All Chapters of 俺とバンド女子のダメ人間契約: Chapter 21 - Chapter 30

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21話 誕生日

「んで? な〜んで俺はクリスマスに野郎と2人で、映画を見に行かなきゃならんのだね?」 「簡単に言うと、音葉《おとは》と風実歌《ふみか》に家から追い出された」 「お前すごいな。今の発言からツッコミどころが満載だぞ」 「いや、マジでそれな」 自分で言っていて、俺は何言ってんだろうな? って思うもん。 「まぁ、とりあえず遠慮せずにツッコんでこいよ」 「んじゃ遠慮なく。何で風実歌ちゃんが居んの?」 「クソ親父達と揉めて家出して来た」 「なるほどな。んじゃこれ以上は聞かないわ」 「話が早くて助かるよ」 龍はうちの事情を把握してくれている。そして、俺が踏み込んで来てほしくないってのを理解してるから追求して来ることはない。我ながら本当に良い友人を持ったね。 「なら次な。東城さんは何で仲間はずれにされてんの?」 「あーそれはだな……」 音葉達のバンド、AGEは3日後に今年最後のライブをすることになっている。んで、メンバーの佐々木さんと松田さんは、今日はその準備をするとかで色々と動いているらしい。だけど、音葉は何もしていない。 「音葉が言うには、手伝うと余計に仕事が増えて邪魔になるんだってさ。だから、2人に来るなって言われんだと」 「なるほどな」 「随分とあっさり納得したな」 「まぁ、東城さんを見てると何となくな」 おぉ、ダメ人間オーラが隠せてない。音葉さん流石っす! 「そんで最後に、何でまたその2人に追い出されたんだ?」 「ほら、俺って今日誕生日じゃん?」 「あーそういえばそうだったな。おめでとさん」 「おう。んで、何でもサプライズでお祝いしたいから、夕方まで出ていけって言われた」 「ほう。事前申告制のサプライズか。斬新だな」 「だろ? だから、帰ったら驚かないといけなんだよ」 「そりゃ大変だ」 そうなんだよなぁ。めっちゃ大変なんだよ。 帰った瞬間にどれだけ上手く驚けるかで、お祝いのレベルが変わってくるからな。だから可能な限り、上手く驚かなくちゃならん。 「まぁそんな訳で、夕方までちょっとつきあってくれ」 「分かったよ。どうせ俺も、夕方まで暇だしな」 「夕方からは松田さんとデートか?」 「あぁ、クリスマスだからな」 そうなんだよなぁ。今日は俺の誕生日であ
last updateLast Updated : 2026-04-02
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22話 爆弾の投げ合い

「よっ、アラタ。それと風実歌《ふみか》ちゃん」 「うす」 「やっほ。久しぶりドラゴン」 「ねぇ、風実歌ちゃん。そのドラゴンってのいい加減やめない?」 「えぇ〜いいじゃん。かっこいいよ」 「やれやれ……」 俺らは、音葉《おとは》達のライブを見るためにライブハウス、『アークエンジェル』に来ている。 ライブの開始までまだ時間はあるけど、出演者の知り合いってことで、早めに中に入れてもらっている。 「それにしても、がっつりイメチェンしたんだな。一瞬分かんなかったよ」 「酷いなぁ。でも可愛いでしょ?」 「あぁ似合ってるよ。でも、髪とか大丈夫なの? 確か校則で髪染めるの禁止だったよね?」 「冬休み中の期間限定」 「なるほど」 まぁ、龍が最後に見た風実歌と今の風実歌じゃ見た目が全然違うからね。 この見た目になる風実歌は、陰キャオーラを出しまくっている地味系女子だったもんな。 「そんなことよりもさ、ドラゴンが松田璃亜《まつだ りあ》さんの彼氏ってマジなの?」 「残念ながらマジなんだなぁ、これが」 「この顔がいいことしか、取り柄のないドラゴンが出世したねぇ」 「だろ?」 「おいこら、相変わらず失礼過ぎる兄妹だな」 そんなこと言ってもなぁ。龍って基本的にバカだし、エロいし、いいところを探す方が難しいんだよな。なのにあんないい子が、龍の彼女とか未だに信じられない。 「で? ドラゴンはいったいどんな酷い手を使って脅してるの? それとも弱みを握ってるのかな?」 「人聞きの悪いこと言うな。俺と璃亜ちゃんはちゃんと愛し合ってるんだよ」 「うわぁ〜、聞きました? あにぃ。今の超くっさいセリフ」 「しかもドヤ顔ですよ、風実歌さん。イタいですねぇイタ過ぎますねぇ」 「ほんとですよ〜。これだから、元厨二病は困りますのよねぇ」 「こんのクソ兄妹め……」 「あらあら、口が悪いですよ。ド〜ラゴン」 「そうだぞ。ド〜ラゴン」 「魔法美少女プリティフミフミ」 「うぇ……」 「ちょ、ど、ドラゴン……?」 龍の一言で、さっきまで笑っていた風実歌の顔が、血の気が引いたみたいに真っ青になる。 ま、マジかよ……そのカードを切るのは反則じゃないか? 「り、龍……? す、少し落ち着けよ……」
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23話 年末ライブ

