All Chapters of 結婚記念日に、夫の秘書のために毒味をしろと?: Chapter 11 - Chapter 12

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第11話

彼女は歩み寄ると私を抱きしめ、いじらしい声で言った。「美希、随分と痩せたわね」私は苦笑しながら理恵を押し返し、からかうように返した。「もともと太ってなんていないわよ?」法律事務所を出たあと、私はあてもなく街をぶらついた。偶然なのか、それとも浩は私をコントロールしやすいと考えているのか。顔を上げると、少し先に浩と瞳の姿があった。二人の会話が、はっきりと耳に入ってくる。「もうこれ以上、美希に連絡するのはやめろ。俺は離婚なんてする気はない!」「浩、あなたのことが大好きだから、こうするのよ」「計画がバレたんだ。子供はおろしてくれ。俺はその子を残すつもりはないんだ。美希を傷つけるわけにはいかない」言い争う二人を眺め、私は口元をゆがめた。ほら、言ったでしょ。きっぱり関係を断てるはずがないのだ。結局、浩は私を放っておいても帰ってくるチョロい存在だと甘く見ている。愛を語る浩の姿を見て、急に笑いが込み上げてきた。浩の口から出る「愛」なんて、所詮その程度の安物だ。二人を視界から消すと、私は背を向けて家路についた。浩の帰りも早かった。私が家に着くと、彼はすでにソファに座っていた。「美希。遅かったね、家で退屈しちゃったよ!」スマホをいじりながらいい加減な返事をする浩に、私は持参した書類を突きつけた。「新しいプロジェクトの話があるの。署名して」中身も見ず、ペンを受け取った浩は流れるように署名した。「ああ、いいよ。お前のやりたいことは全部サポートするからさ」私が口を開く前に、浩のスマホが鳴り響く。ためらうような浩の視線に、私は殊勝なふりをして促した。「出たら?急用かもしれないでしょ」浩は促されるように、電話に出た。「なんだって?瞳、自決するって言ってるのか!?今どこだ?待っていろ、すぐに行く!」電話を切った浩に、私は先手を打って告げた。「杉本さん、近くに友達なんていないでしょ。元上司として行くのは当然よ。急いで、時間がないんでしょ?」私の言葉に感謝の眼差しを向けると、浩は慌ただしく服を掴んで飛び出していった。それと入れ違いに、私は自分の荷物をまとめ始めた。浩から貰ったものを、ゴミ箱へ。浩に繋がるあらゆる痕跡は、処分する。一通り終えてみて、気づけばここに住んで10年も経つのに、持ってい
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第12話

私はそのまま動画配信を閉じ、空港へ向かった。道中、浩から電話が鳴り止まなかったが、もう出る必要なんてなかった。電話に出ないと分かると、今度は何度もメッセージを送ってきた。【美希、どういうことだ?】【美希、お願いだから電話に出てくれ。もしかして、配信を見たのか?】【違うんだ。誤解だよ。あんな風に言ったのは瞳を落ち着かせるためだったんだ】【美希、瞳に送った離婚協議書ってなんだ?別れるなんて言ったことないだろ?】スマホの通知が止まらない。うんざりした私は、浩の連絡先をすべて着信拒否した。搭乗直前、10年住んだ街を振り返った。今は未来への期待で胸がいっぱいだった。祖母の故郷へ着き、手頃な民宿に落ち着いた。ここでの暮らしは心の蟠りがほどけていくようで、小さな町を散策する毎日が最高に心地よかった。浩は相変わらず、番号を変えて電話をかけてくる。諦めようとしない。私を探すために、なんと理恵にまで連絡をしていた。結局、スマホを解約し、昔の自分を完全に過去のものにした。気持ちを切り替え、かつての研究を再開した。以前の知識があるおかげで、スムーズに再出発できた。仕事に打ち込む毎日。充実して、とても楽しかった。ただ、浩とまた再会する日が来るとは思っていなかった。3年後。世界ロボットコンテストで、私が開発したセンサー技術搭載の高敏感特種ロボットが優勝した。質疑応答で、隅の方で手を挙げ続けていた男性を指した。立ち上がったその姿を見て、私は言葉を失った。そこにいたのは浩だった。浩はマイクを強く握り、目を真っ赤に潤ませて、震える声で尋ねた。「俺が聞きたいのは、ロボット開発に人生を懸けるように、もう一度俺たちもやり直すことはできないのか」震える体で涙を流す浩を見つめ、私は丁寧かつ突き放した態度で答えた。「ごめんなさい、もう結婚しています」まさかという顔で、しばらく呆然としていた浩が呟いた。「どうして?10年間も一緒にいたじゃないか。その思い出があるのに、なぜ簡単に他の誰かを愛せるんだ?一生、俺だけを愛すって言ってくれただろう?」私は小さく首を横に振り、淡々と答えた。「あなたもよく分かっているはずよ。愛情なんて、あなたの思っているほど強固なものじゃないって」その言葉を聞くと、浩はその場に崩れ落ち
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