All Chapters of 俺とバンド女子のダメ人間契約: Chapter 31 - Chapter 40

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31話 怪我といい肉

「さて……被告人、東城音葉《とうじょう おとは》に判決を言い渡します」 「はい……」 「被告人、東城音葉を死刑にしま〜す!」 「いやぁー! 死にたくないよぉー!」 「騒ぐな! お前のやった罪は重いんだ!」 「それでも死にたくない! 弁護士、何とかしてよ!」 「ごめんよ。音葉ちゃん。俺にはもうどうしよも出来ないよ。それに……親友のアラタを手にかけた君を弁護なんて俺には出来ない……」 「そ、そんなぁ……あれは事故だったんだよ」 「うぅ……アラタ……お前の無念は俺が晴らしたぜ……」 「いや、勝手に殺すなよ。てか、いつまで続けるんだよこの茶番……」 この実にくだらない茶番は、かれこれ2時間ほど続いている。ついで言うと、今の判決でちょうど20回目だ。 そもそもの話、なんでこんな茶番が繰り広げられることになったかと言うと、俺が怪我したからだ。左手の骨折という、まぁまぁの重症だ。言うまでもなく怪我させたのは音葉だ。 と言ってもまぁ、あれは事故みたいなもんだから全然怒ってない。 今日は、音葉達のホームであるライブハウスで餅つき大会が開催された。俺と龍は、音葉達の友達ってことで招待されたから参加することになった。 んで、音葉が餅をついて俺が返し手をやってたんだけど、まぁ……そん時に手をぶっ叩かれたってわけだ。 不幸中の幸いってことではないけど、骨折したのが利き手じゃなかったことだな。あの時、右手が疲れてきたから左手で返してたんだよな。 ほんとに利き手じゃなくてよかったわ。 「これはお前のためにやってるんだぜ」 「そうだよ。骨折したアラタ君の気を少しでも紛らわすためにやってるんだよ」 「あーうん。その気持ちは嬉しいよ。ただいい加減飽きたわ」 「なんだよ。せっかく面白くなってきたのによ〜」 「ねぇ〜」 「結局お前らが楽しみたいだけだろ……」 「「まぁそうとも言う」」 こ、こいつらぁ……仕舞いにはシバキ倒すぞ。と言ってもまぁ骨が治ったらだけどな……。 「はいはい。2人ともその辺にしときなさい。ほら、早くテーブルの上を片付けて」 「お? やっと出来たんだね」 「そうそう。出来たの。だから早く片付けて」 「はーい」 「あ、アラタ君は座っててね」 「うん。そうさせてもらうよ。
last updateLast Updated : 2026-04-02
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32話 食後のコタツ

「そんじゃ、俺らは帰るからな」 「あぁ。今日はありがとな」 「またね。アラタ君、音葉」 「明日は夕方くらいに来るから」 「うん。よろしく頼むよ」 「じゃあねぇ〜。栞菜《かんな》、璃亜《りあ》」 夜の8時を少し過ぎた辺りで、今日のすき焼きパーティーはお開きとなった。ちなみに片付けは、栞菜ちゃんと璃亜ちゃんがやってくれた。 いやはや、本当にあの2人には感謝しかないよ。実にありがたい限りだ。手が治ったら、きっちりお礼しないとだな。 「さてと、私たちはどうする?」 「うーん、そうだなぁ。まだ少し腹がきついし、コタツでまったりでもする?」 「おぉ名案」 「んじゃそれで」 はぁ……やっぱコタツ最高。これの魔力には抗えないわ。死ぬ時はコタツの中か布団のどっちかがいいな。 「ん?」 何だこの足に当たる柔らかいのは? 「って、お前かよ。ホームズ」 「んにゃあ〜」 ったく、チュールを食わせてから全く姿が見えないと思ってたら、こんなとこに居たのか。なんですか? 猫はコタツで丸くなる〜ってやつですか? 「ねぇ、アラタ君」 「ん? っと、どうした?」 急に音葉が俺の隣に座って肩にもたれかかってくる。 「あの、さ」 「うん」 「手、大丈夫?」 「あぁ、もう痛みはないな」 「そっか……うん」 もしかして、音葉のやつ気にしてんのか? 「ごめんね。本当に」 「気にしなくていいって言っただろ? あれは事故だって」 「でもさ……アラタ君に怪我させちゃうなんてさ。本当にごめん」 「はぁ……ったく。うりゃ」 「あうっ!」 しょんぼり顔の音葉に元気な右手でデコピンを食らわせてやる。 「な、なにするのさ」 「お前が柄にもなくそんな顔してるからだろ。らしくないぞ」 「うぅー、だからってデコピンすることないじゃん!」 「なんだよ。もう1発ほしいのか?」 シュ、シュっと素振りをしながら、音葉に言ってやる。自慢じゃないが、俺のデコピンは痛いぞ。子供の頃に風実歌《ふみか》にやったらガチ泣きされたからな。そして1週間口を聞いてくれなかった……。 「あーやめてやめて! 今のほんとに痛かったんだから!」 「だったら、そのシケたツラやめることだな」 「うぅ〜」 「シ
last updateLast Updated : 2026-04-02
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33話 風呂と電話

