私は学生の頃から付き合っていた久保直樹(くぼ なおき)と、卒業と同時に籍を入れた。一から直樹が会社を立ち上げるのを、ずっと隣で支えてきた日々は、本当に大変だった。私たちの子供が白血病にかかった時でさえ、お金が無かった私たちは、ただ見ていることしかできなかった。それから5年後、私は再び新しい命を授かった。その時には、直樹も若手実業家として成功していた。人生これからだと思った矢先、あるメッセージが2通、私の元に届いた。【直樹さんのこと好きになっちゃった】【いくら欲しい?直樹さんと別れてくれるなら、言い値で払うからさ】メッセージの送り主は、山田家の甘やかされて育った娘、山田佳奈(やまだ かな)だった。パーティーで直樹に一目惚れしたらしい。一晩考えた私は、翌日佳奈から送られてきた小切手に金額を書き込んだ。「10億円。これで私と直樹の10年を買い取ってください」……夜、直樹が帰ってきた。彼はスーツの上着を私の目の前に放り投げる。「若葉(わかば)、これ洗濯しといて。明日も着るからさ」私がスーツの内ポケットに手を入れた、そのときだった。中からレースのセクシーなショーツが出てきた。きつい香水の匂いを放つそれは、明らかに誰かが履いたものだった。その瞬間、場の空気が凍りつく。しかし、直樹の顔に焦った様子は全くない。彼はなんてことないように言い訳を始める。「会社に新しく入った子なんだけど、まだ若くてさ。悪ふざけが好きだから、俺のポケットに勝手に入れたんだろ。だから、気にするな」その言葉を聞いた瞬間、私の目には一瞬で涙がたまった。私はただ直樹を睨みつける。17歳から27歳まで私が愛し続けた人。そして、私に「ずっと大事にする」と言ってくれた男。その男が今、他の女のために平然と嘘をついていた。「そうなんだ?」私は声を詰まらせる。「直樹、いつからそんな人になったの?ただの新入りが、あなた相手にそんなことできるなんてさ」私の問い詰めるような言葉に、直樹は眉をひそめた。その目には不満の色が浮かび、声のトーンも低くなる。「俺は外で必死に働いてるんだよ。それに、お前の不機嫌な顔を見るために帰ってきたわけでもない。若葉。最近どうしたんだよ。もしかして、更年期にでもなったのか?」もう我慢の限界だっ
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