Lahat ng Kabanata ng 『息をするように浮気を繰り返す夫を捨てることにしました』─ 醒めない夢 ─: Kabanata 41 - Kabanata 50

53 Kabanata

41 ◇お墨付きをGet

  結局私は記憶喪失の身元不明の女っていう設定のお墨付きを、Getできた。 奇跡だと思う。 警察の人や医師、看護師さんたちから、粘り強く身元は捜すので気を落さないようにと励まされた。 申し訳ないけれど『ありがとうございまぁ~す。私は元気です、とても』っていう心境で、嬉しさを隠すのに大変だったかもかも。 とにかく私は逃げ切ったのだ。 そしてこれからのことをどうするかってなった時──溝口さんが、小さいお子さんもいることだし住まいが確保できるまで身元引受人になると申し出てくれた。そして、住まいまで提供してくれたのだ。 私さえよければって……。 渡りに船。 願ったり叶ったりだった。 溝口さんのお宅はマンションなんだけどメゾネットになっていて階別に2部屋ずつあってそのうちの1部屋を私たちに提供してくれることになった。 貸していただいた部屋は広めで隣のもう1部屋は浴室になっている。 2階にもトイレがあるので助かるぅ~。 さてっと、これからどうしようかな。          ◇ ◇ ◇ ◇ 俺の妻、果歩が消えた、消えてしまった。 しかもまだ小さな碧と共に。 まだ狐につままれたような気分だ。 どうして? 何故だ? という気持ちが拭えない。 海外単身赴任中の浮気の時も、その時の女を日本に呼び寄せて会ってるのを知った時も……そして仲間友紀との浮気を知った時も果歩は出て行きはしなかった。 それなのに何故今頃? 一縷の望みをかけて心配で義母に連絡をとった。 だが帰ってきた返事は、意に反するものだった。 来てない、居ないと言われたのだ。 俺は、予想外の返事に焦った。 「夫婦喧嘩でもしたの? 」 義母から聞かれた。 してなかったというのは嘘になるけど、どうなんだろうこの場合。 俺は返事に詰まった。 そのことで義母は肯定と受け取ったようだ。 参る。 「いえ、夫婦喧嘩は……」していませんと俺が言おうとしたが最後まで言わせてもらえず、義母は畳み掛けるように言ってきた。「だとしてもおかしいわね。 それならうちに来そうなものなのに。 小さな子を連れてるからうちじゃなく他所に泊まったっていうのは考えられないし。 どうしたのかしら」*「すみません、俺心当たりをもう少し探してみます」 そう言って何か言いか
last updateHuling Na-update : 2026-05-12
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42 ◇自業自得

 仕事のことは自業自得だった。  それでなくてもゼロからのスタートで、いや果歩の金を使っての スタートだったからマイナスからのスタートだな。   なのに最初少しばかり上手くいったからっていい気になって どんどん仕事に向き合わなくなり── 仲間との楽な時間に逃げ込んで、果歩にも現場を……おそらく見られて いたと思う。 俺はそんな風に浮気の現場を見られたり、最低でクズなことばかり してた。  出て行ったのはどうして今頃なんだ?  ってそればっかり考え思いつめた けど、店を出店してからのことを冷静に振り返ってみたら、こんな状況果歩 でなくたって逃げ出すだろうよって思えるようになった。   皮肉だな、果歩。 お前が出て行く前に仲間とは別れてたっていうのに。  だからやっぱりどうして今なんだ、今出て行かなきゃならなかったんだって いう気持ちがいつまでもループして俺を悩ませてるんだぜ。  最初はもしかしたら事故かもとも考えたけど警察の方に何も情報が 入ってないとなると逃げられた可能性が高い。    情けなすぎる。 しかしそれにしても果歩の唯一のお宝の金は俺の店に 全部投入してたんだ。 金をほとんど持って出ていないのに、しかも碧まで連れて出ていけるのか?  おかしいよな。  本当に果歩の意志で家を出て行ったのか、はたまた事故にでもあったのか……。 2人が家からいなくなった日から── ああでもない、こうでもない、一体どういうことなんだと同じことを毎日ぐるぐる 考える日々が続いている。  男子学生も3月の半ばで辞め──仲間はというと、彼女が突然結婚を仄めかしてきたことで俺は公私共にバッサリと 切った。 そしてそのあと、店は俺ひとりで切り盛りすることになった。  ほんとっ、笑うしかないなっ。 店でもひとり、家でもひとり……ボッチかよぉ~なさけねぇ~。   ほんとは違反だけど、仮眠とる間は、時々深夜過ぎに店を閉める時間が ある。 バレたら大問題だな、きっと。  しようがないだろ、寝なきゃ死んじまうって。 早く人手をどうにかしないとな。  それとも店が潰れるほうが早いかっ!  果歩が家から居なくなってひと月が経った頃…… そして何とか学生のバイトを入れることが出来た頃…… 仲間がひょっこり俺の前に
last updateHuling Na-update : 2026-05-13
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43 ◇殺してもいいだろうか? 

