夫は馬耳東風とばかりに私や義両親の反対意見を全く聞き入れず、結局自分からの持ち出しはゼロで私の口座にある200万円を強引な形で元手にして、コンビニ経営に乗り出した。 お義父さんのいうことさえ聞かないのだ、私の意見など言わずもがなのこと。 収入の全くない我が家。 今後の生活費である命綱をあっさりと別の費用に投げ出せる神経は、どう考えても私には理解し難いものだった。 恥を忍んで母にお願いして生活費を貸して貰うことにした。 スタートからこんな不安な先の見えない状況に、幼子を抱え私の心は少しずつ疲弊していった。 そんな船出だったが最初に雇った《来てくれた》女性は当たりだった。 徒歩10分くらいの所に住んでいる既婚女性45才で体格が良くて力持ち、その上気配りもできるし人としてあるべき本質の備わった女性で、盗難の心配もしなくてよかった。 夫と斉藤さん、ふたり二人三脚で大きなトラブルもなく店は順調に進んでいった。 まじめな女性《ひと》が来てくれて本当に良かった。 斉藤さんなら店番をひとりでも任せられるよねっていうくらい、私は彼女の人間性に信頼を寄せていたので、併せて夫のことも心配せずに娘のことだけに集中して生活することができた。 それはとても幸いなことだった。 それなのに店が軌道に乗り始めて5ヶ月過ぎた頃、その既婚女性の斉藤さんが年老いた母親の入院でどうしても店に来られない時間ができてしまい、補充の人を雇い入れなければならなくなってしまった。 だけど辞めるわけではないし、またお母さんが退院されれば元のように来てもらえる可能性はあるのだし……と自分に言い聞かせ、必要以上に心配するのは止めることにした。 あぁ、私としたことが……なんということ! つい、油断してしまった。 時は夏と秋の境目、長月に入り微風はあるもののまだまだじっとりとした暑さが居座っている日のこと。 次の従業員はどんな人に決まったのかしらなどと、ちょっぴりワクワクしながら娘を連れて散歩がてら店の様子を見に出かけたのだが。 うちのコンビニは自宅からゆっくりと娘を乗せたバギーを押しながら徒歩で17~8分のところにある。 夫は毎日自転車で通ってる。 雨の日は自宅前のバス停からバスに乗って行く。 ほんとうに嘘のように良い立地条件でお店を出店する
Huling Na-update : 2026-04-22 Magbasa pa