それから、伏見の行動は早かった。 有言実行とばかりに、音羽と婚約をし、それと同時に式の準備にも取り掛かった。 「音羽ちゃん、この打掛どうかしら?音羽ちゃんには赤が似合うと思うのよ〜!あと、披露宴はドレスにしましょうね!」 「は、はい!お義母様……!」 音羽はカチンコチンに緊張しきった様子で、伏見の母百合奈と神前式の準備に取り掛かっていた。 あの日、伏見の家で話をした日。 あれから音羽は身の安全のため、伏見の実家に身を寄せていた。 恭については、護衛がしっかりと毎日送り迎えを見守ってくれている。 家の中では、飯野が恭を見守ってくれているから恭の身に危険はないだろう、と伏見は判断した。 それより、家がバレてしまっている音羽の方が、裕衣に危害を加えられる可能性が高い。 それと、伏見自身が不在の時に万が一玉櫛 樹が家に来たら──。 そちらの方が伏見は心配で、音羽を実家に避難させたのだ。 伏見の家と、この実家は車で1時間ほどの距離がある。 そのため、暫く音羽は恭と一緒に遊ぶ事は出来ないが、その説明を恭にした時、恭も寂しそうにしていたが、またすぐに会えると言う事を伝えるとぱっと明るく頷いてくれた。 (今まで、殆ど毎日恭ちゃんの顔を見てたから、暫く会えなくなるのは心配だけど、これでいいのよね。……裕衣も、樹も……私が蓮夜と一緒なのを知っている。家だって、近くに住んでいる事が知られているもの。……私のせいで、恭ちゃんが危ない目に遭うのだけは絶対に駄目) 音羽に似合いそうな着物を色々と見繕っていた百合奈は、思い詰めるように考え込む音羽を見て明るく声をかけた。 「大丈夫よ、音羽ちゃん」 「──っ、すっ、すみませんぼうっとして……!」 せっかくお義母さんが自分のために時間を作って着物を選んでくれているのに──。 音羽は、申し訳なさそうに百合奈の方へ顔を向けたが、本人の百合奈は勝気に笑った。 「伏見の男ってね、最愛の妻のためなら例え難しいと言われらり事だってやり遂げるのよ。だから、音羽ちゃんはこの先、不安に思う事なんて何一つ無いから、安心して」 ふふふ、と目尻の皺を浮かべ、にこりと微笑む百合奈の言葉に、音羽の胸が何故だかふわりと軽くなった。 「この家の人達ってほら、愛情が重いでしょう?本当だったら不可能だって言われている事でも、あの人達はどん
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