大嫌いな幼馴染み魔女と許嫁になった

大嫌いな幼馴染み魔女と許嫁になった

last updateZuletzt aktualisiert : 02.04.2026
Von:  宮坂大和Abgeschlossen
Sprache: Japanese
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高校二年生になったある日、斎藤総司は魔女の末裔である幼馴染みの花咲姫乃の許嫁になってしまった。 だけど二人の相性は最悪。毎日毎日喧嘩ばかりの日々。 そんな二人のちょっとマジカルな青春許嫁ストーリー。

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Kapitel 1

1話 大嫌いな許嫁

「ふっざけんなよ! こんなクソアマ無理に決まってんだろうが!」

「はぁ!? それはアタシのセリフなんですけど! こんなボケナス絶対に無理だからね!」

「誰がボケナスだ、こら!」

「そっちこそ、誰がクソアマよ!」

高校二年生に上がった今日。俺、斎藤総司《さいとう そうじ》に許嫁が出来た。相手はこいつ、花咲姫乃《はなさき ひめの》。俺の幼馴染だ。やや色素の薄い茶色の髪を左に結ったサイドテール。ちょっと切れ目のエメラルドグリーンの瞳に赤色のメガネを掛けている。肌は白雪のように綺麗で陶器のように滑らか。小柄で華奢だが、意外とメリハリのある体つきをしている。はっきり言って、そんじょそこらの女より圧倒的に美人でいい女だと思う。

ただ。ただ、だ。

「絶対にありえねぇから!」

「だからそれは、アタシのセリフだって言ってんでしょ!」

俺とこいつは、壊滅的に相性が悪い。俺とこいつを一言で表すなら、水と油。または、犬猿の仲というやつだ。顔を合わせれば喧嘩が始まり、口を開けばお互いに罵倒し合う。それが俺とこいつの日常。

そんなやつと、今日から許嫁だぁ? ふざけるのも大概にしてほしい。

「こら、総司。姫乃ちゃんと仲良くしなさい。これから末永く一緒にいることになるんだから」

「姫乃も、総司君にそんなこと言わない。そんなんじゃ仲のいい夫婦になれないわよ」

「だから俺はなる気ないっての!」

「だからアタシはなる気ないっての!」

「あらあら〜、息ぴったりじゃない〜」

「これはいい夫婦になれそうね」

全然話聞いちゃいねぇな、おい。本当にもう、母さんもおばさんも……。

「そもそもお母さん! なんでアタシがこのバカ男と許嫁にならなくちゃいけないのよ!」

「なんでって、そんなの姫乃が魔女だからに決まってるじゃない」

「うぐっ……」

そう。こいつ、花咲姫乃は魔女だ。魔法という不思議な力を使うファンタジーな人間だ。

世の中には、不思議な力を持ってるやつがちょいちょいいる。例えば、霊感が強いやつ、動物と話せるやつ。そんな感じの類いで、こいつは魔法が使える魔女だ。本当かどうかは知らんが、戦国時代から続く魔女の家系らしい。

「で、でも……こいつじゃなくても、他の人でもいいじゃん」

「じゃあ、総司君以上に適任な男の子を連れて来ることね」

「う、うぅ〜」

「総司君も、姫乃が居なかったら困るんじゃないのかなぁ?」

「……ちっ」

おばさん……相変わらずいい性格してる。確かにおばさんの言う通りだ。俺は体質的に、こいつは将来的に居ないと困る。それが分かってて言ってるんだもんなぁ。

魔力。魔女が魔法を使う時に必要とするものだ。まぁ、ゲームとかでよくあるMPみたいなものだな。その魔力ってのは、魔女にとっては必要なエネルギー源だが、俺みたいな普通の人間にとっては劇毒になる。んで、俺はその魔力ってのを無意識に体に取り込んでしまう体質だ。

