帝央防衛局の誰もが知っていた。鷹司宗介(たかつかさ そうすけ)が結城初音(ゆうき はつね)を妻に迎えるため、毎年過酷な懲戒を受けていることを。鷹司家は代々局の要職に就いており、一族の結婚には総長の承認が必須であると明文化されていた。だが、宗介が三年連続で提出した婚姻申請は、すべて不承認という結果に終わっていた。一年目、彼は訓練場に三日三晩跪き続け、一滴の水も飲まず、ついには倒れて付属医療センターに運ばれた。二年目、彼は局の厳格な規律による五十回の鞭打ちを受け、背中の皮が裂け肉が剥き出しになるほどの重傷を負った。三年目、高熱を押して氷雪の中で跪き、両足を失いかけた。それでも毎年、規律は絶対に曲げられないという理由で申請は退けられてきた。そして四年目、初音は決意した。もし今年も申請が却下されたなら、自分も宗介と共に罰を受け、特例として結婚を認めてもらうよう懇願しようと。彼女が急いで局の執務室に駆けつけると、宗介はちょうど総長からの決裁書を受け取ったところだった。彼がその書類を開いた瞬間、扉の外にいた初音の目には【婚姻を許可】という文字がはっきりと見えた。だが、彼女が喜びの声を上げるより早く、宗介はペンを手に取り、【しない】という文字を書いた。続いて、彼は書類を側近に渡し、静まり返った部屋に、彼の低い声が響いた。「表向きには、今年も申請は通らなかったと発表しろ」……初音はその場に凍りつき、頭の中が真っ白になった。宗介は……なぜ申請結果を書き換えたのだろうか。側近は書類を受け取ると、複雑な表情で宗介を見つめた。「鷹司隊長、以前は早く初音さんを妻に迎え、正式な伴侶にしたいとよく口にしておられましたよね。本当に結婚できるようになったのに、なぜ先延ばしにし続けるのですか。結果を書き換えるのはこれで四度目ですよ」その一言一句がはっきりと初音の耳に刻み込まれ、彼女は立っていられないほどの衝撃を受けた。四度目の書き換え……過去三年の申請も、本当はすべて許可されていたのだ。宗介の声には少しばかりの無力感が滲んでいた。「初音と結婚したいという気持ちは一度も変わっていない。だが、初音が湊翠市(そうすいし)で大学に通っていた四年間、俺の側にいてくれたのは杏奈だった。杏奈は俺のために自分の夢を諦め、帝央市
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