All Chapters of 俺とバンド女子のダメ人間契約: Chapter 11 - Chapter 20

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11話 遊園地デート前編

「お待たせシマウマ〜」 「これはこれは、アデランス東城さん」 「お? 流石、桜木君だね。まさか、このネタが通じるとは」 「まぁね。俺はアニメ派だったから」 「私も〜」 今日は、東城と約束していたデートの日だ。 てっきり、一緒に家から行くと思ってたんだけど、東城がデートといえば待ち合わせでしょと言い出して、駅前で待ち合わせとなった。 「んで? 10分遅刻なんだけど、理由を聞かせてもらってもいいですかね?」 「私的には、10分は遅刻じゃないんだよねぇ」 「ちっ、これだからO型は……」 「うわぁ〜出たよ、A型特有の血液型差別」 「へいへい。悪かったよ。それで? 今日はどこに行くの?」 前回同様、俺は目的地を聞いていない。当日のお楽しみだと言われたからな。 「にひひ、まだ内緒だよ」 「そうですか」 「それよりも、桜木君。何か言うことがあるんじゃないかな?」 東城はそう言って、その場でくるりと一回転をする。なるほど、服の感想を言えってことか。 白のベレー帽にクリーム色のシャツ。その上にデニムジャケットを羽織っている。下はスニーカーに黒のズボン。背中にはブラウンの鞄を背負っている。そして、首には昨日俺があげた、ペンダントを着けている。 「うん。似合ってるよ」 「何か適当じゃない?」 「そんなことないって。本当に似合ってるよ。文句の付け所がないくらい」 「にひひっ、ならよかった!」 いつもの東城は、黒1色のスウェットでまともにオシャレしている所なんて見たことなかったから、凄い新鮮な感じだな。 「それじゃ、行こっか」 「そうだな」 ―――― ―― 「デートって、ここか」 「そうだよ〜」 俺達がやって来たのは、バスに乗って少しのところにある遊園地だった。 「でも、ここってあんまり人気がないで、有名なところじゃないっけ?」 「その分、ほとんど並ばないで、アトラクション乗れるからいいじゃん」 「まぁ、そうだな」 アトラクションの数は、そこそこ豊富ではあるんだけど、もうちょい先に行ったところにある、遊園地の方が新しく大きいってこともあって、そっちにお客さんが行っているんだよな。 それにどちらかと言うと、こっちは子供向けだから、デートに行くならあっちって感
last updateLast Updated : 2026-04-02
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12話 遊園地デート後編

「なぁ、東城。本当に入るの?」 「も、もももちろん……だよ……」 「いや、やめといた方がいいよ。声、めっちゃ震えているしさ」 「嫌だぁ、入るのぉ〜」 「はぁ……」 少し遅めの昼食をとった俺達は、お化け屋敷の前にいる。お化け屋敷を見つけた東城は、絶対に入りたいと駄々をこねだした。 いやまぁ、俺だけだったら入ることには何も問題はないんだけど、東城も一緒となると話は変わってくる。 だってこいつ、ホラー系の怖いやつがめっぽう苦手なのだから。前にネカフェでホラー映画を見て、ギャーギャー騒いで出禁になったレベルだ。 「怖いの苦手なんでしょ?」 「そうだけど、入りたいんだもん」 「何でだよ……」 「あれだよ。怖いの苦手だけど、心霊番組とかは見たくなっちゃっうあれ」 「相変わらず、その理屈はマジで理解出来ないんだよなぁ」 それで後から、めっちゃ後悔するんでしょ? だったら、初めっから見なければいいのに。 「それに桜木君だって、絶叫系苦手なのに乗ってくれたじゃん。だから、私も頑張るの」 「それとこれは、別だって」 「別じゃないの。だから、入るのぉ」 「はぁ……分かったよ」 これ以上、入口の前で言い合いしてても、係員さんに迷惑かかるし、いっそのこと入った方がいいか。って、これじゃさっきと真逆だな。 「んじゃ、入るけど本当にいいんだよね?」 「う、うん……あ、でも」 「うん?」 「て、手は繋いでてほしいなぁ」 「はいよ」 俺が手を差し出すと、東城はその手を握ってきた。腰はめっちゃ引けているけどね。 「えっと、入るってことでいいんですよね?」 「はい。お待たせして、すいません」 「いえいえ、大丈夫ですよ。では、いってらっしゃいませ〜」 ―――― ―― 「うっ、うひっ。あ、あぁ……ひゃ!」 「あ、あの〜東城? 大丈夫?」 「だだ大丈夫……じゃっ、ない!」 「ですよねぇ」 お化け屋敷に入って、すぐの長い廊下を歩いているんだが、東城はもう既にビビりまくっている。因みに、まだ何も怖い要素は出ていない。ただ、暗いだけだ。 「どうする? 今だったら引き返せるよ」 「そ、それはダメぇ……」 「そうっすか……」 まぁうん。そう言うと思ってたよ。 でも
last updateLast Updated : 2026-04-02
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13話 ゲームを買いに行こう