どこから? っていうと、まぁその辺から、らしい。草木や川、風や土には魔力があって、それを吸ってしまっているとのことだ。

だから俺は、体に溜まった魔力を定期的にこいつに抜き取ってもらわないといけない。じゃないと命に関わる。

んで、こいつは、魔女の家系を残すために何がなんでも子孫を作らなくちゃいけない。ただ一つ問題があって、子供を作る過程で、こいつの持っている魔力が相手にも流れてしまう。そうなった場合、相手は即死してしまう。じゃあどうすればいいか? というと、俺のような魔力を取り込んでしまう体質のやつが必要になる。魔力を取り込めるということは、魔力に対して多少の耐性があるということだ。そんでもって、俺のような体質の人間はかなりのレアだ。

だからまぁ、俺とこいつはお互いに都合のいい関係ともいえる。好き嫌いを除けばな。

「ま、姫乃も総司君も諦めて許嫁になっちゃいなさい」

「…………」

「…………」

「てか、二人がなんと言おうが、拒否権はないんだけどねぇ」

ちっ、母さんめ……他人事だと思って、好き勝手言いやがって。自分の親じゃなかったらぶん殴ってやるところなのに。

「ごめん、お母さん。ちょっとこのボケナスと二人で話させて」

「えぇ、いいわよ」

「ほら、こっち来て」

「ちっ。分かったよ」

気に入らないけど、確かにこいつと少し話をする時間がほしい。

俺はこいつのあとに続いて庭に出てきた。

「で? どうすんの?」

「どうするもなにも。仕方ねぇだろ……」

「そうね……」

分かってる。俺らがどんなに嫌がったところで、この決定を変えられないことくらい。

「はぁ……ほんとに最悪。なんで、こんなボケナスと」

「それはこっちのセリフだ。クソアマ」

「ぶっ飛ばされたいの?」

「やってみろ。クソ魔女」

ほらな。俺とこいつはいつもこうだ。

相性は最悪。絶対に上手くいくわけがない。だけど、残念なことに俺はこいつをこいつは俺を必要としている。本当に最悪だ。

「はぁ……お前のことは大嫌いだけど、仕方ないから許嫁になってやるよ。バーカ」

「そうね。アタシも大嫌いだけど、仕方ないから許嫁になってあげるわ。バーカ」

――――

――

「話はまとまったの?」

「まぁ……一応な」

あれ? おばさんどこ行ったんだ?

リビングに戻ると、おばさんの姿はなく母さん一人だけだった。

「おばさんは?」

「あぁ、今鍵を取りに行ってるわよ」

「鍵?」

鍵って何の鍵だ?

いや、そもそも何で今なの? 全く意味が分からんぞ。

「あ、二人とも戻ったんだ。思いのほか早かったね」

「お母さん、鍵って何?」

「ん? 二人の新居の鍵だよ」

「「……は?」」

新……居……?

ちょ、ちょっと待て……。とてつもなく嫌な予感がする。自分で言うのもあれだが、俺はバカではないつもりだ。その俺の頭が、今の会話から出たピースを一つ一つはめていく。そして一つの答えが導き出された。

