All Chapters of 愛のナビゲーション: Chapter 11

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第11話

だが十年前の翼は、私にレースを教えてほしいと請うてきた。彼の勇気と集中力、そして情熱と献身。そこに、かつての自分を見た。それは、目を逸らせないほどに輝いていた。その後、彼は私のリハビリに付き添い、レースへの恐怖を克服するのを助けてくれた。毎日、毎日。これが神様が私にくれた二度目のチャンスなのだと信じて疑わなかった。けれど、この長い十年の間に翼は変わってしまった。見知らぬ誰かのように、嫌悪を感じる対象へと。一分一秒が過ぎていく。私が翼を追い抜いた瞬間、全会場が静まり返った。最終決着の瞬間、会場全体が地鳴りのような歓声に包まれた。かつて打ち立てたあの伝説の記録を、私は今、再び塗り替えたのだ。私は安堵と共にヘルメットを脱いだ。勝ったのだ。十年の沈殿と洗礼を経て、私はついに自分の夢を叶えた。翼は、最初から私の敵などではなかった。私の敵は、いつだって私自身だったのだ。自分を超えること、それこそが私の永遠の目的。翼は信じられないといった表情で、首を振りながら何度も繰り返した。「嘘だ、そんなはずがない……凛が、俺より速いなんて……」彼だけでなく、その場の全員が、自分の目が幻覚を見ているのではないかと疑った。私は彼を凝視し、一文字ずつ言い聞かせるように告げた。「翼、あんた忘れたの? そのドライビングテクニック、教えたのは私よ」全会場に激震が走った。【パイクスピークの新王者、降臨】私はもう、ただの「伝説」ではない。レース終了後、私は真っ先に病院へと駆け込んだ。病室に入るなり、痛みに顔を歪めていた隼人が急に静まり返った。明らかに、彼は中継をすべて見ていた。彼が画面の前でどれほど狂喜乱舞していたか、目を閉じれば容易に想像がつく。隼人は一瞬で目頭を熱くし、声を詰まらせて言った。「親父の野郎……あんたの正体を教えてくれないなんて……」私は鼻先を指でなぞりながら、もっともらしい嘘を並べた。「ええ、監督の言う通りよ。私は最初から、伝説なんかじゃないわ」言い終わるやいなや、彼はさらにへそを曲げた。「俺がレースを好きになったのは、あの時あんたに憧れたからなんだぞ!」私は眉を上げ、彼の左足に視線を落とした。幸い骨には異常がなく、半月も静養すれば完治すると医者は言っ
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