「次うるさくしたら、ガチで埋めるからな」 「「「すいませんでした……」」」 「ったく……お前らもちゃんと止めろよ」 「にひひ〜、ごめんごめん店長」 「いやぁ、最初は止めようとしたんだけどさ。話が面白くてついね」 「止めるに止められなくて、つい……」 「ついね、じゃないっての……まぁ、とにかくあんまり騒がないこと。分かったか?」 「「「「「「はーい」」」」」」 騒ぎに騒ぎまくった俺達は、ブチ切れた店長に揃って説教をくらった。 いや、マジで怖かった。あの人、結構顔がイカついから怒るとめちゃくちゃ怖いんだよなぁ。 まぁ、悪いのは俺らだから何も言えないんだけどね。 「さてと、私達はそろそろ行こっか」 「だねぇ。それじゃ、アラタ君ちょっと行ってくるね」 「あぁ、何か迷惑かけてごめんな」 「ううん、大丈夫だよ。風実歌《ふみか》ちゃんもライブ楽しんでいってね」 「はい。楽しみにしてます!」 そう言って音葉達は、控え室に引っ込んで行った。 「そういえば、音葉さん達の出番はいつなの?」 「1番最後だよ。大トリってやつだ」 「おぉ流石だねぇ」 「まぁ、このライブハウスだと1番人気だからな」 そうなんだよな。 音葉達のバンドは本当にすごい。ライブの日は、音葉達のファンでフロアがいっぱいになるくらいだ。 「てか、今さらなんだけど、風実歌はどうやってAGEを知ったんだ?」 「あにぃ何言ってんの? 普通にYouTubeに決まってるじゃん」 「え? あがってたの?」 「知らなかったの?」 「初耳だな」 「えぇ……」 いや、だってしょうがないじゃん。俺がAGEを知ったのは最近だし。それに音葉から教えてもらってないしよ。 「まぁ、あにぃらしいか」 「そうそう。アラタってはこんなやつだよ」 「失礼だな、お前ら……」 けどまぁ……間違っちゃないから、否定は出来ないんだけどさ。 「それより、ちょっとその辺に座って飲み物でも飲まね?」 「あーそれ賛成」 「だな」 実は俺も喉がカラカラだ。さっきまで散々大声を出していたからな。 俺達はドリンクを買って、近くにあるテーブル席に座った。 「それで? 風実歌ちゃんはいつまでこっちにいるの?」 「冬休みの間だ
last updateLast Updated : 2026-04-02
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24話 妹の相談と取引