それは考える限り最悪の答えだ。

「な、なぁ……おばさん。ま、まさかと思うけど……」

「うん、そうだよ。今日から姫乃と総司君は、一緒に暮らしてもらいます」

ま、まじかよ……。

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1話 大嫌いな許嫁
「ふっざけんなよ! こんなクソアマ無理に決まってんだろうが!」 「はぁ!? それはアタシのセリフなんですけど! こんなボケナス絶対に無理だからね!」 「誰がボケナスだ、こら!」 「そっちこそ、誰がクソアマよ!」 高校二年生に上がった今日。俺、斎藤総司《さいとう そうじ》に許嫁が出来た。相手はこいつ、花咲姫乃《はなさき ひめの》。俺の幼馴染だ。やや色素の薄い茶色の髪を左に結ったサイドテール。ちょっと切れ目のエメラルドグリーンの瞳に赤色のメガネを掛けている。肌は白雪のように綺麗で陶器のように滑らか。小柄で華奢だが、意外とメリハリのある体つきをしている。はっきり言って、そんじょそこらの女より圧倒的に美人でいい女だと思う。 ただ。ただ、だ。 「絶対にありえねぇから!」 「だからそれは、アタシのセリフだって言ってんでしょ!」 俺とこいつは、壊滅的に相性が悪い。俺とこいつを一言で表すなら、水と油。または、犬猿の仲というやつだ。顔を合わせれば喧嘩が始まり、口を開けばお互いに罵倒し合う。それが俺とこいつの日常。 そんなやつと、今日から許嫁だぁ? ふざけるのも大概にしてほしい。 「こら、総司。姫乃ちゃんと仲良くしなさい。これから末永く一緒にいることになるんだから」 「姫乃も、総司君にそんなこと言わない。そんなんじゃ仲のいい夫婦になれないわよ」 「だから俺はなる気ないっての!」 「だからアタシはなる気ないっての!」 「あらあら〜、息ぴったりじゃない〜」 「これはいい夫婦になれそうね」 全然話聞いちゃいねぇな、おい。本当にもう、母さんもおばさんも……。 「そもそもお母さん! なんでアタシがこのバカ男と許嫁にならなくちゃいけないのよ!」 「なんでって、そんなの姫乃が魔女だからに決まってるじゃない」 「うぐっ……」 そう。こいつ、花咲姫乃は魔女だ。魔法という不思議な力を使うファンタジーな人間だ。 世の中には、不思議な力を持ってるやつがちょいちょいいる。例えば、霊感が強いやつ、動物と話せるやつ。そんな感じの類いで、こいつは魔法が使える魔女だ。本当かどうかは知らんが、戦国時代から続く魔女の家系らしい。 「で、でも……こいつじゃなくても、他の人でもいいじゃん」 「じゃあ、総司君以上に適任な男の子を連れて来
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-04-02
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2話 魔女の嘘
アタシ、花咲姫乃《はなさき ひめの》は魔女である。アタシの家は先祖代々続く魔女の家系で、アタシはその末裔だ。 そしてアタシは、この魔女の血を絶やさないために子孫を作らなくちゃいけない。 ただ、一つ問題があって、魔女であるアタシと子供を作るためには、特別な体質を持った人じゃないといけない。その特別な体質を持った人は、かなりのレアで、そうそう居るもんじゃない。でも、アタシはラッキーなようで、産まれた時からその人は居た。 それが、幼馴染の斎藤総司《さいとう そうじ》だ。親同士が仲良くて、アタシ達は子供の頃からずっと一緒に育ってきた。よく一緒に遊んだし、お互いの家に泊まったりもしていた。 今、思い返してみても本当に仲が良かったと思う。あの日までは。 お母さん曰く、アタシは魔法の天才らしい。本来は何年も修行してやっと使える魔法も、一度見ただけで大抵のものは使えてしまう。そんなアタシを、お母さんもおばあちゃんも褒めてくれた。 だから、アタシは調子にのっていた。アタシは何でも出来る、すごい人なんだと信じて疑わなかった。 