All Chapters of イジメられっ子世に憚る。: Chapter 31 - Chapter 40

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第31話

 行く先々で俺は歓待を受けた。…がしかしこの子だ――――‼という子には巡り合っていないんだよなぁ。 向こうの親御さん(特に男親)に、「うちの娘は嫁にどうでしょう?」みたいなことをよく言われたけど、男親ってアレだ。「うちの娘は嫁にやらん!」っていうのが定番じゃないのか?その辺がよくわからん。 俺の身分は平民だし、職業は無職、現金は持ってないなぁ。って男に何故嫁がせようとする?俺を歓待してくれるのは有難い。食事は美味いし(媚薬が持ってあるかもだから、事前に解毒済み)、布団もフカフカ。の貴族様が何故平民の俺?不思議でならない。 俺の強さをもってすれば、すぐにでも一国の騎士団の団長くらいになれるかもしれないけど、書類仕事は嫌だ。 うーん、医者とかできるかもなぁ? 魔法で解決できるし。医者って国家資格なんだろうか?その勉強はしなきゃなんないんだろうか?どこの国家だろう? そこら辺は結婚してから考えよう。 この俺みたいな男と結婚したいと思うような奇特な嫁さんに巡り合うための旅だし。 そしてとうとうやって来た大陸の果て! うおぉぉ、海だ!ここからは船旅だろうか?「すいませーん、この海から船って出ます?」「兄ちゃん、漁師かい?それにしちゃあ、細っこい腕してるなぁ。日焼けもしてないし」 モヤシっ子なんです。「今日の漁は終わったよ」「いや、漁じゃなくてですね。俺は東に旅をしているので、ここからさらに東へと行けないものかと……」「兄ちゃん、地図をちゃんとご覧。ここが東の果てだよ。これ以上東には何にもない」 そうかなぁ? この国(なのかな?)の人達が着てるのは中国っぽい服だから、この先には日本っぽい島国があるんじゃないかなぁ? 俺は郊外に行って、角笛を吹いた。「どうした?」「いや、東はこれで終わりっていうけどさぁ。島国がこの先にあると思うんだよねぇ」「元の世界知識か?」「元の世界がその島国だからさぁ」 そういうことで、龍己に乗せてもらって、海の上をひとっ飛び。「あー、やっぱり島国あんじゃん。あの人達はまだ知らないんだなぁ」「おお、我らが知識を先取りか?」「そういう事になるね」 龍己が喜んでいる。先取りって事がいいのか?「あ、そうそう。あの国、ドラゴンの事を嫌ってたり、崇めていたり、いろいろだから、注意した方がいいよ」 郊外で龍己か
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第32話

 正直なところ、胸のあわせのところにいる龍己が鬱陶しい。女性の着物のように袖があったら袖にしまうのに…。「お前か?何やら奇怪な術を使うのは」 何時代なんだろう?俺達は連行された。とはいえ、連行しているやつも俺がその気になれば…というやつだし(殺人はしたくないから眠らせるけど)、どこに連れて行かれるんだろう?「ヒメ!怪しげな術を使う男を捕らえてきました」「うむ、下がってよいぞ」 これは……昔は日本でも一重で切れ長の目が美人だったらしいが、俺の好みではない。たとえ‘ヒメ’と呼ばれようとも嫌だ。それよりも‘ヒメ’のお付きの女性の方が俺としては美人だと思うんだが……。「はぁ、客人に茶の一つも満足に出せないのか?見目も悪いが、動きも悪いな」 そう言う‘ヒメ’は口が悪いと思う。「して、そなたはどのような術を使うのだ?」「いろいろできるので、この場で披露できませんが……」 その時、俺の胸元から龍己が落下してしまった。「あ、龍己!」「ほう、龍己と申すのか?その龍は。そなたが名前を付けたのか?」「はぁ、まぁ」 お茶が運ばれてきた。見目が悪い?どこが?俺的にはドストライクだけどな。「ドラゴンを友とする、様々な術を操る男。そなた、わらわの婿になれ」 嫌です。とは言えない雰囲気。しかし嫌なものは嫌だ。「あのですねぇ、俺は一夫一婦制で育ってるので、ヒメのように婿が多くいるような方のところに婿入りする気は全くありません」 俺の首に剣の先が当てられるが…。念のため、運ばれながら物理的攻撃が無効になるように魔法をかけていたんだよね(監修:龍己)~。 俺は悠然と龍己を拾って、「どちらかというと、というか全くの圧勝でこっちの彼女の方が俺の好み。そういうわけでこの彼女を貰っていくよ。無料ってのは心苦しいな」「あの、私なんか奴隷ですし、見目も悪いし……」「あ、奴隷なの?なら、無料でも全く気にならないな。礼に金山の場所でも知らせようかと思ったけど止めた」「金山の場所は教えて行け」 ‘ヒメ’は俺に口を割らせようとしたみたいだけど、俺は既に魔法が無効の魔法(監修:龍己)をかけてるから、効かないんだよね。「そんじゃ、用もなくなったし。リヴィアの街まで行こうか?」「どうやって行くんですか?」「そういえば、名前は?」「リンです」「うん、カワイイ名前。俺はマサ
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第33話