「ホームズ〜、ただいまぁ〜」 「んにぁ〜」 「風実歌、悪いけどホームズに飯やってくれ。俺は晩飯の用意するから」 「ホームズのご飯はいつも通りでいいんだよね?」 「あぁ。そこの棚に入ってるから適当に頼む」 「あいあ〜い。了解〜」 ホームズの飯は実は結構豪華だったりする。山盛りのカリカリに猫用のツナ缶とチュールがトッピングされた特性飯だ。 ライブが終わって、俺と風実歌《ふみか》は一足先に家に帰って来ていた。 音葉達は、他のバンドの人達と打ち上げに行っているから俺らとは別行動だ。 これを朝昼晩の3食きっちり食べるんだから、猫貴族って言っても過言じゃないな。 「それで? 私達のご飯は何?」 「昨日の残りのカレー」 「ふーん」 「何だよ? 不満なのか?」 「いや、あにぃの作るカレーは美味しいから不満はないんだけどさ。何か、ホームズの方がいいの食べてる気がする」 あーやっぱり風実歌も同じこと思ってたかぁ。 「まぁあれだ。ホームズはこの家ではカースト2位だからな」 「家に来てから、たった3日でそれってすごいね」 「そりゃうちの主様が連れてきた子だからな」 「因みにカースト最下位は誰なの?」 「現状だと風実歌だな」 「やっぱりかぁ。となると、私が居なくなるとあにぃが1番下だね」 「そうなるな」 ただ残念なことに、音葉はホームズに懐かれてないんだよねぇ。昨日なんて、音葉がホームズを抱っこしようとしたら、顔面に爪むき出しの猫パンチくらってたもんな。 因みに1番懐かれてるのは俺で、その次が風実歌だ。 「ほい。お待ち」 「お、2日目のカレー待ってました」 「やっぱりさ、カレーは2日目が1番美味しいよね」 「分かる」 個人的には、夜中に食うカップ麺と同じくらい美味い。つまり最強。 「んじゃ、いただきます」 「うい。いただきます」 さてと、ようやく落ち着いて飯も食い始められたところだし、そろそろ本題に入るとしますかな。 「そんで? 話っての何だ?」 「あ、今なんだ」 「落ち着いているんだからいいだろ。それに音葉が帰ってくる前に済ませたいんじゃないか?」 「流石あにぃだね。何でもお見通しか。だったら、内容もだいたい分かるんじゃない?」 「まぁ何とな
last updateLast Updated : 2026-04-02
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25話 大晦日

さてさて。突然だが、片付けってのは色々ある。例えば、部屋の片付けや食器の片付けとかあるな。 そして現在、風実歌《ふみか》は片付けの真っ最中だ。 ん? 何の片付けかって? そんなの決まってるだろ。冬休みの課題である。 「ほれ、手が止まってるぞ〜」 「あーもう! 無理限界疲れた!」 「そんな大声出せるなら、まだまだいけそうだな」 「あにぃの鬼ー! 鬼あにぃ!」 「そっかそっか。んじゃ節分にでも退治してくれ。ほら、そこ間違ってるぞ」 「うぅー」 それにしても、風実歌のやつ冬休みの課題に一切手をつけてなかったとはなぁ。小学生じゃないんだから、毎日ちょっとずつ片付けておけばいいのに。 「大晦日に課題なんてやりたくない……」 「そう思うなら、来年は早めに終わらせとくんだな」 「別にまだ休みはあるんだから、今日やらなくてもいいと思います!」 「そんなこと言ってるから、最終日に泣くことになるんだぞ。それに今年中に終わらせとけば、課題のことを気にせず新年。迎えられるぞ」 「うぅ〜、その正論嫌い〜」 「文句言うな。わかんない所は教えてやるから」 と言ってもこの量じゃ、夕方までかかりそうだな。まぁ読書感想文みたいな、どうやっても時間がかかるやつがないのが救いかな。 「やっほ〜、頑張ってる?」 「あ、音葉《おとは》さん」 「差し入れにエナドリ持ってきたよ。これ飲んで頑張って!」 「優しそうで全然優しくない!?」 「よかったなぁ。音葉も応援してくれるってよ」 こりゃすごい。三大エナドリの他に栄養ドリンク。それに眠気覚まし用のドリンクとガムまであるぞ。これで怖いものなしだな。 「後どのくらい残ってるの?」 「問題集2冊だな」 「あ、これだね。ちょっと見せてね」 音葉はそう言って、問題集を1冊取ってパラパラと流し見る。 「このくらいだったら、何とかなりそうだね」 「ん? そんな簡単だったの?」 「うん。そんなんではないと思うよ」 「ちょっと俺にも見せて」 あ、本当だ。思ってたより、難しくないし問題の数も少ないな。確かにこれだったら楽勝だな。 「よかったな。これだったら意外と早く終わりそうたぞ」 「いやいや……そんなわけないって……」 「大丈夫大丈夫! いけるよ
last updateLast Updated : 2026-04-02
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26話 お風呂場での女子会

