新港市の空は真っ青に晴れ渡り、潮風が頬を撫でていく。啓太と結衣が泊まっているのは、最高級のペニンシュラホテルのスイートルームだった。ドアを開けると、結衣は嬉しそうに「わぁ」と声を上げた。リビングの大きな窓の外には、壮大な港の景色が一面に広がっていた。部屋には鮮やかな赤いバラが飾られ、ほのかに甘い香りが漂っていた。「気に入ったか?」啓太は、後ろから結衣を抱きしめると、その頭にそっと顎を乗せた。「好き!すっごく好き!」結衣は振り返って啓太に抱きつき、目をきらきらと輝かせた。「啓太さん、本当に優しいんだから!」啓太は結衣の額にそっとキスをすると、低く魅力的な声でささやいた。「お前が喜んでくれるなら、それでいい」結衣は、本当に嬉しそうだった。彼女ははしゃぎながら、啓太の手を引いて高級ブランド店を次々と見て回った。「啓太さん、これどうかしら?」結衣はダイヤモンドのネックレスを手に取って首元にあて、無邪気な笑顔を見せた。値札の数字に啓太は内心ぎょっとしたが、顔には出さずに言った。「きれいだね。気に入ったなら買えばいい」自分のカードを差し出しながらも、この支払額が会社のプロジェクト何件分の利益になるのか、心の中で計算してしまっていた。啓太はゼロから会社を築き上げてきたので、一円稼ぐことの大変さを身をもって知っていた。会社が大きくなった今でも、どちらかというと質素な生活を続けている。だが、結衣は違った。食事は有名な三ツ星レストランじゃないと嫌がり、移動はホテルの高級車での送迎か、ヨットの貸し切りを要求した。湯水のように金を使う結衣のやり方に、啓太は少し居心地の悪さを感じていた。彼は自分に言い聞かせる。結衣は近藤グループの令嬢で、何不自由なく育ってきたんだ。だから金銭感覚が自分と違うのも当然だと。健二から投資を引き出すためだ。我慢するしかない。だが、啓太が我慢しなければならないのは、結衣の金遣いの荒さだけではなかった。そのわがままな性格もだった。夕食の時、ウェイターがうっかり結衣のスカートに赤ワインを数滴こぼしてしまっただけで、彼女はカンカンに怒りだした。結衣はウェイターを怒鳴りつけた。「なにしてるんですか?目がついてないんですか?」結衣の声は大きく、周りの客たちが皆いっせいにこちらに注目した
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