小学校に上がって少し経った頃、アタシは珍しく魔法を失敗した。箒で空を飛ぶ魔法。魔女が一番初めに覚える基礎的な魔法だ。ただ、その時はちょっと調子が悪かった。軽く浮いた後に、魔力コントロールをミスって、アタシは箒から落ちてしまった。それだけじゃなく、使っていた箒も明後日の方向に飛んで行ってしまう始末だ。恥ずかし過ぎる大失敗。次からはこんな失敗をしないように、もっと修行をしようと意気込むところなんだけど、その時はちょっと違った。 総司君が見ていたのだ。総司君が見ている前で失敗したのは、その時が初めてだった。そんなアタシを見て総司君も驚いていた。でも、すぐに笑顔になってアタシ言った。 「姫乃ちゃんでも失敗するんだね」 多分、何も考えてない、純粋に思ったことを口にしただけの一言。それかアタシを気遣った言葉だったのかもしれない。 でも、その時のアタシには、刃物で切られたかのような鋭く痛い一言だった。 失敗したことによる、恥ずかしさや悔しさの感情。そしてなにより、総司君の前で失敗したという何とも表現出来ない感情がぐちゃぐちゃに混ざりあって、アタシは総司君にバカにされたと勘違いをしてしまった。 そしてアタシは、感情に任せた思っ
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3話 友人との会話
「おいっす。総司《そうじ》!」 「ん? あぁ、翔《かける》か」 「いや、テンション低くね?」 朝っぱらから、やたらテンションの高いこいつは、高木翔《たかぎ かける》。俺の友人だ。 赤髪リーゼントという訳の分からん髪型をした変なやつだ。 「疲れてんだよ」 「あー、もしかして花咲関連?」 「まさしくそれだな」 あのクソアマと一緒に住むことになって、一週間が経った。結論から言うと、最悪の一言に尽きる。嫌いなやつと同じところに住むってのは、とんでもないストレスだ。もはや拷問と言っても過言じゃないな。 「にしても、まさか総司と花咲が許嫁になるなんてな。しかも、今は同居中とかまじで笑えるわ」 「笑えねぇよ、バカ」 「いやいや、俺らからすれば中々面白い出来事だぜ」 「ちっ」 他人事だからって面白がってんじゃねぇよ。それもこれも、あのクソ担任が口走ったせいだ。 流石に高校生同士が同じ家で暮らすってのは、多少問題があるから、母さんとおばさんが学校に報告したらしい。そしたら、あの担任……何をとち狂ったのか知らんが、朝のホームルームで暴露しやがった。まじでありえんだろ。 ちなみに、俺の体質とクソアマが魔女であることは、学校のやつら全員が知っている。 「つーかさ、前々から気になってたんだけど、何でそんなに花咲のこと嫌ってんだ?」 「何でって、嫌いだから以外の回答はないな」 「いやいや、何か理由くらいはあるだろ」 「ねぇよ。ただ単純に嫌いなんだ」 「意味わかんねぇ」 と言われてもなぁ。理由らしい理由はないんだよなぁ。 「あーそうだ。あれだ」 「ん?」 「翔。お前、ゴキブリは好きか?」 「いきなりだな。まぁ普通に嫌いだ」 「何でだ?」 「何でって……特にこれといって理由はないかな。まぁ強いて挙げるなら、見た目がキモイから?」 「つまりそういうことだ」 「は?」 「特に理由もなくゴキブリとかを嫌うのと同じように、俺はあのクソアマが嫌いなんだよ。無理矢理理由を挙げるなら、存在がウザイそんな感じだ」 「お前……とんでもないこと言ってる自覚あるか?」 まぁ、自分でも中々酷いことを言ってるとは思うけど、これが真実なのだから仕方ない。 「まぁいいや。総司と花咲が仲悪いのは今
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4話 魔女の責任
