大晦日の晩、藤本朔(ふじもと さく)にメッセージを10通も送ったのに、返事はなかった。そしたら、彼の女友達の入江綾子(いりえ あやこ)が年越しの様子をインスタにアップしていて、そこに朔も写っていた。【もう最高!日付が変わった瞬間に年賀状手渡しされるなんて、この人には甘やかされてばっかり。クサいセリフはやめとくね。朔、一生の親友だよ!】すぐに、その投稿に返信があった。【もともと子供みたいなもんだろ】二人のやり取りを見ていたら、なんだか急に、すべてがバカらしくなった。私は衝動を押し殺し、ただ静かに朔へメッセージを一件送った。【忙しそうだから、私と杏はもう先におやすみするね】朔が家に帰って来たのは、私が娘の藤本杏(ふじもと あん)の夜のミルクをあげた頃だった。彼は私のそばにしゃがむと、万円札を何枚か取り出し、杏の前に差し出した。「杏、お年玉だよ。ほら、パパのところにおいで」杏はにこっと笑うと、おぼつかない動作でそれをつかもうと手を伸ばした。その手がお年玉に触れる寸前、私は朔を強く突き飛ばした。尻もちをついた朔は、ハッとした顔で私を見つめた。私は申し訳なさそうに説明した。「お札はいろんな人が触るから、汚いと思って」朔は眉をひそめて立ち上がった。「急いで帰ってきたから、ポチ袋の用意がなくてな。明日ちゃんと準備して杏に渡すよ。今夜遅くなったのは、綾子が台所で火事を起こしかけたからなんだ。知ってるだろ、あいつは不器用で、しかも今は一人だ。放っておけない」私は杏のよだれを拭きながら、朔の言い分を飲みこんだ。「大丈夫よ、わかってる」綾子には手書きの年賀状まであげたのに、どうして杏にはお年玉袋すらないの、なんて聞かなかった。少し気まずい沈黙が流れた後、朔が私の頭を撫でようと手を伸ばしてきた。私は思わずその手を避けた。すると、朔が断定して言った。「やっぱり、怒ってるじゃないか。わかったよ。次は絶対に、お前と杏と一緒に家で過ごすから」朔は全てお見通しだという顔で笑いながら、私がいつものように嫉妬して拗ねているだけだと思い込んでいた。そろそろ杏が寝る時間だったから、朔とこれ以上揉めたくなかった。だから私は、彼の言葉に頷いてみせた。「別にいいのよ。なにより入江さんの安全が一番大事
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