「おう、なんだなんだ?マサミ!女性同伴でお帰りとは」「いやぁ、彼女が俺のドストライクだったんで貰ってきました。こんなに可愛いのに、奴隷だったんですよ?あ、主も女性でしたよ」 リンは自国の人以外の人を初めて見るからか、俺の陰で怯えていた。「リンが怯えちゃうじゃないですか!リン、この人はライさん。この街のギルドマスターって偉い職業をしている人。そういえば、ライさん義足の具合はどうですか?」「おうバッチリよ!これなら明日にでも現役復帰できるってぐらい絶好調だ」 それは何より。「剣術衰えてませんか?体力とか。俺で良ければ手合わせの相手になりますよ?」「マサミ相手なんか無理無理。俺が死んでしまう!せっかくの義足が……」「あのー、正己さんってお強い方なんですか?」「この子、何にも知らないのか?」「あの島国自体知られてないみたいでしたね~」「はぁ?お前、そんなところに行ってきたのか?」「はい」 ライさんはリンに長々と俺のスゴイ武勇伝みたいなことを話していた。リンの俺を見る目が変わった。「黒髪黒目で魔術に長けた人じゃないんですね」「おうよ!レベルがマイナスってもう世界中でマサミを知らないやつはいないってくらい有名人だ」 魔術じゃなくて、魔法だよ。それも覚えようね。 リンもステータスボードを見てみることとした。 職業欄に マサミに連れ去られた人 とある。心外な。略奪愛みたいな? レベルは35 閉鎖的なところで育ったからよくわかってなかったみたいだけど、かなり強いよ?「リンのレベルだとどのくらいの冒険者になる?」「うーん、E…F級冒険者か?」「そのれべるだとか冒険者の級だとかはなんですか?」「どのくらい強いかの指標だよ。リンは自分だとよくわかってなかったみたいだけど、かなり強いよ。いつもあの‘ヒメ’が愚図とか言ってたから自己肯定感がほぼないんだよ」「リンを連れてるからってEとかF級の依頼を受けられると思うなよ」「は~い」 ちぇっ、ダメなのか…。ライさんは俺に厳しくない? うーん、正式にリンと婚約したわけじゃないしフリックに会いに行くのは時期尚早だな。「マサミは私のどこがいいんですか?」 突然聞かれて困った。「第一印象は顔だけど、つまらなそうに‘ヒメ’の世話してたよね?」「つまらなかったですから」「そうだよね~。頑張っても
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第34話

