菖蒲のもとへ駆け寄り、彼女をしっかりと抱きしめて体を確かめた。「菖蒲!大丈夫か?怪我はないか?」その声には、隠しきれない恐怖と心配が滲んでいた。菖蒲は克哉の逞しい胸に寄りかかり、静かに首を横に振った。菖蒲の視線は克哉の肩越しに、啓太が警察たちにあっけなく取り押さえられ、冷たい手錠をかけられる様子を捉えていた。啓太は抵抗しなかった。ただ、抱き合う菖蒲と克哉をじっと見つめていた。警察に無理やり連れていかれる間際まで、啓太は菖蒲の瞳に何の感情も読み取ることができなかった。その時、やっと悟った。菖蒲はもう本当に、自分を愛してはいないのだと。警察は啓太を連行した。刺された結衣は病院に運ばれ手当を受けたが、出血多量のため、そのまま息を引き取った。その後の捜査は、迅速かつ明確に進んだ。結衣が拉致を計画、実行し、殺意があったことは証拠からも明らかだった。結衣は既に死亡していたが、その罪は公にされ、名声は地に落ちた。啓太は菖蒲への暴行には関与していなかった。しかし、結衣に対する殺人行為は悪質であり、証拠も
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