20××年の4月。桜が満開の朝だった。 星見中学校の校門は、ピンク色の花びらで埋め尽くされていた。風が吹くたびに、ひらひらと舞い落ちる花びらが、地面を薄い絨毯のように覆っている。 シュウはブカブカの新品の制服を着て、ゆっくりと校門をくぐった。ブレザーの袖が長すぎて、手の甲を半分隠している。ズボンも裾を何度も折り返した痕が残っていた。 小学校の卒業式からまだ1ヶ月。体は少し伸びたはずなのに、制服はまるで借り物みたいだ。 シュウ「……大きすぎるな、これ」 独り言を呟きながら、メガネをクイッと上げた。いつもの癖だ。 校庭の桜並木の下を歩いていると、前方から聞き覚えのある大声が飛んできた。 タクミ「おーい! シュウ!」 振り返ると、タクミが両手を大きく振って走ってくる。まだまだ小柄で、シュウと同じくブカブカの制服だ。髪は少し長めに伸ばし、風に揺れている。 シュウ「タクミ……早いな」 タクミ「当たり前だろ! 入学式だぜ? ワクワクして寝れなかったんだよ!」 タクミはシュウの肩をバシンと叩いた。痛いくらいの力加減が、相変わらずだ。 タクミ「見てみろよ、この制服。俺にはジャストサイズだぜ。シュウ、お前まだ成長期途中か?」 シュウ「うるさい。親が『大きめを買っとけ』って……」 タクミ「ははは! まあいいや。とりあえず、中学だぜ! 小学校の時みたいに毎日事件解決とかは無理でもさ……」 タクミの言葉が少し途切れた。 二人は並んで桜並木を歩き始めた。花びらが肩に落ちてくる。 シュウ「……星見キッズ、どうする?」 タクミ「ん?」 シュウ「カナエもケンタもリナも、今日は来てるみたいだけ
Last Updated : 2026-03-11 Read more