警察のサイレンが校舎の外で鳴り響き、赤と青の光が窓ガラスを断続的に染めていた。1年2組の教室は、静まり返っていた。生徒たちは机に突っ伏すか、互いに顔を見合わせるか、スマホを握りしめて震えている。担任の佐藤先生はドアの外で警官と話しており、声が漏れ聞こえてくる。シュウは窓際の席で、事件ノートを膝の上に広げていた。ページは空白のまま。ペンが止まっている。タクミが隣から小声で言った。タクミ「高橋の死体……本当に動いたのか? 俺、幻覚見ただけじゃねえよな」シュウはゆっくりと首を振った。シュウ「動いた。俺も見た。首の縄の跡が、まだ赤かった」タクミの指が机を叩く。リズムが乱れている。タクミ「高槻の声だった。あいつ、鏡の中にいたはずなのに……どうやって」シュウはポケットから赤い星の破片を取り出した。破片は今、冷たく静かだ。脈打つ温かさはなくなっている。シュウ「コアはまだ生きてる。でも、父さんの意識は……もう、ほとんど残ってない。俺が鏡を割ったせいで、高槻の意識が解放された部分があるのかもしれない」タクミの目が鋭くなった。タクミ「じゃあ……高橋を殺したのは、高槻の残滓か?」シュウは答えなかった。ただ、窓の外を見た。体育館の入り口に、白いシートがかけられたままの担架が運ばれていく。高橋の遺体だ。シートの下から、足だけが少しはみ出している。白いスニーカーが、血で汚れていた。その時、教室のドアが開いた。佐藤先生が入ってきて、声を張った。佐藤先生「みんな、落ち着いて。警察の指示で、今日は午前中で下校になる。部活も中止。帰宅したら、保護者に連絡を。……高橋くんのことは、悲しいけど、今は安全第一だ」教室がざわついた。誰かが泣き出し、誰かが「怖い」と呟く。シュウは立ち上がった。シュウ「先生」佐藤先生が振り向く。佐藤先生「シュウくん?」シュウ「体育館
Last Updated : 2026-03-21 Read more