イジメられっ子世に憚る。

イジメられっ子世に憚る。

last updateLast Updated : 2026-02-28
By:  satomiCompleted
Language: Japanese
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主人公須藤正巳はぼんやりと教室で授業を受けていた。その時、突然教室中に物凄い量の光が…。 正巳が属する2-C全員が異世界転移することとなってしまった。 その世界では今まで正巳が陰キャとして読み漁ったラノベともゲームとも異なり、レベルがカウントダウン制。つまりレベル999よりレベル1の方が強い。という世界だった。 そんな中、クラスのリーダー的陽キャである神谷により全員で教室の外に出ることに。 いきなりドラゴンに出会い、クラスの全員がとった行動が『正巳を囮にして逃げること』だった。 なんとか生き延びた正巳は、まず逃げた連中へ復讐を誓う。

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Chapter 1

第1話

 その日、俺は授業中にぼんやりと授業中に教室の窓から空を眺めていた。「あ、飛行機雲だなぁ。飛行機雲が見える時って天気がどうなんだっけ?」などと、取り留めもないことをぼんやりと考えていた。

 と、その時、教室中が物凄い量の光に攫われた。

 瞬間、2-C組の全員が異世界転移したようだ。この場合、聖女とか職業とかあるのか?と俺のような陰キャは思うのだが、陽キャたちは考えないようで……。

「なんだよ?ココ。とりあえず写メじゃね?あれ?圏外なんだけど?」

クラスのリーダー的陽キャである神谷ジンが説明する。

「俺達全員が異世界転移というやつらしい。証拠はえーとステータスと願うとステータスボードに各々ステータスが出てくるはずだけど……。俺はLv.36だ」

 おいおい、異世界に転移したらまずはそこチェックだろう?内心せせら笑ってしまう。ちなみに俺のLV.999だ。俺最強?産まれてからずっとイジメられ続け、はや17年。下剋上の時代がきたのだ!クラスの皆の者、俺須藤正己すどうまさみにひれ伏すがいい‼

 俺のステータスは何々?他の体力知力なんかも全部1?そんなのわかってるって。前プレイヤーの中で一位ってことだろう?いやぁ。参ったなぁ!ハッハッハッ‼

 『プレイヤーの皆様にお知らせです。この世界ではレベルはカウントダウン制となっています』

 はぁ?これまでのRPGなんかはだいたいカウントアップだったが、カウントダウン?

「やっぱりなぁ。俺が神谷よりもレベル高いのはおかしいと思ったんだよなぁ」

 という声があちらこちらから。

 これじゃあ、俺のレベルなんか公表できない……。レベル999は絶対に馬鹿にされる。

「私は担任だもの。レベルは35よ」

「担任だもんな~。年上だし?そのわりに1個だけしかレベルが上じゃないのかよ?」

 担任すらもバカにされてるもんな。俺のレベルを知った日には……。考えただけで恐ろしい。

「ずっとここにいるわけにいかないし、どうにか元に戻る方法を探すためにも外に出ないか?」

 鶴の一声ならぬ、神谷の一声でクラスは団結して外に出た。

「へぇ、異世界の外ってなんかもっと乾燥して肌に悪いのかと思った。そういえば!化粧道具とかないけど、この先どうしよ~!」

「私も~!」

 女子どもは大方神谷とか、スポーツ万能の港の目が気になるだけだろう?

「大丈夫よ。みんなすっぴんも可愛くて私は好きよ?」

 皆のアイドル袴田緑に言われたんじゃなぁ。そりゃあ、袴田はすっぴんでも美人だろうけど、そいつらはどうだろう?

 そんな和やかな時間もあった。

 しかし、今目の前にいるのは高層マンション?東京タワー?なんかとにかくデカいドラゴン!

「RPGの序盤ってもっと弱いモンスター出て来るもんじゃないのか?」

 それは俺も思うが、LV.999の俺に出来る事なんかない。皆無だ!

