前田奈津美(まえだ なつみ)が、前田隆(まえだ たかし)と再婚して3年が経ったある日、奈津美は超高級クラブ「エリュシオン」で、隆がNo.1ホステスである菅原千佳(すがわら ちか)と一緒にいる場面に遭遇してしまった。シャンデリアが輝く個室で、隆は革張りのソファにゆったりと体を預けている。左手の指には葉巻を挟み、右手はスリットの深いドレスを着た千佳の肩を軽く抱いていた。そして、千佳の前には高価そうなプレゼントの山。隆はその中からネックレスをひとつ取り出すと、「どうかな?全部お前のために買ってきたんだ」と囁いた。奈津美は、そのプレゼントに見覚えがあった。それは、隆がわざわざ海外までオークションに出向き手に入れてきた品々だった。数日後には二人の結婚記念日を控えていたから、奈津美はてっきり自分へのプレゼントだとばかり思っていた。だが、それはどうやら思い過ごしだったみたいだ。しかし、プレゼントを贈られた張本人である千佳は、箱も開けずに淡々と言った。「前田さん。私はあなたのこと、好きじゃないって言いましたよね?だから、いくら私に貢いでくれようとも、私の気持ちは変わりません。それより、奥さんの機嫌でもとったらどうですか?再婚したばかりなのに、また離婚になっちゃいますよ?」隆は口の端を上げて笑った。「あいつが俺たちのことに気づく?そんなわけないさ。絶対にバレやしないよ」周りの男たちも口々に囃し立てる。「隆はもう3年もお前に貢いでるんだぞ?でも、こいつの奥さんは全然気づいてないんだ」「それに、男なんてみんなこんなもんだ。ましてや隆みたいな超一流の男なら、愛人の一人や二人いたって、全然おかしくない。でも、残念なことに、こいつの奥さんがそれを許さないからさ。もし、奥さんの心が広かったら、とっくにお前を家に連れ帰ってるぞ」すると、隆は周りに冷たい視線を投げつけた。「黙れ。奈津美のことは悪くいうな」そう言ってから、隆は千佳の方へ向き直り、今度は別人のように甘く囁く。「この後、食事でもどうかな?何もしない。ただ食事をするだけ。お前がいいって言わない限り、俺は指一本も触れないから」隆が千佳に向ける優しい眼差しを見て、奈津美は全身が凍りつくようなショックを受けた。再婚期間も入れれば、結婚して8年になるため、奈津美は隆の性格をよく理解していた
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