「私はお強い方が好みです。ですので、正己さんは大好きです」「お、おお」 あの‘ヒメ’って卑弥呼か?ってことは弥生時代くらい?あー、歴史の授業の時よく寝てたからわからん。 正式に俺とリンは夫婦というやつになってフリックに会いに行くことにした。「あの…正己さん。私は須藤リンということになるのでしょうか?」「多分そうだと思うよ」 戸籍とかないんだもんなぁ。「で、今日はランゲル王国の王子、ああ、王太子かなぁ?のフレデリック殿下。俺は友人だからフリックって呼んでるけど。それに会いに行こうと思うんだ。俺は結婚したぞ~!羨ましいか、この野郎!って」「本当に仲良しなんですね」 俺は郊外で角笛を吹いて龍己を呼んだ。「おいおい、リンとラブラブなのかよ。俺の背中の上では自重してくれよ!」 そうは言ってもなぁ。新婚なんです。 俺はリンを龍己の背中に乗せてから龍己の背中に乗った。頭の中で『煩悩退散』と思いながら。しかし無情にも風になびくリンの髪から覗くうなじを見ると、煩悩が戻って来そうになる。退散していただいたはずなのに。 心を無にしてのランゲル王国までの空の旅となった。  王城の門番にいつものように止められたが、マサミです。と言って、ちょっと無詠唱で魔法を見せたら、「す、すいません!お通りください‼」となった。「正己さん、いつもこんなんなの?」「うーん、門番さんが顔を覚えてくれなくてねぇ」「正己さんのステータスボードを見せるのが一番じゃない?」 あ、それが安全確実。魔法なら他に真似するのが出てくるかもだけど、ステータスボードは身分証明みたいなものだし。「フリックはどこかなぁ?ん?謁見の間?何でだ?いや、俺が迷子にならなくていいんだけど」 リンは珍しいんだろうなぁ。キョロキョロ見ている。「あ、水をあんなに吹き出していますよ!」「アレは見た目に涼しいだろ?あとそれ自体が芸術作品というかね?俺にはわからない世界だよ」 さて、謁見の間はあの上だろうけど、面倒だからリンと一緒にテレポート(監修:龍己)。「おぅ、マサミ。久しぶりだな。突然の登場で驚いたけどどうしたんだ?」「いや、こっちもフリックがなんで謁見の間とか思ってたところだけど?俺はなぁ、なんとこの可愛いリンと正式に結婚したんだ~!」 おや?冷やかしとか来るかと思ったんだけど、そんなこと
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第35話

 嘘を吐くと頭の上に‘嘘’と文字が浮かぶ。わかりやすい。「じゃ、試すぞ。「いいえ」で答えろ。お前らは男である」「「「「いいえ」」」」 男たちの頭の上に‘嘘’の文字が浮かんだ。「うん。魔法は良好。ここからが本番。お前ら、横領しただろう?懐にいくら入れてるんだよ?毎晩のように宴騒ぎ。どこからその金はやってくる?」「冤罪です、信じて下さいよ~」 そんな事言っても頭の上の‘嘘’が目に入る。 4人もいるのか…税制がなぁ。「毎晩の宴って他の屋敷とお間違いなのでは?」 口を開くと‘嘘’が頭の上に。そう思った残りの2人は黙秘しているようだ。「この場合、沈黙は肯定とみなすが?お前達4名は、税金を横領した。間違いないな?」「懐に入れた額は徴収された税金の額と納めた税金の額の差額でしょう?」「リン殿は賢いなぁ」「フリックにやらんぞ。俺のリンだ!」 俺はリンを腕の中に入れた。「この4名を地下牢へ沙汰は追って言い渡す!」「フリック、親父さん体調悪いのか?こういうのって親父さんの仕事だろ?」「あ、やっぱりわかる?悪いな、新婚部屋用意するから親父を診てくれるか?」 俺は超ヤル気でフリックの親父さんを見た。 なんだかげっそりしていた。 親父さんの体内を魔法で診たけどコレは……悪性腫瘍というやつじゃないのか?俺の治癒魔法で治せるものなのか?「フリック、とりあえず治癒魔法かけるけど、効くかどうかの自信はないなぁ」 悪性腫瘍を診ながら、治癒魔法をかけ続けた。 悪性腫瘍ってガンだよなぁ?治癒魔法効くの?死にかけの人とか元気に出来るけどさぁ。ガンはどうなんだろう? 治癒魔法スゲー。悪性腫瘍にまで効くよ。異世界ってスゴイな。転移とかないかしっかりと診て、フリックにオッケーと言った。「体力が落ちてるだろうから、流動食からかなぁ?いきなり脂っこいものは無理だぞ。流動食の次は固形で柔らかい食事、固形物に慣れたら、徐々に脂っこいものでも胃が受け付けるかな?くらいだ」「わかった。俺は陛下に早く復帰してほしいんだ」 つまるところ、公務が大変なんだな。 俺は約束の新婚部屋をゲットした。龍己に乗ってる時からずーっと退散していた煩悩さんが帰ってきたようだった。 俺は俺のリンを余すところなく可愛がった。だって、俺のだし。 素朴な質問をリンからされた。「正己さんはリン
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第36話

