All Chapters of 俺とバンド女子のダメ人間契約: Chapter 41 - Chapter 47

47 Chapters

41話 ライブバトル開幕

―栞菜《かんな》視点― 「あっはっはっ、うひひっ、何だお前らその顔! アザだらけで面白いな!」 今日はライブ当日。私達AGEは、絢香さん達に挨拶するために控え室に挨拶に行った。その時、たまたま入口のところで胡桃達と会ったから一緒に控え室に入ったはいいんだけど、音葉《おとは》と胡桃《くるみ》の顔を見た絢香さんは大爆笑。すっごいなぁ。人のアザだらけの顔見てこんなに大爆笑する人がいるんだ。 大丈夫? 何があったの? とかの一言の前に笑ってるんだもんなぁ。 「絢香さん。笑い過ぎですよ……」 「いや、だってさ、あはは。んで? 何があったんだよ?」 「胡桃に殴られました」 「音葉に殴られました」 「「は?」」 いや、何でそこで喧嘩腰になるのさ。お互い言ってること間違ってないじゃん。てか、今日はめんどくさいから喧嘩はやめてよね。 「栞菜《かんな》。解説してくれ」 「なんで私なんですか……」 「だって知ってるんだろ? そんな顔してるぞ」 「どんな顔ですか。まぁ確かに知ってますけどね」 果たして私はどんな顔をしていたんだろうね。気になるところではあるけど、何となく深く追求するのはやめておいた方がいいような気がする。 まぁとにかく、今は2人のことを説明するとしますかね。 「なるほどなぁ。お前ら最高にバカだな」 おぉ、ストレートだ。直球も直球、ド直球だ。まさに火の玉ストレートだね。 「師匠聞いてよ。胡桃が悪いんだよ!」 「違います! 音葉が悪い!」 「いや、どっちでもいいよ。そんなの」 「「どうでもよくない!!」」 あーあ……こりゃまた始まりそうだなぁ。璃亜《りあ》なんて、我関せずって感じで、夏鈴《かりん》さんとアーリャさんと楽しくお喋りしてるし。 「えっと、AGEの佐々木栞菜さんですよね? 私、胡桃と同じバンドの山田優《やまだ ゆう》です」 「あ、どうも」 「何か胡桃がご迷惑かけたみたいですね。すいません」 「あぁいつもの事だから大丈夫ですよ。それにうちの音葉も悪かったですし、気にしないで下さい」 「あはは……苦労してるんですね」 「えぇ、全くですよ」 ほんとに何で私だけこんなに苦労しなくちゃいけないんですかねぇ。もう嫌になっちゃいますよ。えぇはい。 「まぁとにかく
last updateLast Updated : 2026-04-02
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42話 AGE

―胡桃視点― 負けた……。 結果を聞くまでもない。完全に私達の負けだ。 その証拠に会場は、大AGEコールが鳴り響いている。 悔しい……悔しい悔しい悔しい! 「胡桃」 「大丈夫。帰ろう……」 私はそれだけ言って舞台袖へ帰ろうとする。 ごめん優。今はちょっと顔を見れない。多分、私すっごい酷い顔してるから。情けなくて見せられないよ。 「胡桃!」 「え?」 会場の大AGEコールをかき消すほどの大きな声で、音葉が私の名前を呼んだ。 余りにも突然のことで驚いてしまった私は、思わず音葉の方を向いてしまう。 「にひひっ」 音葉はいつものように、白い歯を見せて笑うと、ジャーンとギターを掻き鳴らす。 それに応えるように、璃亜はベースを栞菜はドラムを弾き始めだ。 「こ、この曲は……」 忘れもしない。これは、私達がまだAGEだった頃に初めて作って演奏した曲だ。 何で今さらこの曲をこの場所で演奏してんのよ。バカじゃないの? でも……。 「あぁ……そう……」 ほんとに腹立つやつだ。 何? その顔。 出来るよな? 早く入って来いって顔してさ。 いいよ。やってあげるよ。忘れてるかもしれないけど、この曲のメインは私なんだから! ―――― ―― 「はぁ……はぁ……」 突然始まった演奏に会場のお客さんは、戸惑いはしたものの、すぐに熱狂に変わった。 まぁ当然かな。この曲で盛り上がらないわけがないんだから。 「にひひ、出来るじゃん」 「うるさい。急になんのつもり?」 「べっつに〜。ただ泣きそうな顔してたから、ちょっと慰めてあげただけだよ」 「はぁ? 喧嘩売っての?」 ほんとに音葉は昔からこうだ。ほんとにムカつく。 「はいはい。2人ともその辺にして」 分かってましたよって言わんばかりに、栞菜が私と音葉の間に入ってきた。 なんというか、流石と言うべきかな。私と音葉が喧嘩しそうになると、いつもこうやって間に入ってくれたっけ? 「ごめんね胡桃。急にやっちゃって」 「別にいい……」 無視しようと思えば出来た。それなのに演奏に参加したのは私だ。だから、栞菜が謝ることじゃない。 「ねぇ胡桃。やっぱり戻ってこない?」 「その話は前に断ったでしょ」 「お
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43話 帰省