「せんせー、担任だしレベルだってそれなりにあるんだから何とかして」

「そんな事言ったって、素手で何とかできません。先生が空手の達人だったら違うでしょうけど、ただの凡人です!」

 それを言いきる。なかなかだなぁ。

 と、達観していたら、クラスの全員で逃げるという事にしたらしい。……俺を囮にして。

 担任の俺を見る憐みの目が忘れられない。

 こうして、俺はドラゴンの胃袋に収まる事となった。

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第1話
 その日、俺は授業中にぼんやりと授業中に教室の窓から空を眺めていた。「あ、飛行機雲だなぁ。飛行機雲が見える時って天気がどうなんだっけ?」などと、取り留めもないことをぼんやりと考えていた。 と、その時、教室中が物凄い量の光に攫われた。 瞬間、2-C組の全員が異世界転移したようだ。この場合、聖女とか職業とかあるのか?と俺のような陰キャは思うのだが、陽キャたちは考えないようで……。 「なんだよ?ココ。とりあえず写メじゃね?あれ?圏外なんだけど?」クラスのリーダー的陽キャである神谷ジンが説明する。「俺達全員が異世界転移というやつらしい。証拠はえーとステータスと願うとステータスボードに各々ステータスが出てくるはずだけど……。俺はLv.36だ」 おいおい、異世界に転移したらまずはそこチェックだろう?内心せせら笑ってしまう。ちなみに俺のLV.999だ。俺最強?産まれてからずっとイジメられ続け、はや17年。下剋上の時代がきたのだ!クラスの皆の者、俺須藤正己にひれ伏すがいい‼ 俺のステータスは何々?他の体力知力なんかも全部1?そんなのわかってるって。前プレイヤーの中で一位ってことだろう?いやぁ。参ったなぁ!ハッハッハッ‼ 『プレイヤーの皆様にお知らせです。この世界ではレベルはカウントダウン制となっています』 はぁ?これまでのRPGなんかはだいたいカウントアップだったが、カウントダウン?「やっぱりなぁ。俺が神谷よりもレベル高いのはおかしいと思ったんだよなぁ」 という声があちらこちらから。 これじゃあ、俺のレベルなんか公表できない……。レベル999は絶対に馬鹿にされる。「私は担任だもの。レベルは35よ」「担任だもんな~。年上だし?そのわりに1個だけしかレベルが上じゃないのかよ?」 担任すらもバカにされてるもんな。俺のレベルを知った日には……。考えただけで恐ろしい。「ずっとここにいるわけにいかないし、どうにか元に戻る方法を探すためにも外に出ないか?」 鶴の一声ならぬ、神谷の一声でクラスは団結して外に出た。「へぇ、異世界の外ってなんかもっと乾燥して肌に悪いのかと思った。そういえば!化粧道具とかないけど、この先どうしよ~!」「私も~!」 女子どもは大方神谷とか、スポーツ万能の港の目が気になるだけだろう?「大丈夫よ。みんなすっぴんも
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第2話
 ドラゴンにとってヒトなど米粒みたいなもので、咀嚼なんかはしない。 おかげで俺は五体満足で胃袋に収まっているわけだが……。 胃酸―――――‼‼‼ 服が全部溶けてしまった。つまり俺は全裸なのです。 『酸性に強い体となりました』 そんなことを言われても、胃の中だし。 ドラゴンはそこらの物をなんでも口に入れる質のようで、色々と胃袋に入ってくる。 『ドラゴン討伐』をしようとしたヒトもいるのかな?俺と同じ運命を辿ったようです。気絶している間に装備なんかを少々いただきました。強奪?生きるためです。 哀れ気絶した人よ。起きるのが遅かったから、全身が溶けてしまったようです。ご愁傷様です。「俺の胃の中で生きている者がいるのか?」「あ、俺は異世界転移したようで、須藤正己って言います。装備なんかも食べちゃってるんですね」「何を食べていいのかよくわからないから、目に入ったものをとりあえず食ってる感じだ」 なるほどね~。 ドラゴンさんは最強で雑魚モンスターなんかも一飲みで、胃の中が俺の訓練場になりました。