―風実歌視点― 人間、不機嫌になると自然と顔に出るものだ。現に私の顔も、もめちゃくちゃ不機嫌そうな顔をしているだろう。 何で不機嫌なのか。それは、せっかく金髪に染めた髪を黒に戻しているからである。 「いつまで、膨れっ面でいるんだよ」 「だってぇ」 「仕方ないだろ。明日にはあっちに帰らないといけないんだから」 「分かってるよ。そんなこと……」 年が明けてしまえば、冬休みなんてあっという間に終わってしまう。明日の昼に新幹線で帰って、その次の日はもう学校が始まる。 私の通ってる学校は校則で髪を染めることは禁止されているから、黒に戻さないといけない。 「ガッツリブリーチしてるからなぁ。定期的に黒染めしないとダメだぞ」 「じゃあ、もうさ金髪のままでよくない?」 「ダメに決まってるだろ」 「ちぇ……」 あーあ……これ気に入っていたんだけどなぁ。 てか、今どき頭髪のことでグチグチ文句言うなっての。別に金髪だからって、成績が下がるわけじゃないんだからな。 「そういやさ」 「うん?」 「ここ数日の音葉《おとは》の様子がおかしいんだが、何か知ってるか?」 お? 流石あにぃだね。こういうのには、すぐ気がついちゃうね。 「うーん。分かんないなぁ。てか、そんなに変わったかな?」 「いや、そんなに大きくは変わってないかな。ただ、前より少しだけ距離感が近くなった感じがする」 「ふーん。それっていつからなの?」 「年明けからだな」 ビンゴ。やるじゃんあにぃ。 音葉さんがあにぃに接し方を変えた日まで、ばっちりあってるよ。 「あにぃはそのことについて、どう思ってるの?」 「うーん。特になにも。ただ単純に急にどうしたのかなってくらいだな」 「え? あにぃそれマジで言ってんの?」 「マジだけど」 おおう……マジっすか。こりゃ、予想外の答えが返ってきたなぁ。 「大丈夫あにぃ? 童貞拗らせ過ぎて性欲死んじゃったの?」 「バカ言うな。俺の性欲はまだまだ現役バリバリだ」 「えぇ……じゃあ何でそんな回答がくるのさ」 「簡単に言っちまうとさ、慣れちゃったんだよなぁ」 「慣れた?」 「そ、慣れたんだよ。そりゃ最初は俺もかなりドキドキしましたよ。あのデッカイおっぱいを押し付けてくる
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27話 ルミナス

「はぁ……帰りたくない……」 「んなこと言ったって仕方ないだろ。文句言うな」 「分かってるよ。そんなこと」 分かってるなら、そんな不満たっぷりに頬を膨らませるなよな。まったく。 とりあえず、この生意気に膨らんだ頬は俺様が直々に潰してやるとするか。あらよっと。 「ぶー。何するのさ、あにぃ」 「んー? むくれっ面でブサイクだったから、可愛くしてやったんだよ」 「ブサイク言うな」 「はいはい悪かったよ」 「もぅ……あにぃのバカ」 ありゃりゃ……更に機嫌が悪くなっちまったな。ふむ、流石にブサイクは言いすぎたかな? 「アラタ君。あんまり妹をいじめるのは良くないと思うよ」 「そうだよ! 音葉《おとは》さん。もっと言ってやって下さいよ!」 「こ〜らこら風実歌《ふみか》ちゃん。あんまり調子に乗っちゃいけませんよ〜」 「いたっ、痛いよあにぃ。ほっぺ抓らないで」 「離して欲しければ、ごめんなさいと言え」 「ごめんなさい」 「よろしい」 やれやれ……やっぱ最後の最後まで風実歌とはこのノリなんだな。ま、大抵のことはいつも通りがいいって言うしな。それに変に湿っぽくなるのもあれだしな。 「ほら、そろそろ時間だぞ」 「うん、分かった」 「そんな顔すんなって。そのうちまた遊びに来い」 「うん。それじゃ行くね」 「おう。またな」 「バイバイ。風実歌ちゃん」 「はい。音葉さん、あにぃのことよろしくお願いしますね」 「任せてよ」 「じゃあね。あにぃ、音葉さん」 そう言って、風実歌は実家に帰って行った。 「行っちゃったねぇ」 「だなぁ」 「にひひ、ちょっと寂しいんじゃない?」 「うるさいなぁ」 「まーまー、そんなに落ち込まないでよ。私がよしよししてあげるからさ」 「いらん」 「ありゃまバッサリ」 当たり前だろ。妹が帰ったくらいで、女の子によしよしされるとか、いくらなんでも情けなすぎるわ。 「まぁいいや。寒いし帰ろうぜ」 「あいあーい」 あー……しかし今日は寒いなぁ。地元は雪が降って寒いけど、こっちはまた別の寒さがあるな。 こういう日は、早いとこ家に帰っておこたでぬくぬくするに限るね。 「あ、そうだ」 「うん?」 「今日、晩御飯いらない
last updateLast Updated : 2026-04-02
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28話 酔っ払いとゲロ

