甘い一夜が明けた。隆は目が覚めるとすぐに、隣で眠る女性を腕の中に抱き寄せた。かけがえのない宝物を抱きしめるかのように、彼女を強く抱きしめる。この瞬間、隆は自分が一番愛しているのは、奈津美なのだとようやく悟った。奈津美なしでは、もう生きていけない。「奈津美……愛してる……」腕の中の女性が身じろぎし、隆を見上げて優しく言った。「私もあなたを愛していますよ」その声で、隆ははっと我に返った。隆は勢いよく身を起こした。「お前は奈津美じゃない!」「ええ……違いますよ」千佳は布団で体を隠しながらゆっくりと起き上がると、隆を見つめ、妖艶な笑みを浮かべる。「私は千佳ですよ?昨日の夜、私の初めてをあなたに捧げましたが……どうでしたか?」隆の顔は瞬時に青ざめ、全身の血が凍りつくようだった。彼は布団をはねのけてベッドから降りると、よろめきながら数歩後ずさった。「ありえない!昨夜俺の隣にいたのは、間違いなく奈津美だったはずだ!それに、俺はずっと奈津美の名前を呼んでいたんだから、別人なら、どうして何も言わなかったんだよ?」隆の後悔に満ちた顔を見た千佳の口元からは笑みが消え、その目にはみるみる内に涙が浮かんだ。「言わなきゃ駄目でしたか?あなたが彼女のことを忘れられないのは知っています。だから、彼女の代わりになってもいいって思ったんです。あなたに私の全てを捧げられるなら、それだけで満足でしたから。あなたは私に、初めて優しくしてくれた男性です。だから、私が少し我慢すればいいだけだと思って……」千佳はベッドから降りると、隆を優しく抱きしめた。「あなたの心の中で、私が彼女にかなわないのは分かっています。でも、あなたのそばにいられるだけで、私は幸せなんです。もし本当に彼女のことが忘れられないなら、私はいつでも身を引きますから」そう言うと、彼女は床に落ちていたネグリジェを拾い上げ、部屋から出て行こうと背を向けた。そのか細い背中を、隆はやはり見過ごすことができなかった。彼は腕を掴んで、千佳を引き止める。「ごめん。お前の気持ちを考えていなかった」母の言う通りだ。もう大人なのだから、自分の行動には責任を持たなければならない。千佳を口説き落とすまでに、3年もかかったのだ。エリュシオンのNo.1ホステスである千佳は、いくら大金を積
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