伏見の雰囲気がぴりぴりとした物に変わり、緊張感が満ちる。 店員達は笑顔を浮かべてはいたが、その顔色は可哀想なほど悪くなっている。 そんな店員達を気にする事もなく、伏見はドレスを着ている音羽をじっと見つめながら低い声でまるで唸るように告げた。 「この、最後のドレスは駄目だ。音羽の足が出過ぎている。音羽の足が綺麗なのは認めるが、他の男の視界に入れたくない」 「──へ?」 「……何だ、音羽。その顔……」 まさか伏見からそんな事を言われるとは思わなかった音羽は、ぽかんとしてしまった。 まさか、嫉妬だろうか──。 蓮夜が──? そんな事を考えた音羽の頬が、じわじわと熱くなる。 「なっ、何を……そんな事、急に……」 音羽は真っ赤になった顔を隠すように自分の両手で顔を覆いつつちらり、と伏見を見やる。 伏見はどこか面白くなさそうな様子で音羽を見ていたが、今度は考え込むようにじっと音羽を見つめている。 「れ、蓮夜……?」 「……」 「あの……」 「……そのドレス」 口を開かず、ただじっと音羽を見つめていた伏見がようやく口を開いた。 と思えば、突然ドレスの事を口にされ、音羽は戸惑いつつ「ドレス?」と自分の着ているドレスを見下ろした。 ダークネイビーのドレスで、裾に向かうにつれてグラデーションがかかり、濃くなっている。 曲線が分かるように音羽の体の線にぴったりと沿うドレス生地は、さらりとした肌触りでとても心地良い。 少し胸元と、背中がざっくりと空いていて恥ずかしいが、とても素敵なデザインだ、と音羽は思っている。 先程、店員が言っていたように、太ももの下辺りから大胆なスリットが入っていて、歩くと音羽の白くすらりとした足が見え隠れする、とても刺激的なドレスだ。 何か変だろうか?と音羽が不安に思っていると、伏見は真面目な顔でオーナーに振り返った。 そして、話す。 「今まで着たドレスは全部購入する。靴とアクセサリーもだ。車に運んでくれ。あと、今妻が着ているドレスはそのまま着て帰る」 「──えっ!?」 「支払いはこれで済ませてくれ」 「ありがとうございます」 すすす、と近付いて来たオーナーに、伏見は懐から取り出したカードを渡す。 黒い、高級感のあるトレーにカードを受け取ったオーナーは一礼するとそのまま退がった。 「え。え……?蓮夜、
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