「あの〜東城さん?」 「ん? 桜木君どうしたの?」 「邪魔なんすけど……」 「まぁ、邪魔してるからねぇ」 「はぁ……」 日曜の昼。昼飯を食い終わった俺は、大学に提出するレポートを書いていた。期限は明日までだから、急いでやらないといけないんだが、微妙に不機嫌な東城が、さっきからずっと邪魔をしてくる。 今は、俺の足の間に座って、パソコンの画面が見えないようにブロックしている状態だ。 「頼むから、避けて下さい」 「考えとくよ」 「その言葉、15分前にも聞いたんだけどなぁ」 何だかんだで、東城がこの体制に入って、30分ほどが経過している。その間、何回も何回も何回も避けてくれって言っているんだけど、一向に聞き入れてくれない。困ったものだ。 それに、もう1つ非常に困った問題がある。それは、この体制になってから、めっちゃムラムラするってことだ。 だってさ! 東城の体がずっと密着しているし、何かいい匂いするんだもん! そして何よりも、何かいけないことをしているみたいで、エロいんだよ! 正直に言おう、レポートの提出が遅れる心配よりも、俺の理性が持つかの方が今は心配だ! てか、そろそろ限界であります! 「桜木君」 「はいはい?」 「私、暇なんだけど」 「俺はレポート書きで、忙しいんですけどね……」 それと、内なる狼ちゃんを押さえつけるのでね。むしろ、こっちの方が大変なまである。 「私、ゲームしたい」 「やればいいんじゃん」 「やりたいけど、この家ゲームないじゃん」 「スマホでいいやん」 「スマホゲームは飽きたの」 「じゃあ、諦めてくれ」 「それは嫌!」 「なら、どうしろと?」 「そんなの決まってるじゃん。買いに行くんだよ」 決まってるのかぁ。そうかぁ。 ん? てか、この子、ゲームしたいから、俺の邪魔してたの? うわ何それ、クソ迷惑じゃん。 「だからね。早く行こうよ〜」 「その前にレポートだけ終わらせてくれ。その後だったら、いくらでも付き合うからさ」 「それ、どのくらいで終わるの?」 「30分ってところかな」 「えぇー、じゃあ私が邪魔しなければ終わってたってこと?」 「その通りだね」 「ありゃりゃ〜」 うん。ありゃりゃ〜じゃないんだなぁ。俺
last updateLast Updated : 2026-04-02
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14話 ゲームをしよう