「にゃにをそんなに落ち込んでるにゃ?」 「うるさい……」 「当ててやるにゃ。ソージ関連のことにゃ」 「分かってるなら聞くな」 「にゃはは」 ったくこの猫は……。他人事だと思って、毎回面白がってさ。ほんとにムカつく使い魔。 「それで? 何があったにゃ? 話くらいは聞いてやるにゃ」 「…………」 どうしようかな。モナに話しても何か解決するわけでもないし。 「別に話したくにゃいなら、それでもいいにゃ。でも、そんな辛気臭いのはやめろにゃ」 「ごめん。んじゃまぁ……ちょっと聞いてくれる」 「任せろにゃ」 今日、学校から帰ってくると、そう――ボケナスの方から珍しく話しかけてきた。内容は体に溜まった魔力を抜いてほしいとのことだった。 確かにそろそろだったと思ってし、今日にでもアタシの方から言うつもりだった。それがまさかボケナスの方から言ってくるとは思わなかったな。 まぁ……魔力抜き自体は、いつも通り終始無言で終わった。話しかけてもこないし、目も合わせてくれない。それにずっと不機嫌そうにしていた。よっぽど嫌なんだなってのが、これでもかってくらいに伝わってきた。 こうなることは分かってはいるんだけど、毎回毎回こうだと、流石にキツイものがある。 「まぁ……そういうわけだよ」 「ふ〜ん。まぁいつも通りだにゃ」 「ねぇ、もうちょっと何かないの?」 「あーはいはい。お疲れにゃ」 こんのクソ猫……。そっちから話聞くって言っといて、その態度はないでしょうよ。てか、一応アタシは、あんたのご主人様なんだから、もう少し気を使いなさいっての。 「そういや、モナ」 「んにゃ?」 「あんた、今日はアタシのご飯奪いにこないのね」 「なんにゃ? 奪ってほしいのかにゃ?」 「んなわけないでしょ」 どこの世界に自分ご飯を奪ってほしい人がいるのよ。ただ、毎日のようにやっていた死闘がないから、ちょっと拍子抜けしただけだってのに。 ちなみにいつも負けているから、今日は魔法でぶっ飛ばしてやるつもりだ。ここらで、上下関係ってのをしっかり教えてあげないとね。あと、この間のメガネに猫パンチの恨みをはらさないとね。 「今日はソージに作ってもらったから、大丈夫にゃ。安心して食べるにゃ」 「ちょ、は!? そ、ボケナスに
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5話 日曜日の正しい過ごし方
日曜日。国民の休日というやつだ。つまり、体を休めなくてはならない。肉体的にも精神的にも。 ということで俺は、毎週日曜日の楽しみである、プリティでキュアキュアな朝の教育アニメを見ていた。 うんうん。今週も素晴らしいね。来週も非常に楽しみである。 「ちっ……翔《かける》から電話かよ……」 こんな朝っぱらから何の用だよ。今からスーパーヒーロータイムなんだから邪魔するなってのに。毎週訪れる世界の危機なんだよ。 「うるせぇぞ。切るからな」 『いや、要件くらいは聞けよ』 「CMが終わるまでに話せ」 『お前ってやつは……。まぁいいや、んじゃ要件だけ伝えるぞ。昼に駅前集合な。いいところに連れてってやる』 「いいとこ? どこだよ?」 『ニャンニャンパラダイスだ』 「ほう……」 ということで駅前にやってきた。 まぁ別に? ニャンニャンパラダイスって単語に釣られたわけじゃない。何だったら来なくても全然よかったしな。ただあれだ。友人の誘いを無下にするのはどうかと思っただけだ。 うん。だから決してニャンニャンパラダイスに惹かれたわけじゃない。 「おっす。早いな総司《そうじ》」 「時間に正確だと言え。それで? ニャンニャンパラダイスというのは?」 「めっちゃ乗り気だな、おい」 「いやだなぁ。そんなわけないじゃないですかぁ〜」 「嘘こけよ! どの口が言っとんねん!」 この口じゃい。文句あっか。 ニャンニャンパラダイス。実にいい響きじゃないか。そもそもの話、ニャンニャンパラダイスなんて単語を聞いて、好奇心をそそられない男の子は存在しないんだよ。つまりこれは、正当かつ正常なんだよ。 「まぁいい。とにかく、さっさと案内しやがれ。ウキウキワクワクが止まらんのじゃ」 「やっぱ楽しみにしてんじゃねぇかよ」 「うっせ」 ―――― ―― 「おいこら、翔……。こりゃどういうことだ? ええ?」 「どうもこうも、ニャンニャンパラダイスただが?」 「思ってたのと違うー!」 見た渡す限り、ねこネコ猫! 猫しか居ないカフェ、いわゆる猫カフェじゃねぇか! 「総司。お前、何を想像してたんだよ……」 「そりゃ決まってんだろ。猫耳を付けたメイドさんが萌え萌えで、おもてなしをしてくれるパラダイスだよ」