時間の流れは待ってくわからないけど、来る日も来る日もドラゴンさんが口にする雑魚モンスターを倒す日々が俺の日々でした。睡眠?はドラゴンさんが寝てる時だけど、夜なのか昼なのかは不明。昼寝かもしれないし。 そんな日常を続けていると…。「あ、レベルが999だったのが125まで下がった。でも、まだまだですね」 俺の目標はもちろんLv.1!「ドラゴンさん!」「あ~、悪いが名前を付けてくれないか?ドラゴンなんかドラゴンの谷に行けばうようよしてるから」 なんて危険な場所なんだ!イッテハイケナイ ドラゴンノタニ。 ドラゴンの名前かぁ。語学力の無さが悲しい。日本語的でいいかな?「俺が正己だから、ドラゴンさんは龍己!」「呼び捨てで頼むぞ。正己!」「了解。龍己!」 俺は訓練を続けレベルは目標の1となった。「龍己は知らないのか?食べる時はよく噛んで食べた方がいいんだ。顎にもいいし。顔の筋肉を使う事になるから顔の老化も遅くなる。ん?そういえば、龍己は何才?俺は17才だけど……」「正己、17才?まだ小童ではないか?俺の年齢か?うーん100才を越えたあたりから忘れてるなぁ」 100才以上ということか?それに比べたら17才の俺なんか小童も小童だろう
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第3話
「ここらで外界に出てみようと思うんだ」「どうやって?俺の尻か?」 それは嫌だ。「できれば口から出たい……」「ま、そうだよなぁ。俺だって、糞まみれはイヤだなぁ」 たいていそうだろう。そもそも、龍己の大腸とか長そう。ちょっとしたダンジョンのような……。「ボロボロになってはいるけど、剣があるし、龍己が寝てる間に出れないかな~とか思ってる」「普段は胃酸の逆流を防ぐ奴が門のところにいるはずだけど……正己なら楽勝か。胃酸と共に口から出る事のないことを祈ってるよ」 恐ろしいことを祈られた。 その日の夜(だと思う)、龍己が寝たのを見計らって俺は外界に出ようと、龍己から聞いていた門のところにやって来た。「胃酸でもないのに、この門を通りたいと?主の許可は取っているんだろうな?」「証明は出来ないけど取ってる。この先の食道を通って、口から外界へと出るつもりだ。俺のレベルも-37になったしな」「はぁ?マイナスぅ?そんな人間初めて見た」「まぁ、この胃の中でずっと訓練してたからな。そういうわけで、この門を通っていいか?」「本来なら、戦闘したいところだが、レベルがマイナスの人間と戦う趣味はない。絶対に負けるからな。俺のレベルは2だ」 それでもかなり高いと思うけど、マイナスに比べたらなぁ。 それからというもの、俺は長い道のりとなった食道を通り、口から出た。 龍己……口臭酷いなぁ。歯磨きを教えよう。このままじゃ自慢の牙もダメになっちまう。 俺は龍己の傍らで(臭いけど)、一夜を明かした。「龍己、おはよう。改めて初めまして。俺は須藤正己。レベルはえーとマイナス37」「本当に小童だなぁ。なんだ?いい匂い」「龍己には足りないだろうけど、朝起きてすぐはこういうので胃を起こすのが体にいいんだよ?」「ほう、正己は博識だな」 陰キャでオタクなんです。 龍己の鱗が朝日を浴びてキラキラしてる……汗?「龍己……シャワー、はないなぁ。水浴びした方がいいよ」「そ、そうか?」 龍己が水浴びをしてる間にステータスでも見ようかな。「浴びてきたぞ!」 早いよ。早風呂とかあるけど、その仲間?「さあ、これを食べて」 鍋を一気飲み。え?まさかの鍋ごと?「少ない……」 そうでしょうとも。朝食とは違うからね。「あ、そうだ。悲しいお知らせ。龍己、口臭が物凄いよ。これじゃあ|番《
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第4話