「はい。えぇ、はい。分かりました。では、当日はよろしくお願いします。はい。失礼します」 ふぅ。思ったより、長電話になっちまったな。でもまぁ、これで何とかなるかな。 「にしても、音葉《おとは》のやつ遅いな」 知り合いと飯食ってくるとか言ってたけど、そろそろ日付変わるぞ。 『ピンポーン』 ん? こんな時間に誰だ? もしかして、音葉かな? いやでも、あいつは鍵もってるから、チャイムなんて押さないか。 まぁ、とりあえず出ないとだな。 「はーい。どちらさんですかー? って、おぉ……」 「ははは……ごめんね、桜木君」 「ほら、音葉。着いたよ」 「んん? おぉ〜アラタ君じゃん〜元気〜? 音葉ちゃんは、ハッピーだよ〜。ハッピージャムジャムっ! にっひっひ」 玄関を開けると、佐々木さんと松田さんに支えられた音葉が居た。 「どうしたんだよ? めちゃくちゃ酔ってんじゃん」 「ちょっと、飲みすぎちゃったみたいでさ」 「にひひ〜、もぉ璃亜《りあ》はおバカさんだなぁ。音葉ちゃんはじぇったいにぃ〜、酔いましぇんっ!」 嘘こけよ。 べろんべろんじゃねぇかよ。 「あーはいはい。酔っ払いは黙りましょうね」 「近所迷惑だから静かにしてねぇ」 あちゃ〜こりゃ、完全に出来上がってるなぁ。佐々木さんと松田さんの反応を見る限り、だいぶ前からこんな感じなんだろうな。 「2人とも代わるよ」 「はい。よろしくお願いします」 俺は2人から音葉を支えるのを代わって、部屋の中に入れる。 「あ……」 「うん?」 「吐くね」 「嘘だろ……」 「オロオロ〜ゲロゲロ〜」 ま、まじか……容赦なく吐きやがった。 このTシャツ今日ユ○クロで買ったばっかりなのに、一瞬でゲロまみれになっちまった。 「え、えっと……片付け手伝おうか?」 「悪いけど頼んでもいいかな……」 「うん。その……どんまい、桜木君」 「は、ははは……」 こりゃもう笑うしかないな…… とりあえず、音葉の明日の朝飯はなしだな。Tシャツさんの恨みだ。 ―――― ―― 「2人共ありがとな」 「ううん。大丈夫だよ」 「はい。音葉が悪いんで」 とりあえず玄関の片付けは2人に任せて、俺は音葉をトイレで吐かせるだけ
last updateLast Updated : 2026-04-02
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29話 居酒屋での一幕