「ふ、風呂って……お、お前……な、何言ってんだよっ!」 「大丈夫だよ。ちゃんと水着着るから」 「いや、そういう問題じゃ……」 あ、でもそれだったらOKなのか? そういや、ラブホで会った時は、こいつ全裸だったもんな。それに比べたらワンチャンあり? って違うわ。そもそもまず、何でいきなり一緒に風呂に入ろうってことになってるんだよ。 「にひひ〜、もしかして、アラタ君ってばビビってるの〜?」 「び、ビビってねぇし!」 「んじゃ、大丈夫だよね?」 「問題ねぇよ! いや、でもさ、何でいきなりそんなこと言い出すんだよ?」 「え? だってさ、左手使えないと体とか洗えないじゃん?」 「確かに」 そういや、その辺のことは全く考えてなかったな。頭はギリなんとかなるかもだけど、体はしんどいよな。 「ってことで、入ろっか!」 「ま、まじで言ってんの?」 「まじまじ。マージ・マジ・マジーロ!」 「いや……えぇ……」 「アラタ君。据え膳食わぬは男の恥だよ」 「それはお前が言うことじゃないからな」 それにまぁ、音葉《おとは》の言う通り、今の状態で風呂ってのは中々しんどいのは確かだ。それによくよく考えたら、これって俺に何のデメリットないんだよな。むしろメリットしかない。 いやだってさ、考えてみ? 合法的に音葉の水着姿を拝めるだけじゃなく、体も洗ってもらえるってことだよな。エロい意味で考えるなら、専門のお店でお金払ってやってもらう領域だ。 しかも、音葉ほど美人でスタイルも良ければ中々高級になってくるだろう。それが無料ときたもんだ。 つまり、俺が何を言いたいかと言うと、このビッグウェーブにっ! 乗るしかないってことだ! 「よしっ、すぐ行こう! 今すぐ行こう!」 「おぉ……急に乗り気になったね。どったの?」 「俺の魂が……いやソウルがっ! 滾っているんだ!」 「つまり?」 「「震えるぞハート! 燃え尽きるほどヒート!! おおおおおっ 刻むぞ血液のビート! 山吹色の波紋疾走!!!」」 ふっ、決まったぜ。さすが音葉だな。分かってらっしゃる。 「てなわけで、行こうぜ!」 「あ、うん。オッケー。とりあえず私は先に着替えちゃうから先に行ってて」 「ん。了解」 ―――― ―― さて……
last updateLast Updated : 2026-04-02
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34話 陽だまり