 俺の当面の目標は俺を囮に使ったクラスの連中への復讐だな。思い出すと腸が煮えくり返るようだ。 レベルMAXでも神谷の36だから、今でもマイナスって事はないだろう。 「そう言えば、俺の職業って何だ?」 ステータスの職業欄には‘無職’とある。龍己を倒したわけじゃないから‘ドラゴンスレイヤー’でもないしな。むしろ、龍己とは友人みたいな。 ‘無職’と言えばなんでもできるな。何をやっても許されるような気がする。のは気のせいだろう。 俺の勘だが、神谷は‘勇者’。港は‘戦士’。袴田は‘聖女’。長野せんせーは‘賢者’のような気がする。 袴田が聖女。はおかしいと思うんだけど、あいつは猫被ってるからなぁ。他の女子には「そのままでも十分可愛いじゃない」とか言うけど、その実「さあ、そのまま私の引き立て役になりなさい」とか思ってるんだろ?そんなのが聖女?笑わせるな。 しかも、俺を囮にするような連中を崇めるとかあり得ん。俺だからとかじゃなくて、人道的にダメじゃん。「龍己―、俺はこれからいろんな所を旅するから、ここでお別れだな」「正己、この角笛を持っていけ。困った時があると吹けばいつでも俺が飛んでいこう」 耳いいな。 俺と龍己はハイタッチをしてその場で別れた。龍己にとってはロータッチだろうか? 俺はココから近いというヴェータス王国を目指すこととした。「王国には最近になって聖女様がいるらしいわよ?」「勇者様や戦士様もいるらしい。商人なんかも独自のルートを使ってなかなかの儲けを王国にもたらしているらしい」 そんな噂を聞きながら、俺は一路ヴェータス王国を目指した。途中の道は砂漠で砂煙がウザかったのでローブを買った。 ちなみにお金なんかはすべて龍己の胃に落ちてきた人の財布から拝借している。 道すがら聞く噂は、異世界から来たという人たちから王国は恩恵を受けている。というものだ。 俺を囮にして逃げた先は王国ってわけか。そんでそこで地球知識で王宮の人に取り合ってもらった。みたいな? ただの高校生なんか信用しないよなぁ、普通は。そこはこの異世界の知識が地球よりも遅れていたことで、ちょっと知識を披露したら賢者扱いみたいな。世の中イージーモードだよな。 これからは俺がハードモードにしてやるよ。俺の方が成績いいからな。こんなとこで陰キャが役に立つとは……。「ヴェータス王国
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第5話
「聞いたか?無謀にも旅の異世界人が神谷と一戦交えるらしい」「なんか不憫~」「え~、絶対神谷君が勝つに決まってるじゃん」「陛下の命令なんだよ」「ああ、王命ってやつ?」 そんな事を言われながら、俺と神谷は向かい合った。神谷はなんか凄そうな剣を持っている。「ああ、初対面の君にいきなり使うほど野蛮じゃないから安心してよ」「神谷君紳士~♡」「俺相手にそんな事言ってられないぜ?」 俺の声で相手が須藤正己だとわかったようだった。「お…お前。生きて…」「ああそうだ。クラス全員に殺された須藤正己だ。正々堂々そのいい剣を使って来いよ。お前レベル13なんだろ?俺のレベル知りたいか?」 俺はこそっと神谷の耳に呟いた。「-48」と。 その場で神谷は失禁。そうだろうな、50以上レベル差のある相手と戦うのはどうかと思う。俺に与えられたのは、木刀。神谷も不憫だし、まぁいいかと、俺は神谷のボンノクボに一撃食らわせて、下半身不随状態にした。さて、こんな神谷の介護をやりたがる女はいるかな?勇者でもなくなり、試合中に失禁。果ては下半身不随で今は気絶中。「神谷、俺のことは誰にも言うなよ。っと今は気絶中なのか」「神谷の仇を取ってやる!」 おお、おお。熱血だなぁ。戦士か?随分鍛えたみたいだな。デカい斧振り回せるようになったのか。「俺のレベルは15だ。お前もできるみたいだが、レベルは?」 そんな港にもこそっと「俺のレベルは-48」と教えてやった。 港も斧を落とし、ガタガタと震え出した。さっきまでの威勢はどうしたんだろう?「お前……生きてたのか?」「まあな。それからいろいろあったわけだが、港は俺と戦うか?戦士だもんなぁ。さてどうする?」 内心は棄権したくて仕方がないだろうな。でも観衆と王命と戦士という肩書きによって逃げ道が塞がれて、どうしようもない。顔面蒼白で俺に挑んできた。「斧、落としてるぞ?」 俺は、斧を投げ返してやった。なんか攻撃になったらしい。親切心なんだが。攻撃されるのが嫌なら、避けるなりすればいいのに、無理にキャッチしようとするから、肩を脱臼するような羽目に……。デカい斧はただの脅しかぁ。残念。「戦士は接近戦をするのか?俺は接近戦でもいいぜ?」 俺は港の鳩尾を殴った。思いっきり吐いた。 どうでもいいが、この闘技場、失禁痕やら吐瀉物やらで汚い。 