俺にはさ、ずっと前から思っていたことがあるんだよ。 それは、ハンドルを握ると性格が変わるってやつだ。ほら、よく漫画とかアニメで見るだろ? でもさ、そんなこと絶対にありえないって思ってたんだ。 だってそんなの、意味わかんないし、実際に見たこともなかったもんな。だから、あれは創作の中だけの話だと思ってたんだ。でも、どうやらそれは間違いだったようだ。 まぁ、今回はハンドルではなくて、ゲームのコントローラーなんだけどね。 「ヒーッ、ヒャッハー!」 世紀末に轟いてそうな叫びをあげて、激しくコントローラーを操作しているのは佐々木さんだ。 そう。佐々木さんである。あの佐々木さんが、コントローラーを握った瞬間、人が変わったかのように、ゲームをしているのだ。 マジでこんなに変わるものか? 普通にドン引きなんだが……。 「うにゃー! また負けたー!」 「これで2人合わせて30連敗か……」 しかも、めちゃくちゃ強い。まるで歯が立たないくらいに。例えるなら、素人とプロゲーマーが試合している感じだ。さっきから、まともに一撃すら入れることが出来ない始末だ。 「おいおい〜まるで手応えがないねぇ。本当に2人揃って、どうしよも無い雑魚だねぇ」 「ぐっ……」 「むぅ……」 おまけにこの煽り口調だ。人のことをボッコボコにしておいて、イラッとするくらい煽ってくる。そのせいで、俺と東城のストレスはマジで半端ない。 「ねぇ桜木君」 「どうした?」 「私。栞菜をギャフンと言わせたい」 「まぁ、その意見には賛成なんだが、何か手はあるのか? 正直、あれには勝てないぞ」 可能性は完全にゼロ。このままやり続けても、一方的にボコられて煽られて、ストレスを貯め続けるだけだ。 「こうなったら、仕方ないね。璃亜《りあ》を呼ぶしかない」 「いや、ちょっと待て。それは、佐々木さんとの約束を破ることになるぞ」 「そこはまぁ……後で謝るとして。でも違うよ。璃亜を呼ぶのは、怒ってもらうんじゃなくて、私達の代わりに栞菜を倒してもらうんだよ」 「え? どゆこと?」 「実はさ、璃亜も上手いんだよね。シカロボ」 「マジで?」 「うん、マジ」 へぇー、それはまた意外だな。まさか、佐々木さんだけじゃなくて、松田さんもシカロボが上手いなんてな
last updateLast Updated : 2026-04-02
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15話 看病

「えっと……どうやったらこうなるの?」 「いや……うん……何でだろうね?」 「はぁ……」 家の中の惨状を見た栞菜《かんな》が、頭を押さえながら言った。 うん。まぁ、そうなっちゃう気持ちは分かるよ。だって、私もついさっきまで同じだったからね。 料理をしようとして失敗して、ぐちゃぐちゃになったシンク、散乱する物、水浸しになった廊下。 うん、酷いものだ。この惨状を引き起こしてしまった自分が怖い。 「もう。最初っから呼んでくれれば、こんなことにならなかったのに」 「うっ……ごめん……」 確かに栞菜の言う通りだね。私が家事系が何も出来ないのは、自分が1番よく分かっているのに、変に意地を張っちゃった。 「で? 桜木君の体調は大丈夫なの?」 「熱はまだ下がってないけど、今は薬飲んで寝てるとこ」 そう。桜木君が風邪を引いた。多分、昨日の雨で濡れたせいだ。 ご飯作っている辺りから、ずっとくしゃみをしていたし、寝る頃にはすごく調子悪そうにしていた。 そして、いつもは桜木君の方が私より先に起きているんだけど、今日は起きてなかったから様子を見に行くと熱でうなされていた。 とりあえず、慌ててタクシーを呼んで病院に連れて行った。その後、家に帰って来て桜木君を寝かせてから、私が家事をやろうとしたらこの有様で、これじゃまずいって思って栞菜に助けを求めて今に至る。 「そっか。なら、とりあえず片付けをやっちゃおうか」 「う、うん」 しかし……こんなに出来ないとは思わなかったなぁ。一人暮らし時はもうちょい出来て……ないか……。2日おきくらいに栞菜が来てくれて、掃除とか色々やってくれたんだったね。 ―――― ―― 「よし。片付けはこんなもんでいいかな」 「ありがとう栞菜。助かったよ」 流石、栞菜だね。あれだけぐちゃぐちゃになっていたのに、綺麗に片付けちゃった。因みに私は、何もしていない。正確にはさせてもらえなかっただけどね……私が変に手を出すと余計に汚れるから、手を出すなって栞菜に言われたからだ。 「私はお粥作る準備するから、音葉《おとは》は、桜木君の様子見てきて」 「分かった」 私は体温計とタオルと新しい冷えピタを持って、桜木君の部屋に向かった。 「よかった。ちゃんと寝てるね」 でも、まだ熱
last updateLast Updated : 2026-04-02
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16話 猫カフェと変化