「なぁ音葉《おとは》。1人で大丈夫か?」 「にひひっ、大丈夫だよ。栞菜《かんな》とかが助けに来てくれることになってるから」 「なるほど。確かにそれは心強いな」 まぁ……栞菜ちゃんには、また迷惑かけることになるけどね……。 ごめんね。うちの子がポンコツのダメ人間で。戻ってきたら、俺が責任もって世話するんで、少しの間お願いします。 「ねぇ……何か今、心の中で失礼なこと考えてなかった?」 「気のせいだよ」 「本当かなぁ」 「本当だって」 「まぁいいや。気をつけて行ってきてね。それと、ちゃんと帰って来てね」 「あぁ分かってるよ」 「行ってらっしゃい。アラタ君」 「行ってきます。音葉」 ―――― ―― 音葉達のライブバトルが終わって早数日。あの後、打ち上げやら、胡桃《くるみ》ちゃんの歓迎会やらをやっているうちに、あっという間にクソ親父との約束の日がやってきた。そんな訳で、嫌々ながら地元に帰ることになった。 あ、ちなみに胡桃ちゃんとは、歓迎会で結構仲良くなった。主に音葉に対する愚痴や苦労なんかを話してたら意気投合した。今じゃお互いに名前呼びする仲になった。 「新幹線に乗ってる間は、大人しくしてろよ?」 「にゃ〜あ」 「いや、ほんとに頼むぞ。ホームズ」 うちの愛猫、ホームズも連れて帰ることになった。まぁ、俺がいない間、音葉には流石に任せられないってことになったからだ。 ネットで調べたら、新幹線に猫を乗せても大丈夫とのことだったから安心したぜ。今は、俺のバックの中で頭だけ出して大人しくしてる。 ふむ。こうして見ると、某ゲームの主人公みたいだな。 「っと、そろそろ発車の時間だな」 ぼやぼやしてるとあっという間だな。 指定席を取ってあるから確実に座れるけど、ぎりぎりに行って乗り込むのに苦労したくないし、さっさと座ってしまおうか。 あーあ……それにしても、まじでくそめんどくせぇなぁ。 ―――― ―― 「あにぃ〜! こっちこっち!」 駅から出てすぐに、風実歌《ふみか》の大変元気な声が辺りに響き渡る。 うん。ちょい恥ずかしいから、あれやめてくれないかな? ほら、めっちゃ注目集めてるじゃん。お兄ちゃんは、シャイで恥ずかしがり屋さんだから目立つのは嫌いなんだよ? 「お
last updateLast Updated : 2026-04-02
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44話 面倒な話は迅速に