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第6話
「生徒たちの仇です!」 そう言うか?あんたは俺を見捨てて龍己の囮に使ったんだが?「せんせー、俺は須藤正己ですよ~。先生が見捨てたあの須藤正己ですよ」 それだけでレベルがどうとかの話はなかった。「ゴメンなさい。須藤君あのときはああするしか方法がなかったのよ」 先生は泣き崩れてしまった。 そうなのか?そのおかげで強くなったけどさぁ。「演技よね~?」とか聞こえてくるけど、先生は泣き真似するほど姑息なのか?「先生にお願いがあるんだけど、俺が生きていることは他言無用。先の神谷と港にも伝えといてよ。二人とも気絶しちゃってるし。それと今後は俺と関わらないでほしい。それから、袴田は何やってるの?」「あ、袴田さんはそのルックスから王太子妃に是非って言われてるのよ。ただ、王太子妃教育が厳しすぎるって嘆いていたわ」 ラノベで読む王太子妃教育は物凄いよな。所作もそうだし、ダンス、語学力3カ国語くらいは話せないといけないだろうなぁ。キッツイ。「俺、忙しいから(復讐で)」 俺は自ら闘技場を後にして陛下にお話をすることとした。「天晴れだ、タツミ。褒美をやろう。何がいい?」「では、他国との貿易権を欲しいと思います」「ううむ。無欲な者だと思っていたが、そんな大それたものを欲するとは……。この国の商人達とも相談せねばならないから数日待ってもらえないだろうか?」「1日」 俺は静かに言い放った。俺の実力を目にした後の発言は怖かろう。「…わかった。今すぐに商人たちを王城へ召喚しろ!来ない者はこの国で商売ができないよう処置をする」 俺を置いて逃げて行ったモブたち、成功など許さん。 翌日、俺はローブを纏い、王城の応接室にいた。 その商人たちは揃いも揃って2-Cの連中だった。中にはすでにこの世界の女と結婚している奴もいる。俺が龍己の胃の中にいる間、どのくらい時間が流れたんだ?「この商人たちが国で商売するようになってからというもの、国庫が潤うようになりました」「今までお世話になっていた商人たちはどうしてるんだ?」「さぁ?他国で商売をしているかもしれませんし、商人をやめて、冒険者なんかをしているかもしれませんなぁ」 冒険者かそれもいいな。俺はちょっとしか声を出していないつもりだったが、商人の方がざわつきだした。「陛下もいる事ですし、ローブのフー
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第7話
 隣国アルス帝国との貿易だが、こちらからは食料を帝国からは鉱石を輸入しているという事は知っている。ということは、こちらの食料の方が高く売れればよいという話になるのだが?期限は1カ月。 実際にアルス帝国に足を運ぶのが良いだろうな。通常の馬車だとそれこそ1カ月かかるだろうが、俺にはこれがある。 俺は龍己にもらった角笛を吹いた。「呼んだか、兄弟!久しぶりに会って嬉しいぞ‼」 俺は事情を龍己に説明した。「人間というのは相変わらず姑息だな。アルス帝国は食糧難だ。そこでだ。正己がドーンと食料を無償で提供するとどうだろう?アルスの連中は喜んで鉱石を寄越すだろうな。こちらがかかったのは労力のみ。利益は鉱石」「ふむ。通常の貿易だと輸出側と輸入側の駆け引きやら輸送費のコストなんかを差し引いた額が利益とから龍己のやり方の方がいいか。短期決戦だし。しかしまぁ、ドーンと渡す食料はどこにあるんだ?」「食糧難だと言いながらも、腹が膨れている皇族をどう思う?絶対に帝国内に食料を隠している場所があるはずだ。それをこの龍己様が探してやろう!」「目立たないのか?」「正己のポケットに入るサイズにまで小さくなれる」 見た目はちょっとしたトカゲだな。というのは、龍己には黙っていよう。 そんな話をしながら二人(?)でアルス帝国まで急いだ。空飛ぶ龍己に俺は乗っている。正直言うと、寒い。次は防寒着を着よう。「うわぁ、話に聞くよりも酷い状況だな。