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第2話

作者: もち米とりんご飴
「ええ!お母さんがすぐに手配するわ」

電話を切った後、懲戒の鞭打ちを終えた宗介が、側近に支えられながらちょうど通信室の前を通りかかった。

涙の跡がまだ乾いていない初音を見て、彼の瞳の奥に隠しきれない焦りがよぎった。

「初音、いつから来ていたんだ?」

初音は力強く涙を拭い、沸き上がる感情を無理やり押し殺した。

「あなたが鞭打ちを受けていた時からよ」

宗介は気付かれないほど小さく安堵の息を吐き、罪悪感に満ちた目で彼女の手を握り、悔しそうに言った。

「すまない、今年も結婚の承認が下りなかった。初音、もう一年だけ待ってくれないか。来年こそは必ず申請を通してみせるから」

来年?

来年、たとえ承認が下りたとしても、あなたはまた「結婚を許可しない」に書き換えるのだろう。

爪が手のひらに食い込んで血が滲むほど拳を握り締めながら、初音は喉まで出かかった問いを辛うじて飲み込んだ。

結局、彼女は何も言わなかった。

九十九回の鞭打ちはあまりにも過酷で、宗介の背中の傷からは血が流れ続けていたため、医療センターへ向かう必要があった。

車に乗り込むと、宗介は体の半分以上を初音に預け、いつものように甘える口調で言った。

「初音、背中がすごく痛いんだ。後で君に薬を塗ってもらえないか?」

幼い頃から、彼は怪我をするたびに彼女の元へすり寄り、他人には決して見せない脆い一面を見せて彼女に甘えていた。

そして彼女は毎回、心を痛めて涙をこぼしながら、慎重に彼に薬を塗ってあげていたのだ。

だが今、血まみれの背中を見つめる彼女の心にあるのは、深い皮肉だけだった。

運転席にいた側近がバックミラー越しにその様子を見て、冗談めかして口を開いた。

「鷹司隊長、早く初音さんと結婚できるよう頑張ってくださいよ。いつまでも待ってくれる人なんていませんからね。もし初音さんに愛想を尽かされたら、俺たちも祝い酒が飲めなくなってしまいますよ」

初音には分かっていた。側近は、幼馴染の二人が結ばれないのを不憫に思い、冗談に紛らせて彼を諭してくれているのだと。

しかし、宗介はその言葉に耳を貸さず、揺るぎない自信に満ちた声で答えた。

「あり得ないよ。初音は俺だけを愛している。結婚の承認が下りるその日まで、彼女は必ず待っていてくれるさ」

それを聞き、初音は微かに口角を引きつらせた。

いいえ、宗介。あなたは間違っている。

結城初音には、自分自身の誇りがある。

心に別の女がいる男を、愛し続けることはない。

不誠実な男と結婚することもない。

医療センターに到着し、医師の診察を受けた後、宗介の入院が決まった。

病室で、初音が彼に薬を塗り終えて立ち上がろうとした瞬間、手首を掴まれ、彼の腕の中に引き寄せられた。

「初音、傷の処置はもう終わった。少しだけキスしてもいいか?懲戒を受けている間、頭の中はずっと君のことでいっぱいだった。君がいれば、どんな痛みも感じない……」

そう言いながら、男の熱い吐息が次第に近づいてくる。

初音が口実を作って身をかわそうとした時、病室の扉がバンッと大きな音を立てて開け放たれた。

杏奈だった。

杏奈は宗介の背中を覆うガーゼを見るなり目を赤くし、初音を指差しながらヒステリックに叫んだ。

「もう四年連続で結婚申請が通らなかったんでしょ。それだけで、あなたと彼女が釣り合わない証拠じゃない!なぜ彼女と結婚するのを諦められないの?あなたが傷つくのを見るたびに、私の心がどれだけ痛むか分かってるの?」

瞳に涙を浮かべ、杏奈は懇願するように言った。

「別の人と付き合って。たとえそれが私じゃなくてもいい。ただ、これ以上あなたに傷ついてほしくないの」

だが宗介の顔色は即座に曇り、氷のように冷たい声で返した。

「杏奈、お前は今、ただの専属補佐官だ。俺の私生活に口出しする権限はない!

それに、高校の頃から言っているはずだ。俺は初音しか愛していないし、一生彼女だけを妻にするつもりだとな。

四年だろうが、六年、十年だろうが、承認が下りない限り、俺は初音と結婚できるまで何度でも申請を出し続ける!」

杏奈は顔面を蒼白にさせ、よろめきながら数歩後ずさりし、震える声で言った。

「そう、あなたの怪我を心配するなんて、私のお節介だったわね!」

そう言い残し、彼女は目を真っ赤にして走り去った。

宗介は腕の中にいる初音を見下ろし、優しげな表情に変わった。

「初音、あいつの言葉なんて気にするな。俺は君だけを愛している。彼女が言うように、君との結婚を諦めることなんて絶対にない」

初音はその隙に彼の腕から抜け出した。

彼女はうつむき、自分の手首を見た。

そこにはくっきりと赤い痣が残っていた。

おそらく宗介自身も気付いていないのだろう。口では杏奈にあんな冷たい言葉を浴びせながらも、初音の手首を握る力が無意識に強まっていたことに。

以前の彼なら、初音をまるで宝物のように大切にしていて、傷ひとつつけたりはしなかった。

不意に目頭が熱くなり、彼女は声の震えを気付かれないよう努めた。

「橘杏奈があなたの補佐官になったのは、いつのこと?」

宗介は一瞬表情を強張らせたが、すぐにひどくうんざりしたような口調で答えた。

「先月だ。補佐官の選出には関わっていなかったから、まさか隊が彼女を選ぶとは思わなかった。だが、理由もなく彼女を異動させるわけにはいかない。そんなことをすれば、他の隊員たちが動揺してしまうからな」

その見え透いた嘘を聞き、初音は皮肉っぽく笑った。

宗介は昔から人選には厳しい。ましてや補佐官は、ほぼ二十四時間付き従う立場だ。

彼が首を縦に振らない限り、隊が勝手に人選を決めるはずがない。

彼女の沈黙に気付き、宗介は慌てて約束した。

「でも安心してくれ。あいつが何かミスをしたらすぐに異動させて、二度と俺の前に現れないようにするから。高校の頃から今まで、俺は本当にあいつにはうんざりしているんだ」

次から次へと吐かれる嘘を聞きながら、初音の心は氷水に浸されたように冷え切っていた。

なんて滑稽なのだろう。

口では自分だけを愛している、結婚したいと言いながら、何度も結婚の承認を書き換えている。

口では杏奈にうんざりしていると言いながら、あの手この手で彼女を彼の側に留めようとしているのだから。
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