「で?」 「えっと。で? とは?」 「言わないと分からないかなぁ?」 「い、一応?」 ほら、もしかしたら別のことかもしれないし? ここで下手に喋って墓穴掘るのもあれじゃん? 「ふぅん。そういう態度かぁ。ふぅ〜ん」 「いや、ええと……」 やばい。音葉《おとは》がめっちゃ怖いよ。こんなの初めてだよ。前に怒らせた時とは比べ物にならないくらい怖いよ。 「まぁいいや。とりあえずさ、アラタ君」 「は、はい……」 「溺死と焼死どっちがいい?」 「どっちも嫌だよ!?」 しかも殺し方が、両方ともめっちゃ苦しむタイプのやつじゃん! 怖いっての! 君、そんなこと言う子じゃなかったよね!? 「大丈夫だよ。ちゃんとド○ゴンボールで生き返らせてあげるから」 「この世にド○ゴンボールはありません! だから殺さないで下さい。お願いします!」 「はぁ……仕方ないなぁ。なら、後で1発殴らせてね」 「りょ……了解です」 ま、まぁ……殺されるよりはましか……。ここで駄々こねたら、もっと悪くなる可能性があるし、大人しく殴られよう。納得は出来ないけどな。 「で?」 「とりあえずあれだ。その情報は少し間違ってるぞ」 「どういうこと?」 「正確には結婚するんじゃなくて、お見合いをするだけだ」 「お見合いって……それ結構を前提にしてのでしょ? だったらあんまり変わらないじゃん」 「ま、本来だったらな」 「意味わかんないんだけど」 「ちゃんと説明するよ。ただ、他言無用で頼む。特に風実歌にはな」 「わかった……」 ―――― ―― 「はぁ……そういうことね」 「あぁ」 「事情は分かったけど、それ本当に大丈夫なの?」 「ま、大丈夫だろ」 「すごい自信だね」 「当然。俺は負け戦はしない主義なんでね」 「にひひ。言えてる」 「だろ?」 「分かったよ。アラタ君を信用するよ」 「ありがとうな」 「その代わりさ。それが片付いたら、聞いて欲しいことがあるんだ」 「分かった。俺もちょうど言いたいことがあったからさ」 「うん。分かった」 ありがとうな、音葉。お前のおかげで頑張れそうだ。よしっ! たまには本気出しますかな。 「それで? 風実歌ちゃんはどうするの?」
last updateLast Updated : 2026-04-02
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35話 大当たりからのミッション発令

「うわぁ〜すごい音だねぇ」 「大丈夫か?」 「うん。全然大丈夫だよ。それよりアラタ君、早くやろうよ!」 「へいへい」 俺と音葉《おとは》は、朝イチから近所の大型パチンコ店に来ていた。要は開店凸ってやつだ。 「あ! あったよ、アラタ君! ちゃんと空いてる!」 「まぁ、今開店したばっかりだからな」 「にひひっ! 楽しみだね!」 「何でもいいけど、程々にしとけよ」 「分かってるよ」 やれやれ……本当に分かってるのかねぇ。実に心配だ。 音葉はうっきうきで、目的の台であるPシカロボ『反逆の開戦』に座った。 「で? これはどうやってやるの?」 「ここに金を入れればいいんだよ。んで、このボタンを押せば玉が出てくる。あとは、ハンドルを捻って、ここに玉が入れば抽選が開始される」 「ほうほう。なるほどね」 「ま、百聞は一見にしかずだ。とりあえず、やってみ」 「うん! にっひっひ、さぁパチンコデビューだ!」 「頑張れー」 しかし、まさか音葉がパチンコやりたいって言うとは思わなかったな。 昨日2人でYouTubeを見ていたら、このシカロボの新台の広告が流れてきた。それを見た音葉がやってみたいと言って、ここに来ることになった。 ちなみに今日俺は大学があったんだけど、これに付き合わされたかはサボりだ。はぁ……大学サボってパチンコ打つとか……クズ学生と一緒だな。 ただ……この罪悪感っいうの? 最高に気持ちいい〜! クセになりそうだ。 「早くアラタ君もやりなよ」 「分かってるよ」 俺もサンドに1万円を入れて打ち始める。 一応言っとくと、この金は俺の自腹だ。来る前までは、契約だからと音葉が俺の分の金も出すよって言ってたが、流石にそれは全力で拒否った。いくらなんでも流石にそれはダメだ。俺はプライドなど持ち合わせてないけど、これは最後の一線ってやつだ。 「ねぇねぇ、これはいつ当たるの?」 「さぁな。運が良ければすぐ当たるけど、悪ければ永遠に当たらん」 「うぬぬ……厳しいんだね」 Pシカロボ『反逆の開戦』。スペックは大当たり確率199分の1のライトミドルタイプ。初当たり後3Rのボーナスを消化後、時短1回、残保留4回の抽選が行われそこで当たると、7回のST獲得するタイプだ。突入率は51.2%
last updateLast Updated : 2026-04-02
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36話 刃物って危ないよな