 そんなんだからリンはあっさりと俺の子供を妊娠した。俺自身が診察してるから性別まで知っているのは何だか味気ないなぁ。「私は正己さんの子供を授かることが出来て嬉しいです」 はぁ、どこまでもリンは可愛いなぁ。リンには性別を教えてないけど、俺の動きとかでわかっちゃうかもなぁ。「正己さん、私、頑張ります!」 うわ、これはバレてる。答えは双子なんだけど、男女の双子なんだよなぁ。 リンもレベルが35だし陣痛に勝って産むことはできるかと思うけど、別腹みたいなもんなのか?よくわからん。 リンは不安かもしれないが、ちょっとライさんに聞いてこよう。「はぁ?あの娘さん、あっさりとマサミの子供を妊娠?」「あんまり大きい声で言わないで下さいよ。なんか嬉し恥ずかしいですね」「リンのレベルでも陣痛って大丈夫ですか?」「それを男の俺に聞くか?一概に言えないが、レベルが高いから安産とは言えないってのがギルドとしての統計だな。って、おい、どこに行く?」「急ぎ、ランゲル王国の王城にリンの産室を用意してもらう!」 俺は龍己に乗ってて聞こえていなかってけど、「相当てんぱってんなぁ」とライさんは呟いていたらしい。「リンさんがマサミの子を妊娠ねぇ。遅かれ早かれだと思ったけど、早すぎ!」 フリックは俺の股間を掴んだ。「フレドリック殿下、手が汚らわしいですよ?って侍従さん達が思ってますよ?」 フリックは手を離してくれた。なんか一命を取り留めた気分。「それで、王城の中にリンの産室を用意してくれないか?対価は……困った時に俺の手を貸す。リヴィアの街に腰を落ち着かせようと思うんだ。子供もいるし、家庭があるのにフラフラしてるわけにいかないだろ?あ、手に職がない!」「リヴィアの街で医者をしろよ」「それ、国家資格か?試験勉強は嫌だぞ」「陛下を治療したという功績があるから、免除だな。即資格持ち」「やる!職がないと食わせらんないからな」 そういう事で、悪阻が始まる前にリンは王城へと移動。王城の一室はリン専用の産室となっている。「なんだか大袈裟ですよ!」「何を言っているんだ。レベルと子供を産むときの痛みは関係ないらしい。リンは強いから平気かと思ったんだけどなぁ。リヴィアの街のライさんから統計的にレベルと関係ないらしいって話を聞いた」「あ、それから。俺はこれからリヴィアの街で医者をす
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第37話

 リンは悪阻も乗り越えて、いよいよ出産に挑む。「男子禁制ですので、廊下でおとなしくお待ちください」 産婆さんにビシッと言われてしまった。そうは言ってもドキドキして廊下をうろうろしてしまう。「はははっ、お前はちょっと大きめの檻に入れた猛獣か?」 フリックに馬鹿にされた。自分だって同じ立場になれば同じように動くはず!「フリックが俺と同じ立場になった時に笑い飛ばしてやるからな!」「楽しみにしてるよ」 悠然と言われるとなんか腹立つ~!!「おぎゃあ~!」 はやくね?「おぎゃあ~!」 そして早いよ。 リン…特技、出産?「元気な男の子と女の子ですよ~。男の子が上の子で女の子が下の子の双子です」 兄妹って知ってた~。「リン、お疲れ~」「うん。出産ってなんかすっごい痛いけど、あっという間に終わっちゃった」 リンだけだよ。それが一晩中続く人とかいるんだよ。「今はお休み~」「ありがとう」 リンは眠ってしまった。さて、名前どうしよっか。日本人ぽい名前の方がいいかな? 男の子…俺っぽい名前がいいな。うん。成己にしよう。 女の子…リンっぽい名前がいいな。うん。マリにしよう。  といってもリンが起きたら相談するけど。「リン、起きたのか?大丈夫か?」「うーん、まだちょっと疲れてるかも」「マサミ様!リン様にはお坊ちゃんとお嬢ちゃんに初乳をあげるという仕事があるのですからお話はその後で!」「お、おお」 なんだか気おされてしまう。 戻ってきたリンと話そうとするのだが「ゴメン、疲れて眠いよ~」と、なる。リンを労わるのも大事だけど、あいつらに名前つけないとなぁ? やっとこさリンと相談をすることが出来た。「なんか貴族様みたいに乳母がついてお世話してくれてるから、かなり楽してるよ」「初産で双子はきついだろ?」 俺は産褥期を味わっててキツイ。あ、俺が治癒魔法で……。「そうそう、男の子の名前は成己。で、女の子の名前はマリ。でどうかな?」「すごい!偶然私が考えてたのと一緒よ~!やっと名前が決まったわね。成己君とマリちゃんよ!」 双子ちゃんは乳母たちが見てくれているので、俺とリンは久しぶりに二人きりの夜を味わった。 数年後、成己もマリも元気に育った。「あのさぁ、父さんも母さんも人前でラブラブこっちが恥ずかしいからやめてくんない?」
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第38話

