間もなく、胡桃が駆けつけた。佳奈から連絡をもらって、すぐに飛んできたのだ。1ヶ月ぶりの再会に、二人は抱き合った。「佳奈!」佳奈は少しだけ表情を緩め、胡桃を受け止める。「胡桃、きてくれてありがとう」二人はしばらく話し込んでいたが、別れの時間になると、胡桃は申し訳なさそうな顔をした。「ごめんね、佳奈。お兄ちゃんに居場所を教えちゃって。迷惑かけたよね……」佳奈は胡桃の頬を軽くつねった。「気にしないで。胡桃が言わなくたって、彼なら自力で探し出してたと思うし。ちゃんと話せてよかったぐらいだよ」それでも胡桃は気が重かった。ここまで佳奈に執着し、雨の中でも一晩中待つ英樹の姿なんか想像できなかったから。胡桃は遠くで自分たちを複雑な眼差しで見守る英樹を振り返り、ずっと胸に引っかかっていた疑問を投げかける。「ねえ、佳奈……もしもの話だよ?もし真白さんが現れなかったら、お兄ちゃんとまだ一緒にいた?」これは、英樹自身も一番知りたいことだった。真白という存在がなければ、二人は今でも一緒にいられたのだろうか?佳奈は小さく笑った。かつてはそんな風に思ったこともあった。しかし、あの1ヶ月を耐え抜いた今、分かったことがある。真白がいなくても、いつか別の誰かが現れていて、英樹の愛情だって、失ってからようやく後悔する、その程度のものなのだと。佳奈は耳元の髪をそっと払うと、晴れやかな表情で答えた。「ないかな」誰も理由は尋ねなかった。なぜなら、もう全員が答えを知っていたから。胡桃は、悲しみに暮れる英樹を連れて帰国した。この期間、中川グループは業績が悪化しており、英樹に経営を任せる余裕はないので、ひとまず胡桃が取り仕切るしかなかった。急な帰国でいきなり英樹の後始末を任され気の毒ではあったが、留学中に経営管理学を専攻していたのが不幸中の幸いだった。会社を引き継ぐ前、胡桃は英樹にそっと何枚かの写真を手渡した。「海外にいた間、私も調べてたことがあるの。見てみて」それは真白が留学中、ろくに勉強もせず遊び歩き、何人もの外国人男性と関係を持っていた証拠となる写真だった。さらには何度も中絶を繰り返していたことなど、英樹が思い描いていた真白の面影とは程遠い姿が記録されている。そういえば、かつて自分が好きだったのは、どんな真白だっただろうか?英
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