―栞菜《かんな》視点― 「おーい。頼まれていたアンパンと牛乳買ってきたよー」 「遅いよ。栞菜二等兵! もたもたしてると、ターゲットが逃げちゃうんだから」 「誰が二等兵よ……」 ったくもう……急に呼び出されたと思ったら、龍君を尾行するから、アンパンと牛乳買ってこいってさ。私のとこ暇だと思ってるでしょ。 「隊長。ターゲットの様子はどうですか?」 「今のところ特に大きな動きはないな。だが、やつは必ずしっぽを出すはずだ。見逃すなよ、音葉《おとは》隊員!」 「ロジャー!」 はぁ……参ったなぁ。今日はアラタ君もボケに回ってるのかぁ。 てか、そもそもこれどういう状況なの? 私、まじで何も聞かされてないんだよね。いい加減、状況説明してくれないかな。 「あ、隊長っ! 動きましたよ!」 「よし、追うぞ!」 「ロジャー! ほら、栞菜二等兵も行くよ!」 「だから二等兵じゃないっての……」 ―――― ―― 「さて、どう思う? 音葉隊員?」 「これは完全にクロですね」 「なるほど。栞菜二等兵は?」 「同じくクロだと思います。アラタ隊長」 「よし。では、証拠の写真を撮ってくれ」 「了解です!」 さてさて。龍君を尾行しながら、2人に事情を聞いた私が1番最初に思ったこと。 それは――めっちゃ面白いことになってるではありませんかぁ! だった。 これは私も全力で乗っかるしかないよね。 そして今は、女性専門の服屋に来ている。しかも、それなりにお高めなのが揃っているところだ。そこで龍君は、一緒にいる女の人と仲良く服を選んでいる。 傍から見ると完全にデートって感じだね。 「あ、移動するっぽいね」 「よし。追うぞ」 「「了解!」」 因みに女の人は何着か服を購入していた。ちらっと値段を確認したけど思わず、おぉ……って声が出ちゃうくらいの値段だった。あの人、お金もってるなぁ。 まぁ……私も買おうと思えば買えるんだけどね。ただあんまり服とかにお金を使いたくないだけであってね。 ―――― ―― ―アラタ視点― 「お、おぉ……」 「まじかぁ……」 「これは完全にクロだね……」 次に龍達が来たのは、赤ちゃんの服とかおもちゃを取り扱っている赤ちゃん用品店だった。 「え、
last updateLast Updated : 2026-04-02
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37話 喫茶店での一幕

「あははっ、いやぁあはは。流石、獅雄《れお》君の弟だね。中々面白い友達持ってるよ」 「それ褒めてます?」 「褒めてる褒めてる」 俺達はいい感じのお洒落な喫茶店に来ていた。そして、落ち着いた雰囲気をぶち壊すような大笑いをしている女性が1人。そう、獅雄さんの結婚相手だ。 あの後、ヒステリックを起こして包丁を振り回しているやべぇ女を捕まえるために、いつぞやのポリスメンに追われるというハプニングがあったが、まぁ上手い具合に逃げ切り、落ち着いて話をするためにこの喫茶店に来ていた。 んで、何があったかを説明したところ、こんな感じで大笑いされているって訳だ。 「はぁ……ったく、お前らのせいだぞ」 「いや、うん。まじごめん」 謝るしかないとはこの事だな。 「まぁまぁ、面白かったで済んだんだしいいじゃん」 「いや、そういう問題じゃないと思いますよ?」 「こらこら、硬いこと言わないの。ほら、みんなも遠慮せずに食べな。ここはお姉さんの奢りだから」 「「「「あ、はい……」」」」 なんというか……色んな意味ですごい人だな。 「あぁそうだ。自己紹介がまだだったね。私は吉田和奏《よしだ わかな》。因みに旧姓は加藤だよ。ま、気軽に和奏さんって呼んでよ」 「俺は――」 「知ってるよ。桜木アラタ君だよね? 獅雄君と龍君から聞いてるよ」 「ははは、そうっすか」 いったいどんなことを聞いてるのやら。ちょっと心配だなぁ。余計なこと言ってないといいけど。 「んで? その手はどうしたの?」 「あー餅つきしてたら、叩かれて骨折しました」 「あははっ、なにそれ面白ろ! いいねいいね青春してるねぇ」 「ははは……どうも……」 はたして青春と呼べるのか? いや、それよりも人の怪我で爆笑する人初めて見たわ。まぁ別にいいけどね。骨折した経緯が漫画みたいな感じだから笑い話にしてくれてもさ。 「そして、あなたが東城音葉《とうじょう おとは》ちゃんだね。AGEのギターボーカル」 「は、はい……」 「んで、君が佐々木栞菜《ささき かんな》ちゃん。ドラム担当でバンマス」 「は、はい。そうです」 「最後に松田璃亜《まつだ りあ》ちゃん。ベース担当。んでもって、龍君の彼女さん」 「は、はい!」 「いやはや、AGEのみ
last updateLast Updated : 2026-04-02
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38話 戦いのゴングはいつも突然に