「遅いぞ」 「時間通りだろ」 「社会人なら10分前行動が基本だ」 「はいはい。そいつは悪かったな」 今日はいよいよ、俺のお見合いの日がやってきた。昨日、一昨日と挨拶回りだのと、あっちこっち連れ回されての今日だ。おかげで休む暇もなかった。ったく、本当に人の扱いが酷いもんだぜ。 でもまぁ、それも今日で終わりだ。さっさと済ませて早くあっちに帰りたいものだ。 俺達は今、お見合い会場となっている料亭に来ている。珍しいことにクソ親父にクソ兄貴、クソババアと俺と風実歌の家族全員参加だ。しかも、俺らが早く来ての相手さんを待ってる状態だ。 こりゃ、よっぽど相手さんを立ててるってことだな。 ちなみに、ホームズはお留守番だ。今日は獅雄《れお》さんに預かってもらってる。 「恥じかかすなよ。アラタ」 「努力するよ。クソ兄貴」 「お前。間違っても、相手方の前でそんな呼び方するなよ?」 「わーってるよ。今だけだ」 「ふん。相変わらず、出来の悪いやつだな」 ったく……こっちはこっちで、うるせぇやつだなぁ。少し黙ってらんねぇのか? 「ねぇあにぃ? 本当に大丈夫なの?」 「心配するな。風実歌は料理が運ばれてきたら、美味しそうに食ってればいいさ」 「んな適当な……」 「いいんだよ。適当で」 どうせ、これから始まるのは茶番なんだからな。しっかりするだけ無駄ってもんだ。 だったら、味だけは美味いご飯を楽しんでた方が何百倍もいい。 「桜木さん。お待たせしました」 お? 来たっぽいな。 扉が開いて、50代後半くらいのスーツを着た男性と、俺と同い年くらいの和服を着た金髪の女性が入って来た。 「雪城さん。本日はお越しいただきありがとうございます」 「いえいえ。こちらこそ、ありがとうございます」 「どうぞ。まずはおかけ下さい」 お決まりの硬っ苦しい挨拶を済ませると、クソ親父は雪城さん達を席に通す。 雪城さん達が席に座ると、待ち構えてたかのように、料理が運ばれてきた。 うわ……高そう。いったい1食いくらするんだこれ? 「ほら、アラタ。何してる。お前も挨拶しろ」 はいはい。分かってますよ。 「桜木アラタです。今日はよろしくお願いします。雪城さん」 「あぁ。こちらこそよろしくね。アラタ君。ほ
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45話 俺の好きなやつ

「お? あにぃこれ美味しいよ」 「おぉ本当だな。絶品だ」 「あにぃ同じの作れない?」 「流石に無理だなぁ」 「うーん。残念」 クソ親父達が帰った後、俺と風実歌、それと雪城さん達で料理を食っていた。 まぁ残して行くには、少々もったいないくらいには、お高いところだからな。 ちなみに、和奏《わかな》さんは帰って行った。一緒にどうですか? って誘いはしたんだけど、和奏さん曰く、こういう高いところは仕事としてじゃなくて、プライベートで来たいからとのことだ。 まぁ気持ちは分からんでもない。 「それにしても、アラタさんと風実歌《ふみか》さんは仲がいいんですね」 「んー、多分普通ですよ。俺らとあのクソ兄貴が特別仲悪いだけなんで」 「なるほど。確かにそうかもしれませんね」 そもそもの話、あのクソ兄貴と仲良くなんて出来るわけがない。あいつ、性格が悪いってより、人として大分終わってるしな。 「あ、でもでも、あにぃは世の中のお兄ちゃんより、ずっといいと思いますよ!」 「こら、妹よ。恥ずかしいからやめなさい」 「えぇ〜、可愛い妹の愛を受け止めてよ」 「あーはいはい。ありがとな。愛してる愛してる」 「えへへぇ〜、私も愛してるよ。あにぃ」 やれやれ……何でうちの妹はこのやり取りがこんなに好きなんだろうねぇ? いい加減付き合うのにも飽きてきたぞ。 「う、う〜ん。やっぱり、仲がいいと思いますけど……色んな意味で」 「あはは……確かに僕の目にも、そう見えるかなぁ」 「気のせいですよ」 そうそう気のせいだ。俺はシスコンじゃないし、風実歌もブラコンじゃない。そこそこ仲がいいどこにでもいる兄妹なのだ。それ以上でもそれ以下でもないのである。 「そうだ。アラタさん、1つお願いがあるのですが」 「ん? なんすか?」 小鞠さんが俺にお願い? 何だろ? 全く想像出来ないな。 「私と結婚しませんか?」 「ぶほはっ!?」 「ちょ、あにぃ汚いよ! ほら、水」 「あ、ありが、と……」 きゅ、急に何言い出すんだこの人!? 食ってた餃子が変なところに入っていっちまったじゃねぇかよ。 「それでどうでしょうか? アラタさん」 「いや、ちょっと待ってくれ。いきなり何言ってんですか?」 「何って、
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46話 新しい契約