「なんだ?この子は俺の背に乗りたいのか?」「治癒魔法を学びたいんだって」「3年くらいかかるが?」「そんなの余裕よ!」「谷に連れて行っていいか?3年くらい」 3年もかかるのか?俺、そんなにかかったか?「うーん、女の子だし」「ダメよ~。まだ子供だもの」 リンは結構過保護気味。「俺がマリに治癒魔法を教えていいか?」 だったらと思ったんだけど…。「それはなぁ……」 だよなぁ。龍己に通いでココに来てもらうのも忍びないし。「龍己さんもここで暮らせばいいじゃない?」 ドラゴンの生態を知らないから言えるよなぁ。「龍己……今繁殖期とかじゃないよな?ここ3年は大丈夫か?」「丁度大丈夫だ。ただ、向こうに子供がいるんだよなぁ」「たまに帰るんじゃダメだろうか?」 結局マリが谷に行けるようになるまでNGということになった。 成己はというと、リンと冒険者としてダンジョンに行ったりして結構稼いできている。「いやぁ、成己君もマサミの血を引いてるだけのことはあってなかなかに強い。今のところは63レベルだけどドンドンレベルは上がるでしょうね。何しろリンさんと一緒にダンジョンに潜ってるし」 と言うのはライさん。正直羨ましい。俺もリンと一緒にダンジョンに潜りたい! 俺はそんなことを考えているからか、久しく遠ざかっていた煩悩さんが戻ってきた感じで体がリンを求めて仕方なかった。仕方ないじゃないか!煩悩さんが帰ってきたんだから。「オバサンだからもう相手にされないのかと思った」「何を言うか!俺のリンは永遠に不滅だ‼」 言ってることはわけがわからない。とにかく煩悩さんが帰ってきたのだから、双子は夫婦の寝室に入るべからず。 煩悩さんが帰ってくると、リンは妊娠をした。「この歳になって妊娠するなんて思わなかった」「「この歳で弟妹が出来ると思わなかった」」 成己とマリのジト目が痛い。 成己よ、覚えておけよ。お前だって煩悩さんと仲良くしないとエライことになるんだからな。 成己もそこそこ強いし、王城に産室を作ってもらうほどじゃないだろう。作ってもらおうかな?産後のケアがいいし。「成己、ちょっとフリックのところに行ってくるから、母さんのことは頼んだ!」 王城の門番さんは相変わらず俺のことを覚えてくれない。悲しい。 リンの助言の通りステータスボードを見せると慌てて
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第39話