『さぁさぁ! ご主人様達! 盛り上がってるかい?』 メイド服を着た黒髪のお姉さんが、マイクを片手にご主人様達を盛り上げる。ご主人様達も歓声や雄叫びをあげて、これでもかってくらいのテンションをしている。 うん。この団結力凄まじいな。きっと金メダルも狙えるだろうよ。何の競技でって話になるけどな。 『よーし! それじゃ始めていきますよー! まずは赤コーナー! 私達のクール系メイドのクルミちゃーん!』 『L・O・V・E! ク・ル・ミ!』 『そしてそして、青コーナー! 音葉ちゃーん!』 『GO! GO! 音葉!』 「ねぇ……アラタ君……」 「どうした? 栞菜《かんな》ちゃん」 「なにこれ?」 「俺も知りたい」 「だよね……」 「うん……」 思い返してみると、ことの発端は音葉のあの発言がきっかけだったな。 ―――― ―― 「アラタ君アラタ君!」 「おぉ……どうした?」 朝からやけにテンション高いなぁ。日曜日くらいゆっくりしたいんだけどなぁ。 とりあえず、プリ〇ュア見ていいかな? 先週いいところで終わったから続きが気になるんだよね。 「メイド喫茶に行こう!」 「これまた随分と唐突だな。急にどうしたん?」 「実は昨日見た夢にメイドさんが出てきたんだよ。これはメイド喫茶に行けっていう神からのお告げなんだよ!」 「残念ながら神は死んだ。だからお告げなんてない。忘れなさい」 ってことで、俺はプリ〇ュアを見る。今日はプリティでキュアキュアな時間を過ごすんだい。 「嫌だ嫌だ! メイド喫茶に行くのー!」 「駄々っ子か!」 「駄々っ子じゃないもん! 女の子だもん!」 「そういう意味じゃねぇよ! てか、20歳過ぎて女の子はないだろ。良く恥ずかしげもなく言えたな」 「アラタ君そういうのよくないよ! 女は何歳になっても女の子なの!」 うわぁ……うっぜぇ。 こういうこと言うやつに限って、都合のいい時は女の子じゃなくて大人の女性だとか言い出すんだよな。 「とにかく、今日はメイド喫茶に行くの! 決定!」 「はぁ……分かったよ。分かったから30分ほど静かにしててくれ」 「はーい」 ったく……まぁ、俺もメイド喫茶ってのには少し興味あったし、1回行ってみたかったことだしいい
last updateLast Updated : 2026-04-02
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39話 メイド喫茶喧嘩マッチ冬の陣