「おーい。アラタ君ー!」 「なんでいるんだよ……」 おっかしいなぁ。俺、今日帰るとは音葉に言ってなかったはずなんだけどなぁ。 てか、もう夜中なんだから、そんな大きな声出さないでもらえないですかね? 「お帰り」 「ただいま。んで? 何でいるの?」 「言い方悪い。何? 私が迎えに来るのは嫌なの?」 「まさか。嫌じゃないよ。ただ、何で俺が今日この時間に帰ってくるか、分かったのかなって思ってな」 「風実歌《ふみか》ちゃんから教えてもらったんだよ」 「なるほどな」 だから時間とか聞いてきたのか。納得納得。 「音葉は飯食ったのか?」 「うん。オムライス食べたよ」 「ほう。栞菜《かんな》ちゃんに作ってもらったの?」 「にひひっ。って思うじゃないですかぁ? でもね、私が作ったんだよねぇ」 「音葉。嘘つきは泥棒の始まりだぞ」 「全く信じてくれないねぇ!?」 当たり前だ。 卵すらまともに割れないやつが、オムライスを作った? そんなの信じろって言う方が無理だろ。 「胡桃《くるみ》に教えてもらったんだよ」 「胡桃ちゃんに?」 「うん。メイド喫茶特製のね」 「ほほう。まさに直伝ってやつだな」 「うん。これがめっちゃ美味いんだなぁ」 「え? てかガチで作れるようになったの?」 「ガチだよ。胡桃のやつに超スパルタで叩き込まれたんだよねぇ」 胡桃ちゃんのスパルタか。 めっちゃ厳しいってことだけは想像出来るわ。 「今度作ってあげようか?」 「お手並み拝見だな」 「にひひっ! 刮目していいよ」 「楽しみにしてる」 しかし、音葉と胡桃ちゃんがねぇ。 喧嘩ばかりしてるけど、やっぱ何だかんだで仲良いんだよな。 「そうだ。ありがとね、アラタ君」 「うん? 何のこと?」 「またまた〜、惚けちゃって」 「茶化すな。何の話だよ」 「スカウトのことだよ。雪城エンターテインメントから、契約の話が来てるんだよ。メジャーデビューしないかってね」 あぁなるほどね。その話か。 確か、もうすでにいくつかのバンドと契約して、メジャーデビューの話が進んでいるって言ってたな。まぁ当然、音葉達AGEにもこの話が来ててもおかしくはないか。 「別に俺にお礼を言うことじゃないだろ
last updateLast Updated : 2026-04-02
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最終話 桜木家

「なぁ頼むよ」 「えぇ〜」 今年、高校に入学したばかりの息子、桜木奏多《さくらぎ かなた》は心底嫌そうな声を出す。 むぅ……まさかここまで嫌がるとは思わなかったな。 「そんなに嫌なの?」 「嫌だよ。てか、それ以前に何でお見合いなんてしなくちゃいけないのさ。まずは、その理由を聞かせてよ」 「まぁ話せば長くなるんだけどな」 音葉《おとは》と夫婦契約を結んでから、早いもので18年の時が経った。 大学を卒業したその日に音葉と結婚して、その年に第1子である奏多が産まれた。 早くね? って思うかもしれんが、仕方がなかったことなんだ。ちょいとテンションが上がって、音葉とフィーバーし過ぎちまった結果だ。 まぁ色々大変ではあったが、全く後悔はないから良しとしよう。 そして何と驚いたことに、小鞠さんがいつの間にか結婚していて、おまけに奏多と同い年の娘を出産したらしい。めでたいことだ。 で、だ。俺は完全に忘れてたんだが、昔小鞠さんとした約束の話が持ち上がってきた。 そう、お互いの子供を結構させようっていうあれだ。あの時は、冗談だと思って適当に流していたが、どうやら小鞠さんは本気だったようで、つい先日お見合いをやろうという連絡がきたのだ。 んで、慌てて奏多にお願いをしているってわけだ。 「まぁそういうことだ。頼むぞ、我が息子よ」 「いや、頼むぞじゃねぇよ。クソ親父」 「こらこら奏多君。お口が悪いですよ。そんなんじゃいい大人になれませんよ」 「うっぜぇ……」 ち、本当に口が悪いなこのガキ。いったい誰に似たんだか。 「はぁ……分かったよ。とりあえず、出るだけ出てあげるよ」 「お? いいのか?」 「相手は雪城さんの娘さんなんだよね? 父さんと母さんの立場もあるからねぇ」 おぉ……流石俺の息子だ。その辺、言わなくてもちゃんと分かっていらっしゃる。 今の小鞠さんは、音葉が所属している事務所の社長さんだ。俺も個人的に小鞠さんには、そこそこお世話になってる。だから、断るのは少々都合が悪いんだよな。 まぁ断ったからって、あの人が何かしてくるとは全く思わないけど、それでもまぁ色々あるもんなんだよ。 「ただし、条件が3つある」 「ほう。言ってみろ」 「まず1つ目、お見合いはする。ただ、その後のこと
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