これは食糧難」「でもなぁ、帝国の皇帝の肌艶はいいし、なによりでっぷりと太っている。肥えているというのか?」「それは怪しすぎるな。国のトップがそんなんでいいのか?」「平民は知らないんだろう、まさかの事態だ」「なるほど」 俺は皇帝にアポイントのお願いをした。 断られたので、「いいですよ~。そちらから強者を出していただければ、私が勝ちますから」という条件をつけた。条件というか面白い話だ。 俺は次々とやってくる強者(?)をなぎ倒した。「皇帝陛下があなたにお会いしてみたいという話です」 かかった! 初めて見た皇帝陛下は、平民が飢えているというのに、でっぷりと肥えていた。何を食べたらあんなに太るんだろう?皇帝ってなんか響きがストイックな感じだったけど、この皇帝は全くそんなことなく、自分に甘く過ごしてきたようだ。「お初にお目にかかります。
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第8話
 さて、皇帝とも謁見したことだし、城下町やら城の中やらで探し当てるぞ。「龍己、匂うか?」「皇族の口臭が強烈過ぎてなかなか城の中は難しい」 だよなぁ。俺ですら「くせぇっ」て思うから、龍己には物凄いだろう。「城下町を見るか」「待て!この城壁、なんか匂う。なんだ?」 城壁を守っていた兵士には悪いけど、眠ってもらった。龍己監修で俺は睡眠魔法を会得した。 城壁の一部が凹み、隠し階段が現れた。「どうだ?この奥からは食べ物の匂いとかするか?」「当たりだな」 俺は城下の人々に叫んだ。「城壁の凹みに触ったら隠し階段が現れたぞ!中に食べ物の気配がする!」 これだけで腹を空かせた住民は隠し階段の方へとやって来た。「兄ちゃん、中は確かめたのか?」「え?」「罠があったりしたらたまったもんじゃない。兄ちゃんが先頭に立ってくれよ」 予定では、住民が食べ物を見つけてクーデターみたいのを起こすはずだったんだが、罠か…。あり得る話だな。「わかったよ。俺が先頭で行くな」 俺が先頭でどんどん進んでいくと、そこには今まで貯めてあったのか?というくらい沢山の食料が!「こんなに食料が……。皇家は何をしていたんだ?」 独占して肥えてました。見たことないのか?「皇帝の姿、見たことないのか?」「畏れ多い。そのようなお方のお姿など我々が見るには尊すぎます!」 その尊い方は肥えていて、威厳ないけどな。「兄ちゃんは見たことあるのか?」「ああまぁ」「やはり、威厳に満ちていて凛として壮健なんだろう?」「いや、残念だがこの国の皇帝陛下はでっぷりと肥えている方だ」「影武者じゃないのか?」「信じたい気持ちはわかるが、ではこの食料の備蓄をどう考える?今日、明日にでも戦争を仕掛けるのか?皇家は食料を独占している。これが事実だ」 都合のいいことに、その場に皇家の第3皇子が現れた。こいつもでっぷりと太っている。「何奴?我はこの国の第3皇子ぞ?」「「兄ちゃんの言う事が本当なんだな……」」 不本意な形で俺の言葉が信用されこの第3皇子は人質として平民に攫われた。 この場所にあった食料は何往復も住民がすることで皇族の独占ではなくなった。「龍己~、もしかして他にも同じような場所があるんじゃないか?」「城壁を辿るとわかる。不自然に兵士が護衛している場所だ」 なるほど、門でもない
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第9話
 1か月後、「マサミはまだか?」「貿易に疎すぎて逃げ出したんじゃないですか?」「遅れてしまい申し訳ありません。城内に入らずに4台の馬車一杯鉱石となっています。それが俺の利益です」「はぁ?貿易ってのは、輸出と輸入とコストとかそういうのだろう?」「このやり方でも貿易ですよね?ちなみに、使ったのは俺の労力なんで、こちらからのコストは実質0。利益は4台の馬車一杯の鉱石です。そちらは?」「バケツ一杯の鉱石だ」「勝負ありだな」「馬車一杯って上げ底じゃないのか?」「疑い深いなぁ。宰相さんいますよねぇ、その方と一緒に見ればわかりますよ」 俺は鉱石一杯の馬車を4台持って帰ってきてるからな。  