「やって来ました! 猫カフェ〜」 「テンション高いなぁ」 「にっひっひ〜、そりゃ私は無類の猫好きだからね!」 「なるほど」 今日は東城と2人で猫カフェに来ている。名目は風邪が治った快気祝いらしい。 正直、快気祝いで猫カフェってどうなの? って思ったけど、まぁ猫は嫌いじゃないし、それに前々から猫カフェは行ってみたいと思ってたからちょうどいい。流石に男1人だと入りづらいんだよなぁ。 「おぉ〜」 「へぇ」 受付とアルコール消毒を済ませて、カフェ内に足を踏み入れると、そこかしこに猫達が歩いていたり、丸まっていたり、他のお客さんと戯れていたりした。まさに絵に書いたような癒し空間だ。 「割と広いんだね」 「まぁ一応、飲食類を提供するからね」 「なるほどねぇ。まぁ私は猫に触れれば何でもいいや」 「そうっすか……」 東城はそう言うと、猫が1番集まっているところに向かって腰を下ろす。俺もそれに続いて、東城の隣に座った。 「さぁさぁ猫達よ。スーパーギタリストの音葉《おとは》ちゃんが来たよ〜。早く私に群がりなさいな」 「それ何目線なの?」 「もちろん。スーパーギタリスト目線だよ」 「うん。よく分からん」 てか、そもそも猫にギタリストって言っても理解できないだろ。 「って、あれ? ちょっと何で誰も来ないの?」 お前には興味無いって具合に、見向きもされていないな。 「むむむ……何でよ……」 「まぁ猫は気ままな生き物だからね。気が向いたら、そのうち寄って来るって」 「私は……私は……スーパーギタリストっ! 東城音葉だぁー!」 「ア〇ムの名シーンみたいに言うなよ……」 「だって、1度言ってみたかったんだもん」 「まぁ、気持ちは分からんでもないけどね。ただ、猫には全く伝わらないぞ」 「むぅ……」 東城は不満たっぷりって感じで、頬をリスみたいに膨らませる。 「お?」 「にゃ〜」 猫が寄ってくるまで、漫画でも読んで待ってようかなって思って本棚を眺めていたら、1匹の猫が俺の膝の上に飛び乗って来た。白と焦げ茶の縞模様が特徴的な茶トラ猫だな。 「おぉどうした?」 「なぁ〜ご」 「はいはい。分かったよ」 猫は撫でろと言わんばかりに、尻尾でペチペチと膝を叩いてくる。
last updateLast Updated : 2026-04-02
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17話 学園祭

「なぁ、アラタ?」 「ん?」 「遅くね?」 「そうだな……」 俺と龍は、大学の入口のところで音葉《おとは》達3人を待っていた。ただ、予め伝えておいた時間になっても一向に来ない。 しかも、さっきから連絡しても繋がらないんだよなぁ。まぁ、既読は着いているから無事なのは確かなんだけど。 「ヘイ! お待たせ〜」 「遅いぞ」 「にひひ〜、いい女は遅れてやってくるものだよ」 「お前はヒーローか。いや、そもそも謝るのが先だろ」 「あ、うん。ソーリーボーイ」 こいつ……誰がギ〇ソンで謝れって言ったんだよ。はぁ……もういいや。 「ごめんね、遅れちゃって」 「すいません。お待たせしました」 俺達のやりとりを後ろで見ていた、松田さんと佐々木さんが、音葉の代わりに俺達に謝ってきた。 「いや、大丈夫だよ。な? アラタ」 「あぁ。まぁ、何があったかだけは聞きたいけどね」 と言っても、どうせ原因は音葉なんだろうけどね。 「まぁ……音葉の寝坊が原因ですね」 ほら、やっぱりな。 ん? ちょっと待てよ、寝坊? 「なぁ、音葉? 俺の記憶が確かなら、朝は一緒に飯食ったよな?」 「うん。アラタ君の卵焼きは最高だね」 「そいつはどうも。じゃあ、何で寝坊してんの?」 「いやぁ、いい感じにお腹が満たされて、眠くなっちゃったから寝ちゃった」 うわぁ……やってることが、1番ダメな休日の過ごし方じゃん。そしてあれだろ? 昼くらいに目が覚めて、昼飯食って、夕方までまた寝ちゃうやつだろ。んでもって、夜になって1日無駄にしたって後悔しちゃうんだろ? 「ん? どうしたの、アラタ君?」 「いやな、音葉はしっかりダメ人間やってるんだなぁって思ってさ」 「にひひ〜、でしょでしょ。もっと褒めていいんだよ」 「おぉ〜、よしよし。すごいですねぇ、いい子いい子」 そう言って俺は、お手が出来た子犬を褒めるみたいに、音葉の頭を撫でる。 「何やってんだ? お前ら……」 「気にすんな。俺らにとっては、最早日常みたいなものだ」 「そ、そっか……」 龍、そんな目をするな。 大丈夫だ。俺自身このやばさについては、しっかりと自覚している。ただ残念なことに、本当によくある日常なんだよ。だから、慣れるしかないんだ。
last updateLast Updated : 2026-04-02
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18話 本物の音楽