―栞菜《かんな》視点― 「解散ってどういうこと!?」 人目もはばからず、音葉《おとは》が大声をあげる。その声に驚いて、私達が今いる居酒屋の他のお客さん達が、何事かと私達の方を見る。 「音葉。他のお客さんに迷惑だよ」 「で、でも!」 「いいから、座りなさい。ちゃんと説明してあげるから」 「……わかったよ」 絢香さんに言われて、渋々って感じで音葉は座る。 まぁ音葉の気持ちは分からなくない。私も、もう少しで同じことをしていたところだ。恐らく、璃亜もそうだろう。 そのくらい、絢香さんが言ったことは私達には衝撃的だった。 「ま、簡単に言っちゃっうとね。私、結婚するんだ」 「「「……はいぃー!?」」」 「んで、再来月にはダンナ様と海外に引っ越すの。だから解散。はい、説明終わり」 いやいや! 足りない足りない、説明全く足りてないってば! いくらなんでも、ざっくりし過ぎだからね! 「ちょ、マジですか……?」 「うん。マジマジ大マジだよ。マージ・マジ・マジーロだよ」 「いや、それだと変身しちゃいますって……」 「嘘だッ! 師匠みたいな人が結婚出来るわけないよ。師匠、モテないからって妄想と現実に区別はつけるべきだよ」 「あっれっれ〜音葉ちゃ〜ん。喧嘩売ってるのかなぁ〜? 殺すぞぉ〜」 「痛い痛い! 師匠、痛いってば!」 うわぁ……絢香さんのアイアンクロー食らってる。痛そう〜。まぁ実際めっちゃ痛いんだよね、あれ。絢香さんって握力60キロあるから。 いや、そんなことは今はどうでもいいか。とりあえず話を戻そう。 「えっと絢香さん。とりあえず、結婚は本当なんですよね?」 「うん。本当」 「なるほど」 そっか。絢香さん結婚するのか。 まぁ絢香さんもそろそろ20代後半だし、結婚してもおかしくない年齢だよね。 「おめでとうございます。絢香さん」 「おめでとうございます」 「うん。ありがとね。で? 音葉はお祝いの言葉ないのかな?」 「爆発して下さい」 「そうかそうかぁ〜。んじゃ、私が爆発する前に音葉ちゃんの頭を握り潰してあげよう」 「ぎゃー! 痛い痛いー!」 はぁ……ったく、何やってんだか。 「それで、アーリャさんと夏鈴《かりん》さんはどうするんですか?」
last updateLast Updated : 2026-04-02
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30話 二日酔いの朝

「と、まぁ。こんなことがあったんですよ」 「なるほどな。んで、その流れから?」 「はい。狂ったように飲み出した感じですね」 話を聞く限りじゃ、まぁ色々あったのは分かるけど、だからってあんなになるまで飲むか、普通? いや、音葉に普通を求めるのはあれか。 「それにしても、その長谷川胡桃《はせがわ くるみ》さんって人も中々だな」 「まぁそうですね……彼女も音葉に負けず劣らずクセが強い子ですから」 「でも、すごい子なんだよ」 「そうなのか?」 「うん。音葉とはまた違ったタイプの天才だね」 「ほーん」 そうか、音葉って天才なんだな。 音楽の知識は全くないから、天才かどうかなんて全然分からないんだよな。だけど、実際に音楽やってる人が言うんだったら間違いないか。 にしても、音葉とは違ったタイプの天才ってどんなのなんだろう? 「あは、あんまり分かってないって顔だね」 「すまん」 「いいよいいよ。うーん、そうだねぇ。すんごく分かりやすく例えると、音葉は感覚で何でも出来ちゃうタイプの天才で、胡桃は努力した分だけ伸びるタイプの天才だね」 あー、な〜るほどね。 うん、確かに言われてみると音葉ってそんな感じするわ。 「これはほんの好奇心なんだけどさ、音葉と長谷川さんって、どっちの方が上手いの?」 「それは難しい質問ですね……」 「うん。すっごく難しいね……」 「え? そんなに?」 「そうだね。今の質問を分かりやすく例えるなら、ゴ〇ータとベ〇ットのどっちが強いか? って聞いてるようなもんだよ」 「なるほど。ごめん、俺が悪かったわ」 「分かってくれてよかったよ」 そりゃそうか。2人とも天才らしいもんな。そう簡単に優劣なんて付けられないか。 因みに俺はゴ〇ータ派だったりする。一応、Zの方な。異論はめんどくさいから受け付けんぞ。 「そうだ。話は戻るんだけど、その対バンってのは、どうやって決着が着くんだ?」 「今回はあっちのルールに合わせる感じですから、お互い交互に3曲演奏して2本取った方の勝ちですね。どっちが勝ちかはお客さんの反応次第です。まぁ、ラップバトルみたいな感じですかね」 「なるほどな。ん? ってことは、アウェーでやるAGEの方が不利なんじゃないか?」 「そんな事ない
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