王城の入り口にとめてある俺の4台の馬車を宰相さんとその部下の方がしっかりと検査。「マサミ殿に不正は一切見られません。4台の馬車一杯の鉱石が彼の利益となります」 ふんっバケツ一杯の鉱石じゃ話にならないな。「この勝負はマサミの勝ちとする。他国との貿易権もマサミに与えよう」「有難き」 これで、お前らは貿易の度にいちいち俺に頭を下げる事になるんだ。「で、事情とは?」「あ~、この商人たちを出払ってもらっても構いませんか?」「お前ら、とりあえず、城から出ていけ」 俺はヴェータス国王陛下にここに来る前から異世界転生後の事までを細か~く伝えた。「ほう、そのような事情か…。なるほどな。商人たちが異議を申し立てると思ったのか?」「今までがそうだったので。俺がどんなに訴えようとも、商人をやってる者たちは自分達が責められないように事実を改ざんして説明してきていたので」「賢明な判断だ。強くなったアカツキにこの国の勇者・戦士・賢者・商人たちに復讐をしようと?」「私怨なんですけどね。でも囮にされたのは事実ですし、人道的ではないことも事実です」「それにハカマダも加担しているのか?」「立案したのは誰なのかは知りませんが、実行した中にはいますね。俺以外がいなくなっていたので。完全に俺を囮にして逃げるという作戦です。『須藤正己ならいい』とか思ったんでしょうね。残念ながら、生き残りましたけど」「どうやって?」「ドラゴンにとってヒトのサイズは米粒ですよ?わざわざ咀嚼しないんです。丸飲みです。なんで五体満足でドラゴンの胃の中で生活していました。酸に強い体も手に入れました。丸飲みす
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第10話
 神谷と港、長野先生の外傷は俺が魔法で治療した。そして今後こいつらと関わらずに生活をしていくことを決意した。 ヴェータス王国の他国との貿易権だけど、面倒だから他のやつに1億ゴールドで売った。国王陛下の許可が必要だったけれども、俺がヴェータス王国に腰を落ち着かせる気はないということで話はついた。 2-Cの連中の信用度は俺を囮にしていたことが国王陛下に露見して地に落ちた。商人としてこの国ではやっていけないだろうし(信用第一だから)、勇者とか肩書きは消えた。冒険者にでもなるんじゃないかな?袴田は王太子妃教育から解放されて喜んでるみたいだけど、今度は働かなきゃならなくて、困っているようだ。最悪の場合、娼館…。すでに娼館で働いてる元・女子もいるらしい。 俺は角笛を吹いた。「どうした?また面倒ごとか?」「いや、新天地に行こうと思ってな。その前に、前に聞いたドラゴンの谷ってやつに行ってみたいと思った。今の俺なら死にはしないだろ?」「死なない人間なら歓迎されるだろうな。基本的にドラゴンは人間が好きなんだよ」 龍己は俺を食べたけどな。「食べるのか?」「正己なら出てこれるだろう?」 まぁそうだけど、正直微妙……。俺、食料? しっかりと防寒着を着て、龍己の背中に乗ってドラゴンの谷を目指した。 ドラゴンの谷は、なんていうか…グランドキャニオンにエアーズロックが登場って感じの場所だった。うん、誰も来ないと思う。「おう、若ぇの。随分面白い人間だよなぁ?連れてるな?」 龍己は若いのか?「須藤正己って名前です。マサミと呼んでいただけると嬉しいです。今はえーとレベルは-123です」「ほえー、マイナスのレベルなんて100年以上ぶりか?人間自体にあんまり会わないからなぁ?」「マサミはどこにいたんだ?」 今までの事の次第をドラゴン達にも話してあげた。「お前さんも苦労してるんだなぁ。くぅぅっ酒が染みるっ」 日本酒?じゃないよね?何飲んでるの?昼間っから。何才が成人なんだろう?「お酒を飲むことが出来る年齢とかあるんですか?」「マサミのいた世界じゃあるのか?」「『お酒はハタチになってから』ってキャッチフレーズがあります。一応ハタチかな?警察に怒られたりしますね~」「ハタチなんかまだひよっこだろう?俺らはうーん、体が出来上がったらかな?」 それは人間とあんまり変
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