―音葉視点― 「んじゃ、2曲目いくぜ!」 「やめて!」 「あ?」 チャラ男達が2曲目をやろうとしたところで、私は大声でそれを制止した。これ以上、あんなものを聞きたくないからね。 「誰だ、お前ら?」 「うーん、そうだねぇ。通りすがりのガールズバンドかな」 「へぇ」 私はそう言って、ステージに上がり、チャラ男達に向き合った。チャラ男達は、私達を舐め回すように見ると、ペロリと舌なめずりをする。 うわぁ……本当に気持ち悪い。 「それで? 通りすがりのガールズバンドがなんの用だよ」 「理由を言わないと分からない? あんなのは音楽じゃない。ただの騒音だよ」 「騒音? 一体どこがだよ?」 自覚なしか。見た目通りのバカな人達だなぁ。 「まぁ、何でもいいけどさ。その楽器、早く軽音サークルの人達に返してあげてよ」 「はぁ? 何でだよ?」 「何で? そんなの決まってるでしょ。音楽をする人にとって、楽器は命と同じくらい大切なものなの。それを無理矢理奪い取った挙句、あんな騒音を撒き散らす、あんた達にこれ以上楽器に触れてほしくないからよ!」 「んだと、てめぇ! 女だからって、あんまり調子こくんじゃねぇぞ!」 キレたチャラ男の1人が、私に掴みかかろうと、してくる。でも、その手は私に届く前に璃亜が、チャラ男の手を掴んで止めた。 「悪いけど、うちのギターボーカルに手を出さないでくれる」 「っ……な、何しやがんだ!」 「うるさいなぁ。それはこっちのセリフ」 「璃亜。問題になるから、その辺にして」 「はいはい。分かったよ」 そう言って璃亜は、チャラ男の手を離す。 「さて、それじゃ早く楽器返してよ」 「ち、冷めた。こんなもん要らねぇよ!」 「あっ!」 あ、あっぶないなぁ。 本当にこいつ……最低にも程があるでしょ! ギターを落とすなんて信じられない。 よかった。どこも壊れてない。ギリギリのところで受け止められたみたいだね。 「ふん。たかが楽器程度で必死になるなんて、だっせぇやつだな」 「あんた達ねぇ!」 「璃亜、やめて」 アラタ君と約束したもんね。怪我は絶対にしないって。だから、殴り合いになるような喧嘩はしない。 「他の人達も、楽器を置いて下さい。でも、今みたいに乱暴
last updateLast Updated : 2026-04-02
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19話 バカでアホな先輩