 今更何で? 不信に思う俺をよそに、馴れ馴れしく親しげに──訝しむ俺に頓着することなく仲間が話しかけてきた。 俺は相手がどうこうではなく、誰であれこのような態度をとる行為が大嫌いだ。 ほらっ、あれだ。 神経逆撫でするっていう行為。  今、仲間がしていることはそういうことだ。  普通あれだけの喧嘩別れしといて、わずか2ヶ月もしないうちに別れた相手に会いにくるか? しかも俺にバッサリと切られているのに。 もしかして刺しに来たとか? 俺は仲間の手元や動作に注視して、何か彼女が悪意の行動を起こさないか身構えた。『死んでたまるかよこんな女のせいで』 そんな緊迫している俺をよそに仲間が話し出した。「ごきげんよう、店長。 お店なんとかもってるんですね。 あたしもう潰れてしまってたと思ってたから、よかったぁ~」 何が潰れてしまってたら……だ。 お前のせいであれからてんてこ舞いだったんだぞ。  「はいはい、ンでお嬢さん今日は一体どんなご用件? 」 「サイン貰いに来たんだぁ~」 「サイン? 分かるように話せよ! 」 このタァ~こっ。「店長の子ができちゃったんだよねぇ~。 友紀困っちゃう~」 ゲッ! 何を言い出すかといえば、このタコ女、ものすごいこと言い出しましたよ。やめろぉ~そんな恐ろしいこと。「あははっ、マジ笑えるぅ。 何なんですか、固まっちゃって。  怖いですか、私のこと?  っていうか子供のこと。 大丈夫ですってばぁ、責任とって父親になれなんて言いませんからぁン。  たぁだぁ~、堕ろすのに店長のサインと印鑑いるんで、会いに来たんですぅ。 こんなこと堕ろすの手遅れになって婚約者にバレタら大変ですよ? 店長も慰謝料取られますよ。 そう考えたら病院の手術代で済むなら安いもんですってば!  ね? 」 軽ぅ~いノリで話す目の前のタコ女、殺してもいいだろうか?  思わずそれほどの憎しみが芽生えた。クソっ! 
last updateHuling Na-update : 2026-05-14
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44 ◇女の逆襲

 「なんだよ、今頃妊娠って。婚約者の子じゃないのか? 」「たっちゃんとはHしてないしぃ~。 結婚する前に子供ができたら困るからって、してないんだよ」「ほんとか? 信じられないなぁ~。 ……なのに俺と? 俺とあれだけ、あんなことやこんなことしてたお前が? 嘘付け!  大人をそう簡単に騙せると思ったら大間違いだぞ」*「あーあ、そうですか、そうですか。 じゃあ、生むしかないね。いいですよ、いぃ~いですよ産んでやろうじゃないの。 DNA鑑定して店長からは何も毟り取れそうじゃないから、ご両親に話して慰謝料やら養育費やら責任とってもらいましょうね。  婚約破棄されると思うから、こっちのほうの倍賞もしていただきますよ? 」 ブンスカ怒って彼女は踵を返そうとした。 ほんとにほんとなのか? 騙されている可能性のほうが高いと思いつつも、万が一を考えると恐ろしくて黙って帰すわけにもいかなかった。 取り敢えずサイン押印して金は後日振り込むということにした。 疲れた…… どうしようもなく疲れた。 そんな俺に仲間は次の矢を放ってきた。 それは疲れた疲れたと呟いている次元の内容ではなかった。          ◇ ◇ ◇ ◇ 突然やって来た私に驚いてはいるものの店長の最初の言動から奥さんから何か言われてたりする素振りが一切見えない。 私の言動に本当に今初めて聞いて驚いたっていう反応だ。 ……てことはぁ?  奥さんは私の妊娠のこと話してなかった? もしかして、それどころか私と会ったことさえ話してない?  どうなっちゃってんの……って思った。「店長、奥さんお元気ですか? 」 「何でここで妻の話題なんだ?  まさか妻に言うとかって脅すんじゃあないだろうな!  そんなことしてみろっ、お前の婚約者にも話すぞ! 」「脅すってぇ~、脅すって……そんな怖い言い方しなくてもぉ。 あれっ?  じゃあもしかして私、脅したことになるの? えーっ、やだぁーっ! 」「……? 」「実はぁ、私、1ヶ月ほど前に奥さんに会いに行ったんだぁ。 あのぉ、何も聞いてないんですか? 」「まさか、オマエ……」「脅してませんよ、脅してなんか……いませんから。 ただ、私は妊娠してるってことを聞いてもらいたかっただけだから」 ほんとは金をせびっちゃっ
last updateHuling Na-update : 2026-05-15
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45 ◇理由が分かった

