「なぁ、近藤先輩」 「ん? なんだよ、総司《そうじ》」 「いくらなんでもさ、肩身狭すぎやしないか? おたくの野球部」 「やめろやめろ。気にしてるんだからよ」 あ、一応は気にしてたんだ。 にしてもまぁ……まじで可哀想だな野球部。同情しちゃうよ。 だってさ、グランド使わせてもらえないんだぜ? いやさ、全くありえない話ではないけどよ、完全に追い出されちゃってるんだもん。グランドに踏み入ることすら許されてないんだぜ。どんだけ酷い扱い受けてんだよ。 ちなみにグランドは、サッカー部とソフトボール部が占領している。どっちも全国大会常連の激強部だ。方や人数すらギリギリの弱小部。 まぁ……うん。パワーバランスは明白だわな。 しかもこれで、野球部は全員坊主っていう悪しき伝統があるんだから可哀想なもんだ。この際、その悪しき伝統を取っ払っても誰も文句は言わないと思うぞ。 そんなこんなで、俺と近藤先輩は練習場所を求めて、体育館裏のほっそくて小さな通路に来ていた。若干でこぼこしてるし、雑草だらけだけど、投球練習するにはギリギリなんとかなるレベルかな。 「ま、とりあえず始めようぜ」 「了解です」 んっと、だいたいこのくらいかな。十八.四四メートル。マウンドからホームまでの距離だ。完全に感覚だよりだから、正確ではないけどまぁ、だいたい合ってるだろ。 「んじゃ、とりあえず軽く投げてくれ。特に意識はしなくていいから、まずは硬球になれることだけ考えろ」 「うっす」 ―――― ―― 「よし。少し休憩にするか」 「そうっすね」 だいたい百球くらい投げたかな。中学の頃に比べると大分少ないけど、まぁ初めての硬球でだし、久々だからこんなもんだろ。 「どうだった?」 「やっぱ違いますね。狙ったところにいかないし、スピードも全然出てないっすね」 「いや、最初にしては十分過ぎるくらいだぞ」 「そうっすかね?」 「あぁ」 まぁ、そう言ってくれるなら、ありがたく受け取っておくか。何だかんだ言っても、近藤先輩はキャッチャーとしては、かなり優秀な人だからな。ちゃんとした野球部がある高校に行っても、余裕でスタメンになれるはずだ。 「そういや、河川敷組は大丈夫かな?」 「あー……どうでしょうね……?」 まぁ……多分
Last Updated : 2026-04-02 Read more