 散々俺の時に揶揄ったから今まさに天罰のように気になって仕方ないんだろうなぁ。でもまぁ俺の用件。「で、リンの産室を用意…」「あとにしてくれ!」 なんて面倒な男なんだ。「俺がいるんだからなんかあっても処置なんかチョロいもんだ」「ああ、そうだな。リンさんの産室?いいよ。部屋余ってるし」 王城って無駄に部屋があるよなぁ。 侍従さんの説明によると、王妃様は産室に入ってもう数時間経っているらしい。リンみたいにウロウロしてたら、はやくね?みたいに産まれたわけじゃなくて、結構頑張っていらっしゃるという話だ。 リンですら、産後は疲れて眠ってばかりだったほど疲れるというのに、王妃様はもう数時間も戦っているということになる。もう中ボスだね。 フリックも拳を握っちゃってるけど、爪が食い込み過ぎて血が出てるよ。あとで治療だね。「侍従さん、その間の陛下の仕事は?」「手を付ける者がいません」 フリック、仕事も放棄しちゃうか~。いや、わかるんだけどさぁ。 その時小さな子供の泣き声が聞こえた。「産まれたんだ。部屋に入ってもいいだろうか?」「向こうから開けてくるまでの我慢ですよ」 嬰児交換もこうして成立するんだな。出てきた女に速攻で嘘発見魔法かけてやる。「陛下、慎ましやかな女の陛下の御子ですよ」 この女の頭の上に嘘と出た。はぁ、嬰児交換かぁ。「で、本物の御子はどこにいるんだ?中に入るぞ」 またしても窓から捨てようとしている女が……。王城に女の子の死体とかあったら嫌だろう?もっと建設的に考えろよ。「ちょっと待ったーーーー!」 侍女は動きを止めたので女児を確保。この女にも嘘を発見する魔法をかけさせてもらった。「あなたは陛下の御子を窓から捨てようとしましたね?」「まさか?その子は私の子です」 それにしたって、窓から捨てる?あり得ないだろ?嘘の文字が頭の上で燦然と輝く。「もう一度聞きます。この子は陛下の御子ですね?」「違うって言ってるじゃない!」 ‘嘘’という文字が頭で上で燦然と輝いている。「はぁ、マサミがいて良かった。産室にいる女たちを全員嬰児交換の罪でとらえろ!」「「「はっ!」」」 嬰児交換流行ってるのか?「陛下、申し訳ありません。女の子、王女でした…。このままでは側妃を望む声が…」「私はそんなものは望んでいない。疲れただろう。ゆっくり
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第40話

 リンの産室も確保してくれたので、安心して俺はリヴィアの街で医者の仕事ができた。リンになかなか会えないのは寂しかったけど、リンを王女の乳母にしたいとかフリックから申し出があった。 リンは私でいいのかな?とか戸惑っていた。普通の反応だろう。俺もだけど平民だし。この国の人間じゃないからな。リンの母乳で髪が黒くなるってわけでもないだろう?なんかランゲル王国の貴族様から声があったらしい。フリックが一蹴したみたいだけど。 今度産まれる子が王女と仲良しになればいいなぁと俺は思っていた。俺とフリックみたいな関係になればいいなぁくらいに思っていた。 リンに当たり前のように悪阻の期間があり、陣痛が訪れた。 俺と成己とマリはのん気にリヴィアの街から龍己の背中に乗ってランゲルの王城を目指した。「リンのことだからさぁ、着いた頃にはすでに産まれたあとかもしれないぞ。お前達二人も超安産だったからな」「流石母さん」「え?出産って数時間かかるんじゃないの?」 二人の反応が面白い。 俺達が王城に到着したら、本当に産まれたあとだった。「母さん、すごい!」「やっぱりレベル高いと安産なのかな?私も鍛えようかな?」「リン、お疲れ~」「うん、お休み~」 なんだか、このやりとりにも慣れた。わかってたよ。眠いんだろう?「えーと、マサミ様?お子様は男の子ですよ。母子ともに健康です」 そうだろうな。俺達を見てすぐ寝るあたり。「へぇ、弟かぁ。一緒にダンジョンに潜ったりできていいかも」「えー?私仲間外れ?」「だって、お前弱いもん」「鍛えるわよ!」 子供達の会話を楽しんでる場合じゃないな。名前を考えなきゃならないのか…。 苦手なんだよな~。とはいえ、克己(かつみ)がいいと思う。 リンが起きたら相談だなぁ。なかなか合わないんだよなぁ、タイミング。初乳の時間だったり。「リン起きたのか?ご苦労様」「母さん、スゲーな一体どんな力業?」「痛いのが嫌だから、本気でイキんだのがよかったのかなぁ?」 そうだよな。子供だってさっさと生まれて来たいんだから、そのほうがいいよな。「やっぱり力業なんだ。鍛えた方が良さそう。私も鍛える!」「リン様、初乳の時間となります」「またね、皆」 相談するタイミングも行ってしまった。 その後、リンと相談することができて名前は克己に決まった。 数
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