「お前が原因だったんだなぁ、参った。 やってくれたな! 果歩は居なくなっちまったよ。 娘連れて家を出て行った。  あんまり突然のことで原因がわからなくてずっと悩んでたってのにぃ、お・ま・えが原因だったとはな」 続きを話そうとした俺の言葉を遮り、嬉し気に仲間が話を引き取った。「奥さん、私の話なんて信じないって言ってたのにぃ。 そっかぁ~、家出しちゃってたんだぁ。 やっぱり私に虚勢はってただけなんだ、ハハッ」「どうして果歩にそんな話をしたんだ?  話す必要なんかなかっただろう? 」「だって私たちが仲良くしてたの知っててもあなたの側から離れようとしないから、何かムカついちゃって」「お前、頭大丈夫? だいじょうぶですか? 仲良くって、その理由はちゃんちゃらおかしいぞ。 俺たちが別れた後に言いに行ってるじゃないか。 俺に対する腹いせを妻に向けるなんて最低なヤツだなお前」 俺はこんなに自己中で性格の悪い女に夢中になってたっていうのか。 仲間のあまりの言いように最低なヤツだなと言ったあと、言葉が続かなかった。 ……と、急に妻のことが気になりこのまま仲間との無為なだけの遣り取りをする時間も惜しくなり、サインをして適当な金を渡した。 果歩を探しに行かないと……と思った。 そう思ったけど、俺は行動に移さなかった。 だって今まで出来る限りのことはやりつくしていたから。 ジタバタしてもおいそれとは見付かるまい。 落ち着けぇ~、そしてやるべきことを遂行しろ!          ◇ ◇ ◇ ◇ 俺は言った。「最低なヤツだけど、俺の子供が出できたんだから……しようがないなっ。 果歩も出てっていなくなったし結婚しよか、俺たち! 」「えぇーっ、ほんとに? 」* 単純な仲間は、俺と結婚できることに泣いて喜んだ。 俺と結婚できるのなら、婚約者とはすぐに婚約破棄するとも言った。 破棄するとどんだけお金が飛ぶのやら俺には関係ねぇ。 黙って見てるだけだな!
last updateHuling Na-update : 2026-05-16
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46 ◇有り得ない選択

 気がつくと俺はとっさに有り得ない選択肢をしていた。 それは俺の憎悪から出たものだ。  果歩と娘の碧を見失なってから俺の経験した苦悩、孤独感罪悪感、反省、いろいろな気持ちで過ごした1か月間。 そんないろいろな感情がない交ぜになった気持ち全部が、仲間からの予想外の言葉で、激しい憎悪となってひとつの大きな塊へと変化していった。 いざこざはあったけれど、それでも妻と子は俺にとってずっと一緒に暮らしてきた大切な家族なんだよ。 その家族と引き離した女を許せるかよ。 俺は鬼になってやる、そう決心した。          ◇ ◇ ◇ ◇ 1週間もしないうちに仲間友紀は康文の家に転がりこんだ。 仲間友紀は次の妊婦健診でお腹の中の子の心音が聞こえてないと言われて帰って来た。 念のため、更に1週間後に心音の確認を取ってもらったのだが、やはり心音は聞こえず稽留流産と診断されたのだった。 そして数日後の予約を取りつけ、手術を受けた。 元々妊娠が分かった時、店長の深山とは切れていて中絶を決めていたのだ。 そのような事情もあり、特別悲しいなどというような気持ちも沸いてはこなかった。*『子供なんてすぐできンじゃん』と思ったくらいで。 授かった子に対して全く執着もなかった仲間は、よりを戻し同棲を始めた深山に淡々と流産してしまったことを伝えただけ。 大したことと考えてなかったので詳しい説明は省き、ただ『駄目だった、流産しちゃったぁ~』と、話しただけだった。 少し出血があったものの、健診で医師から教えられて分かったくらいで、仲間自身には痛みもなく、あれよあれよという流れで、数日間で妊婦ではなくなったのだった。    嘘か誠か、結局子供は流産してしまったということらしい。 仲間がどこまて゛本当の話をしているのか分からない。 結婚をすると言っているのだからわざと流産っていうのは考えられない。 考えられるとするなら、妊娠そのものが眉唾だっとしか言いようがない……。 病院を聞いてわざわざ真実を確めに行くようなことはしなかった。 そこは俺にとって重要なことではなかったからだ。 逆に本当に出産となっていたら、ちゃんと調べただろうと思う。 騙されることのないように。 婚約を破棄するとなると、実の親ともひと悶着なしには済まないだろ
last updateHuling Na-update : 2026-05-17
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47 ◇最大級の爆弾

