「恭ちゃん、今日は保育園お休みにしよっか」 朝ご飯の時。 恭の隣に座っていた音羽は、ご飯を食べる恭に優しく話しかける。 食事の手を止めた恭は、どこか緊張した面持ちでフォークを置き、音羽の言葉に答える。 「……昨日の、事。警察に、行くんです、よね……?」 恭は賢い。 昨夜、継母にされた事を警察に通報するのだろう。 これは「事件」というものに分類される、と幼い恭でも分かった。 だが、恭の言葉に音羽も、伏見もゆっくりと首を横に振る。 「……ううん、警察には行かないわ。……それよりね、私が恭ちゃんの本当のお母さんだって事、恭ちゃんは覚えてる?」 「──はい」 昨夜は恭も混乱していた。 それに、あの時は「お母さん」と呼び、縋ってくれたが一夜明けて冷静になったら、恭はどう思うだろうか。 自分を「母親」だと本当に認めてくれているだろうか。 そんな不安が、音羽にはあった。 だが、そんな音羽の不安を吹き飛ばすように恭は昨夜の事をしっかり覚えていて、そして力強く頷いてくれた。 嫌がる素振りも、気まずそうな素振りも恭には何一つとして見えない。 その事実にほっとした音羽は、恭の手を優しく握った。 恭も、音羽の柔らかくて温かい手をきゅっと握り返す。 それに勇気付けられたように、音羽はすうっと息を吸い込み、ゆっくり、だけどしっかりと話した。 「……あのね、恭ちゃん。今まで理由があって、恭ちゃんに私が本当のお母さんだよって言えなかったの……。だけどね、恭ちゃんが辛い状況の中にいるなら、お母さんは恭ちゃんが辛い思いをしないで済むようにしたい。……恭ちゃんが良ければ、恭ちゃんがいいって言ってくれるなら、お母さんと、お父さんと……飯野さんと一緒に暮らしたいな、と思っているの」 「お母さん、お父さん……それに、飯野さんと……?」 「ええ、そうよ。もし恭ちゃんが嫌じゃなかったらね?」 音羽の言葉を聞いた恭は、最初はぽかん、としていた。 だが、じわじわと言われた事を実感してきたのだろう。 頬が紅潮し、興奮しているのが分かる。 そして、期待に満ちた瞳を音羽に向けると嬉しそうに答えた。 「ぼ、僕っ、一緒に暮らしたいっ!お母さんと、お父さん、飯野さんと一緒に暮らしたいですっ!」 「──本当!?」 「はいっ!ぼ、ぼくっ、あのお家に帰るのは、もう嫌ですっ、
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