離れにやってきた音羽と伏見。 音羽が普段通りテレビをつけ、伏見は冷蔵庫から飲み物を出してグラスに注ぐ。 「飲み物ありがとうございます、蓮夜」 「どういたしまして」 伏見からグラスを差し出され、音羽はそれを両手で受け取る。 伏見も音羽の隣に座り、2人はグラスに口をつけた。 そして、テーブルにグラスを置いた音羽が伏見に顔を向け、玉櫛ホールディングスの現状って?と聞こうとした所で──。 〈速報です。玉櫛ホールディングスの役員が、反社会勢力と金銭のやり取りを行っていた事が分かりました。数十分前、国税局が玉櫛ホールディングスの調査に乗り出し──〉 「──えっ」 伏見が玉櫛ホールディングスに行った理由と、今あの会社で何が起きているのか──。 それを聞こうとしていた音羽は、テレビから流れてくるニュースに目を見開いた。 「……随分早かったな」 ニュースを耳にした伏見が感心したように呟く。 その言葉を聞いた音羽は、慌てて伏見に向き直った。 「れ、蓮夜……!もしかしてこれ……!?」 伏見が仕掛けた事なのか──。 音羽の言いたい事が分かったのだろう。 伏見は軽く肩を竦めてあっけらかんと答えた。 「別に、俺は背中を押してやっただけだ。こうなるのが早いって事は……もしかしたら、内部に事情を知る人間がいて、内部告発したのかもしれないな」 「背中を押しただけって……いったい何を……」 「ただ、陸野にそれっぽく振舞ってもらっただけだ。……玉櫛 裕衣が陸野を敵対組織の人間だと勘違いした。その勘違いを正さなかっただけだな」 伏見は自分のスマホを操作すると、画面を見て笑い声を上げた。 そして、不思議そうにしている音羽に、画面を見せてやる。 「玉櫛 裕衣から入金があった──。敵対組織に支払うつもりだった口止め料だ。俺らに払っているとも知らず、馬鹿な女だ」 そうだろう?と楽しそうに笑う伏見に、音羽はぞわりと背筋が震えた。 普段、伏見が優しくて「表」の会社を経営しているとは言え、本職は伏見組の若頭だ。 相手を追い詰める時は素早く、徹底的に追い詰める。 それをまざまざと目の前で見せられて、音羽は改めて伏見の恐ろしさを痛感した。 だけど、裕衣からの入金が伏見の口座にあったと分かったら。 国税局が調査に乗り出しているのだ。 金の流れを追って、伏見の口座
Read more