結局私は記憶喪失の身元不明の女っていう設定のお墨付きを、Getできた。 奇跡だと思う。 警察の人や医師、看護師さんたちから、粘り強く身元は捜すので気を落さないようにと励まされた。 申し訳ないけれど『ありがとうございまぁ~す。私は元気です、とても』っていう心境で、嬉しさを隠すのに大変だったかもかも。 とにかく私は逃げ切ったのだ。 そしてこれからのことをどうするかってなった時──溝口さんが、小さいお子さんもいることだし住まいが確保できるまで身元引受人になると申し出てくれた。そして、住まいまで提供してくれたのだ。 私さえよければって……。 渡りに船。 願ったり叶ったりだった。 溝口さんのお宅はマンションなんだけどメゾネットになっていて階別に2部屋ずつあってそのうちの1部屋を私たちに提供してくれることになった。 貸していただいた部屋は広めで隣のもう1部屋は浴室になっている。 2階にもトイレがあるので助かるぅ~。 さてっと、これからどうしようかな。 ◇ ◇ ◇ ◇ 俺の妻、果歩が消えた、消えてしまった。 しかもまだ小さな碧と共に。 まだ狐につままれたような気分だ。 どうして? 何故だ? という気持ちが拭えない。 海外単身赴任中の浮気の時も、その時の女を日本に呼び寄せて会ってるのを知った時も……そして仲間友紀との浮気を知った時も果歩は出て行きはしなかった。 それなのに何故今頃? 一縷の望みをかけて心配で義母に連絡をとった。 だが帰ってきた返事は、意に反するものだった。 来てない、居ないと言われたのだ。 俺は、予想外の返事に焦った。 「夫婦喧嘩でもしたの? 」 義母から聞かれた。 してなかったというのは嘘になるけど、どうなんだろうこの場合。 俺は返事に詰まった。 そのことで義母は肯定と受け取ったようだ。 参る。 「いえ、夫婦喧嘩は……」していませんと俺が言おうとしたが最後まで言わせてもらえず、義母は畳み掛けるように言ってきた。「だとしてもおかしいわね。 それならうちに来そうなものなのに。 小さな子を連れてるからうちじゃなく他所に泊まったっていうのは考えられないし。 どうしたのかしら」*「すみません、俺心当たりをもう少し探してみます」 そう言って何か言いか
Huling Na-update : 2026-05-12 Magbasa pa