『さぁさぁ! 喧嘩だ喧嘩だぁー! 殴り合いは魂の会話! 殴り合いの喧嘩は男の特権じゃない! 女だってやる時はやるんだ! さぁ! 思う存分後悔なく、殴って蹴って絞めて極めて投げて落として叩き潰せ! いざ! 第1回、メイド喫茶喧嘩マッチ冬の陣開幕だぁー!』 「「「うおぉー!」」」 「「「やっちまえー!」」」 あぁ……ついに始まっちまったよ。 てか、まじで盛り上がりすぎだろ。普通に格闘技の試合を見に来たみたいな盛り上がり方だぞ。 『実況はメイド喫茶ミラクル店長、みーたんがお送りします。そして解説はAEGのドラム担当の栞菜《かんな》ちゃんと、音葉《おとは》ちゃんの同棲相手のアラタ君です。よろしくお願いします!』 『うっす』 『よろしくです』 あ、どうもです。解説のアラタです。 『よーしっ! それじゃゴング鳴らしちゃって』 みーたんの合図で、カーンと、キッチンに立っていたメイドさんが、フライパンをお玉で叩いて鳴らす。うん、実にメイド喫茶らしいゴングですね。はい。 「ねぇアラタ君?」 「ん? どうしたの?」 「これどうなると思う?」 「分からん。ここまできたら、もう見守るしかないんじゃないな」 「まぁそうだよね……はぁ、3日後にはライブだから2人ともこれ以上怪我とかしないといいけど」 「そうだね」 ちなみに、さっきの音葉がやったヘッドバットで割れて流血したお互いの額は、大きめのカットバンを貼るだけで何とかなった。あの感じだと傷も残らないとのことだ。 やれやれ、本当によかった。でもまぁ、これから起こることを考えるとあんまり安心は出来ないんだけどね。 「ねぇ音葉」 「なに?」 「逃げるなら今のうちだよ。ほら、早くごめんなさいして帰りなよ」 「はぁ? それはこっちのセリフなんですけど」 「あっそ。なら、手加減しないから」 「ご自由に」 「それよりもさ。靴紐、解けてるよ」 「え?」 「死ねぇー!」 『あーっと! これはクルミちゃんテクニカルな一撃だぁー! 靴紐が解けてると忠告をして、下を向いて下がった顎を蹴り上げた!』 うわぁ……えっぐ。 『完全に不意を付かれて、まともにくらってしまった音葉ちゃんは、そのまま後ろに大の字になって倒れてしまった! これはいきなり決まっ
last updateLast Updated : 2026-04-02
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40話 2人の会話

―栞菜《かんな》視点― 「……ん?」 「おはよ」 「栞菜……?」 「うん、そうだよ。目覚めはどう?」 「……体のあっちこっち痛い」 「だろうねぇ」 逆にあんだけ殴りあって気絶までして、どこも痛くない元気だよ〜って言われる方が驚くよ。 「……えっと、どうなったか聞いてもいい?」 「もちろん」 ―――― ―― 「あー……なるほどね」 私の説明を聞いた胡桃《くるみ》は、やっちまったなぁみたいな感じで頭を抱えて答える。 きっと頭の中で反省会でも開いている頃だろうね。 「一応聞いとくけど、3日後のライブ大丈夫?」 「大丈夫。てか、大丈夫じゃなくても大丈夫にする。絢香《あやか》さん達の引退ライブだからね。死んでも出る。それに音葉《おとは》には絶対に負けたくない」 なーんか、音葉も同じこと言ってそうだなぁ。まあ、この2人は似たもの同士だから有り得るかな。 「ま、それが聞けてよかったよ。私も胡桃と同じステージに立ちたいしね」 「敵同士だよ」 「分かってるよ。でも、形はどうであれ、また胡桃と同じステージに立てることが嬉しいんだって」 「……そっか」 「多分、音葉や璃亜《りあ》も同じ気持ちだよ」 「まぁ……璃亜はそうかもね。ただ音葉は絶対にそんなこと思ってないよ」 「そんなことないと思うけどなぁ」 なんだったら、音葉が1番嬉しいと思ってるはずなんだよなぁ。 「ま、何でもいいや。とにかく、私は絶対に負けないから」 「うん。それは私達も同じ」 いくら楽しみで嬉しいって言っても、今回は胡桃の言う通りライブバトルだからね。やるからには負けたくない。絶対に勝つ。まぁ、負けるなんて欠片も思ってないけどね。 「んじゃ、話は終わりだね。栞菜、もう帰っていいよ」 「あーそれは無理。私、店長さんに胡桃のこと頼まれてるからね。家まで送って行くよ」 「別にそんなことしなくていいよ。1人で帰れるし」 「残念ながら店長命令なんだなぁこれが。もし逆らったら、給料ピンハネするってよ」 「うっ……あの人だったらやりかねない……」 「まぁそういう訳だからさ、大人しく私に送られていきな」 「はぁ……分かったよ。ただ、もうちょい待ってもらっていい? まだしんどいから、もう少し休んでいき
last updateLast Updated : 2026-04-02
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