母屋から離れに移った音羽と伏見。 後は風呂に入り、眠るだけといった時間だ。 風呂の支度をしていた音羽は、自分の事を心配そうに見つめている伏見の視線に気が付かなかった。 「──音羽」 「……えっ、あ、なんですか、蓮夜?」 音羽が時折暗い表情をしている事に、伏見は気が付いていた。 皆で居る時、楽しそうに、愛おしそうに笑っていたが時折恭を見つめる視線に、影が落ちていたのだ。 「恭の事が心配か?両親は子供の世話は長くしていなかったが、そんな悪い事にはならないと思う。だから、安心してくれ」 「──っ、ち、違いますっ!恭ちゃんの心配はしていたんですが、蓮夜のご両親の事を疑っている訳ではないんです!」 まさか、伏見にそんな勘違いをさせてしまうなんて。 音羽は慌てて首を横に振り、暗い表情をしていた事を謝罪した。 「ご両親が恭ちゃんを可愛がってくれているの、すっごく嬉しいです。蓮夜のご両親に対して、不安とかがある訳じゃないんです。勘違いさせてしまってごめんなさい」 「俺の両親じゃない……?それなら……」 何を不安に思っている? 優しく問いかける伏見に、音羽はぽつりぽつりと答えた。 「……お昼に買い物をした、ショッピングモールで……」 「うん」 「恭ちゃん、自分が欲しいと思った物を私達に言うのを躊躇っていたの、分かりましたか?」 伏見は、昼に買い物をしたショッピングモールでの出来事を思い出す。 だが、恭がそんな素振りを見せていたなんて、伏見には全く気が付かなかった。 「──悪い、全然気が付かなかった……」 「いえ、謝らないでください。蓮夜も、飯野さんも商品を選んでいたから。私は、恭ちゃんを抱っこしていて、距離が近かったし、恭ちゃんの体の強ばりも伝わったんです……」 「恭が……?体が強ばったのか?」 「ええ、そうなんです。……恭ちゃんが、自分が欲しいものを言う時……それに、自分の意見を言う時に何だか……不安とか、恐れているような感じがして……」 音羽の説明に、伏見は自分の口元に指を持って行き、考える。 子供がそんな態度を取るのには、理由がある。 「……もしかして、今まで恭は自分が欲しい物を強請った事が無い……?」 「……ええ。もしかしたら、以前そう言う事を言って、凄く怒られた経験があるのかもしれません……」 あの怯えよう、もしか
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