数日ぶりに出勤したカケルは、午後になってタケルの元に呼び出された。「一体、どういうつもりなんだ。突然こんな何日も……」「緊急だったんです。オメガの方が突然ヒートしまして……」「さほど珍しいことでもないだろう?」「事案そのものは珍しくもありませんが……。それが、先日話した、カフェでメモをくれた方だったんです」 カケルの答えに、タケルの眉がぴくりと動く。「おまえ、ベータ男性と言ってなかったか?」「はい。そう思っていたんですけど、オメガ性の方でした」「フェロモンの匂いがわからないのは、そういう場合は困りモノだな」 ふうっと息を吐き、タケルは腕組みを解く。「とはいえ、おまえに取っては恩人のようなものだしな。今回は大目に見るが……。身内の病院だからといって、融通をあまり効かせていると、後で困ることになる。気をつけなさい」「あの……、実はこれから、し……瀬尾さんの主治医になりたいと思ってまして……」「知り合いの主治医に? あまり、感心しないな」「ですが、瀬尾さんのヒートは少々状況が違う……と言いますか。彼、フェロモン依存の症状があるんです」「……ほう?」 タケルの表情が、身内の〝弟を叱る兄〟から、職業人のそれに変わる。 カケルはポケットからメモ帳を取り出すと、志郎の問診をしたページを開く。「二十代の頃、運命の番とカップルになっていたとのことで……」「運命? そんな都市伝説じみた話を……」「それが一概にそうも言えません。瀬尾さんの話を聞くと、フェロモンの同調が非常に高く、セックス時の快感が極めて高かったという話ですし、ヒート中の様子はもちろん、抑制剤がほとんど効果を示さなかったりしたので、あながち嘘
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