 彼女には婚姻届を出したと言ってあるが、実はそんなもの出しはしなかった。 そう、最初から彼女と結婚するつもりなどさらさらなかったから。 仲間との結婚は、俺から妻と子どもを奪った彼女に復讐してやろうと考えての計画だったのだ。  復讐をコレ幸いと、実家が裕福らしい仲間友紀から店が出している赤字補填のためにちょこちょこ金を出させた。 幼馴染との婚約を破棄したのによく親がホイホイと金を出してくれるものだと思っていたが、どうもそうではなかったらしい。  俺の勝手な思い込みだったってわけだ。 成人した時に親からまとまった額を生前贈与で貰ってた金を、友紀が俺のために融通してくれてたようだ。 何度目かにそう聞いた。 何度目かの俺からの金の無心に、もうこれ以上は応えられなくなりそうで、とうとう、真実を語ったのだろう。 そんなもん、語られても語られなくても俺にとっちゃぁどうでもいいいことなんだがな。 金さえ、引っ張れればさ。  友紀と暮らすようになってから1年が経っていた。 この間に俺が彼女から引っ張った額は8桁に近付いていた。 正直こんなに引き出せるとは思ってなかった。 時を同じくして…… 1年前の今頃彼女は流産していたのだが、その心の傷も癒えたのか『そろそろ子供が欲しいね』と言うようになった。 その彼女の言葉が合言葉のように俺の最後の計画を、後押しすることとなった。 子供が欲しいなどと、ふざけた寝言を望まなければ もう少しやさしい良い夫を演じてやっても良かったのに。  欲張りな女は嫌いだ!  これを最後にと、駄目元で再度金を用意できないか? と訊いた俺に……『店の赤字補填には親からの生前贈与を当てていたがそれも底をついた今、婚約破棄のことがあるから親には借りることができないの。 だから店へ投入するお金は自分にはもう支払えない』と友紀が悲しそうに言った日、俺は最大級の爆弾を落としてやった。          ◇ ◇ ◇ ◇「じゃあ、俺たちの関係もこれでお終いだな」
last updateHuling Na-update : 2026-05-18
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48 ◇お終いなんだよ

「えっ、私できる限りのことしてきたつもりよ。  お店のために何百万円って払ってきたわ。 それなのにそんなのおかしいわよ。 じゃあって……じゃあって何なの? 」「おかしくてもおかしくなくても、お終いなんだわぁ~」「ふざけないでっ! 私と結婚したのはお金のためだったの? 」「そうだよっ、他に何があんだよ」「……」「勝手に離婚なんてできないんだから、バカじゃないの。 それに離婚、離婚って離婚したら困んのあんたなんだからね。 私から借りたお金全部請求させてもらうしぃ」「あっれえ~っ、私があなたからお金借りたっていう証明書……借用書でもあるんですかっ? 」「……」「そういうのないと、請求できないんでございますのよ。 馬鹿は騙しやすいわな。ハハハっ」「弁護士つけて、なんとかするわよ。見てなさい」「おぅおぅ、やってみろよ。 弁護士でも槍でも鉄砲でも持ってこいってぇ~の。 そもそも俺とお前は結婚してないんだから、どうにもならないんだよ」「結婚してないって、どういうこと? 」「だ・か・ら、そいうこと。 婚姻届出してませぇ~んでした」「騙したのねぇ~。死ね」「人を呪うんじゃなくて自分のオツムの緩さを呪いな。 よく考えてみろよ。 お前のせいで家庭を失くした俺が何でお前とホイホイ結婚するんだよって話。 こんな話誰にもしないほうがいいぞ!  自分がいかに馬鹿かっていうのを証明するようなもんだからな。 お前の親が何か文句言ってきたら、お前が俺にしたことで反撃させてもらうから。 人の家庭壊したヤツがそう簡単に幸せになれると思うなよ」「酷い、ひどい……人でなしあんたなんて、天罰が下るわよ」 今頃何言ってんだか。 もうとっくに天罰くだってんだよ。 下したの、てめぇじゃないか!
last updateHuling Na-update : 2026-05-19
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49 ◇どうするつもり