「以上の理由から、俺かなりいけると思うんだよね。どう思う? 栞菜《かんな》さん?」 「あ、あぁ……い、いいんじゃないですかね……」 「だよねぇ! 俺もそう思うよ!」 「は、ははは……」 12月になって少し経ったある日の夜。俺と龍、音葉と松田さんは居酒屋に来ていた。そして、俺達の席から少し離れた席で、佐々木さんと1人の男が酒を飲んでいる。 男の方は楽しそうだけど、佐々木さんは居心地が悪そうな感じで愛想笑いをしていた。 「ねぇ、龍君。あれ、どうすんの?」 「ど、どうしようね……」 「佐々木さん。マジでごめん……」 見ての通り、佐々木さんは一緒に酒を飲んでいる男とデート中だ。と言っても、佐々木さんが望んだものではなく、俺と龍が無理言って、お願いしたのもだ。 「てか、あの人大丈夫なの?」 「あー……うん。悪い人ではないんだよ……」 「ただちょっとばっかし、頭の中がハッピーなだけで……」 「いやいや、それフォローになってないよ……」 「「ははは……ですよねぇ……」」 佐々木さんとデートしている男の名前は、黒田星矢《くろだ せいや》。俺達の通ってる大学の先輩だ。 何で、黒田先輩が佐々木さんとデートしているかというと、少し前にあった学園祭での、ライブが原因だ。 どうやら、黒田先輩は佐々木さんのドラムを叩く姿に一目惚れしたらしい。んで、俺達が佐々木さんと知り合いだってのを知った黒田先輩は、会わせてほしいって頼み込んで来たってわけだ。 「やっぱ、無理にでも断っとくべきだったな」 「いや、それが出来たら苦労しないって……」 「だよなぁ……」 黒田先輩には結構お世話になっている。主に過去問をくれたりとか、選択授業で楽に単位取れるやつを教えてもらったりとその他諸々だ。 だから、ちょっと断るに断れなかったんだよなぁ。 「あのさ、一応聞くけどあれって素なの?」 「間違いなく素だな」 「残念なのことに」 「そ、そっか……」 「クレイジーだね……」 うん、そうなんですよ。黒田先輩はとってもクレイジーなんですよ。ギリギリいい意味でね。 この間の学園祭に現れたチャラ男達みたいな、常識がぶっ飛んでる訳でもないし、悪いことをする人でもないけど、なんと言うかこう……色んな意味で頭のネジが外れ
last updateLast Updated : 2026-04-02
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20話 来客

「やっぱりマルゲリータは外せないよね。 アラタ君」 「お、流石分かってるね」 「にひひ。当然だよ当然」 「もちろん、チーズはマシマシだよな?」 「マシマシにしない理由を聞きたいね」 12月24日。世の中がクリスマスイブということで、昼飯を豪華にすることになった。んじゃ、豪華な昼飯とは? という議題に俺と音葉《おとは》が出した答えは宅配ピザだった。 そんな訳で、俺達はスマホでピザのメニュー表を見ながら何を注文しようか話し合っていた。 「サイドメニューは、唐揚げとポテトどっちがいい?」 「うーん。悩ましいねぇ」 「この際、どっちも頼むってのはどうだい? 音葉さんや」 「ほほう……それは中々ギルティーですなぁ。ついでに、たこ焼きとかもどうだい?」 「最高じゃ〜ん」 「おっしゃ〜! 頼め頼め! 私の奢りじゃい!」 「よっ! 流石、音葉さん! 太っ腹〜!」 「にっひっひ〜、私はスーパーギタリスト様だぞ〜」 「いやいや、流石っす! ささっ、ストロングのおかわりっす!」 「うむ! 苦しゅうない!」 そう言って音葉は、本日3本目? のストロングロング缶を空ける。それに続いて俺も、残りを一気に腹に流し込む。 「「っかぁ〜! 最っ高!」」 はぁ〜お酒おいちぃなぁ。止まらないねぇ。 「あれれ〜アラタ君。そろそろお酒が無くなるんじゃないですか?」 「まぁ、昨日から飲んでましたからねぇ」 「どうするどうする〜? 買いに行っちゃう?」 「その前にピザの注文が先でしょうが」 「そうでした〜。なら、早いとこ電話しないとだぁね。はい、テレフォンテレフォン」 「おうけぇい! まっかせろ〜!」 『ピンポーン』 「お? ピザ届いたのかな?」 「まだ電話してないぜ」 「きっと私達の思いがピザ屋に届いたんだよ」 「なるほど納得」 「よーしよし。なら、早速玄関まで受け取りに行こう! レッツゴー!」 「イエーイ!」 俺は音葉とスキップしながら、ピザを受け取りに玄関まで向かった。 「「ピ〜ザ! ピ〜ザ!」」 『ピンポーン。ピンポーン』 「はいはーい。今出ますよ〜ピザ屋さん」 全くもう。そんなに焦らなくても、俺達は逃げないぞ。何だったら、迎えに行っちゃうまでもあるからな
last updateLast Updated : 2026-04-02
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