 何なのあの私を馬鹿にしたような態度。 私、あんたが思うほど馬鹿じゃないんだから。 バァ~カ! こんなこともあろうかと婚約者の達彦ちゃんには、もう少し仕事したいからって婚約延期してもらってたのぉ──。 婚約破棄なんてしてませんから。 あんたみたいに何度もお金をせびってこられたら、いくらボンヤリさんの私でもおかしいって思うわよ。 達彦ちゃんを保険にとっといて良かった。 心の底からそう思った。 もともと達彦ちゃんと結婚するはずだったんだし、少し伸びただけのこと。 籍も汚れてないみたいだし、私にしたら万々歳だよ。 私はまだ若い。 やり直しなんていつでもできんのよ。 妻から捨てられたあんたとは違うんだよ。 私はそう毒づきながら捨てられた鬱憤を晴らし、その足で実家へと向かった。          ◇ ◇ ◇ ◇ 実家に戻ってからしばらくして落ち着いた頃、これまでも怪しまれないほどには会ったり連絡を取ったりしていた達彦ちゃんに、会ってぼちぼち結婚の話も進めたいなぁ~ってことで電話してみた。 喜び勇んで駈け付けてくれると思ったのに、達彦ちゃんの返事はそっけなかった。 2か月前に会った時は私に会うことが決まると、すごく喜んでくれていたのに。 一体どうしたのだろう?          ◇ ◇ ◇ ◇ 本当なら、約1年ほど前に結婚していたかもしれない幼友だちの仲間友紀という婚約者がいる。 同い年で若いこともあって婚約期間を1年延ばしてほしいとお願いされそれをのんだ。 俺としては一日でも早く結婚したかったんだけどね。 すっごい好きな相手で1mmも嫌われたくなくて、物分かりのいい顔をして了承したんだ。 それなのに友紀は年上のそれも既婚者とこの1年同棲してた。 一連の流れて興信所に頼んでた結果が、1週間ほど前に出たところだった。 だから突然昨日結婚したい、と結婚のことを仄めかす発言があってびっくりした。 今暮らしてる男のことは? どうするつもりなんだ?
last updateHuling Na-update : 2026-05-20
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50 ◇受診先は産婦人科

 婚約者の仲間友紀が怪しい行動を取っていることを知ったのは、従兄の茂さんからの連絡がそもそもの始まりで、その後いろいろ相談に乗ってもらってる。 それで友紀の結婚発言のことも相談した。「本当に分からないのか? 鈍いんだよお前! そりゃあ、今一緒にいる相手と上手くいかなくなったからに決まってるだろうよ。 きっとあれだな、1年前に本当のことをお前に言わなかったってことは、お前はその男と上手くいかなかった場合の保険だったんだよ。 ほんとにタチの悪い小賢《こざか》しい小娘だよ。 結婚はよく考えて決めろよ。 俺ならすっぱりやめるけどな」と従兄から辛口のコメントをもらった。 従兄と友紀も挨拶する程度には顔なじみで、ちょうど1年前の今頃、俺は従兄から妙な話を聞かされていた。  ── 1年前 ──「なぁ、達彦、友紀との結婚はどうなってんの?」「あぁそれね、友紀の希望で1年後に延びた」「ふ~ん! お前たちちょっと大変だったんだな」 妙なことを言うなぁと思った。 たいへん? なにが?「友紀ちゃんもお前も残念だったな」「何が? よくわからんけど」「友紀ちゃんから何も報告受けてないのか? 」「報告?  え~と、結婚を延ばしてほしいっていうのは聞いたけど。 他に何かあったっけ? ふむ」「ふむって……ふむって、お前」「俺たまたま休みの日で、暇だから昼休み碁を打ちに医局に出向いたんだわ。 そしたらちょぅど病院前でタクシーから降りてくる友紀ちゃん見たのよ」「へぇ~」「婚約者が病院ってお前何か気がつかないのか?」「ぜんぜん! 」「まっいいわ。 何気に気になって受付に声かけたら受診先、産婦人科だった。 で、その日の外来が俺のダチでさ、身内がお世話になったみたいだけどって診断内容聞いたわけ」「そういうの確か、だめでしょ? メッ!」 「だめでしょって……おまっ……友紀ちゃん流産してたんだよ? なんでお前そんなに平静なんだよぉ……ってか、知らされてなかったんならしょうがないけどな。 あれか、友紀ちゃん赤ちゃんが上手く育たなかったから、言いづらかったんだな、きっと。 健気《けなげ》だねぇ~」
last updateHuling Na-update : 2026-05-21
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