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-04-02
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6話 魔女の日曜日
「おはおは〜、姫乃《ひめの》」 「おは〜、百合《ゆり》」 日曜の今日、アタシは友達の百合の家に来ていた。前々から約束していた、百合の手伝いをするためだ。 黒川百合《くろかわ ゆり》。魔法具製作の天才。 黒く艶のある髪のセミロングで、大きな瞳をした童顔の少女。体格はかなり小柄で、百四十センチくらいしかない。ただ、おっぱいだけは大きくて、なんと脅威のFカップ。ぐぬぬ……羨ましい。まぁ要するに、ロリカワ巨乳美少女ってやつだ。おいおい神様、設定盛りすぎじゃないですかね? ちなみにアタシのメガネも、魔法具だったりする。効果は、付けた人の視力に自動で度を合わせてくれる。しかも、乱視や老眼にも対応可能。おまけに、フレームは曲がらないし、レンズは曇らない傷つかない汚れないの優れものだ。さらにブルーライトカットも付いている。 まさにメガネ人にとっては、最高の一品なのですよ。 「モナもおは〜」 「おはにゃ〜」 次いでにモナも一緒に連れてきた。 留守番させていてもよかったんだけど、今日のことをモナに話したら、着いてきたいって言ったから連れてくることにした。まぁ、何かの役にたつかもしれないしね。猫の手も借りたいってやつだ。 あれ? 意味違うっけ? う〜ん、まぁいいか。 「それで? 今週はどうだったの?」 「うん。今週も最高だったね」 「そりゃよかった」 アタシの毎週日曜のルーティン。プリティでキュアキュアのアニメとスーパーヒーロータイムを見ること。これだけは外せないんだよね。 「まぁいいや。とりあえず、早速始めよっか」 「うん。そうだね」 「あ、モルモットはちゃんと連れてきた?」 「もちろん」 ポケットから小さなボールを取り出して、真ん中にあるボタンを一回押してから、ひょいっと軽く投げる。地面にボールが落ちると、中から猿轡をされ椅子に縛られた、お父さんが出てきた。本日の可愛いモルモットちゃんだ。 「やっぱり、これ便利だねぇ」 「当然。だって私が作ったんだから」 「一応、アタシも協力したでしょ」 「分かってるってば。感謝してるよ」 アタシと百合が協力して作った魔法具の一つだ。名前は捕獲ボール君。 拘束魔法、縮小魔法、保存魔法の三つの魔法をボール状のカプセルに付与してある。 まぁイメー
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-04-02
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7話 カオスなホームルーム
さて、こので一つ問題です。 担任の先生が激怒しています。何故でしょう? 宿題をやってくるのを忘れたから? 授業中うるさかったから? ノンノン。その考えは浅はかですね。間違いです。 正解は、ある一人の男子生徒が先生におばさんと言ったからでした。 我がクラス二年三組の担任の先生、 名前は枕木しじみ。御歳三十四歳と十ヶ月。アラフォーに片足を突っ込んだ、プリプリピチピチの独身ガールだ。 そんな、しじみ先生は毎週恒例の婚活パーティに参加し、お決まりの撃沈をくらいイライラマックスの中、愚かな男子生徒はしじみ先生に、「三十五歳はまだおばさんじゃないよ」と言ってしまいました。実に愚かです。そして失礼極まりないですね。だって、しじみ先生は三十五歳ではなく、三十四歳と十ヶ月だからです。 そして、しじみ先生にとって、おばさんと言うワードは禁句です。NGワードなのです。 この二つの誤ちを犯してしまった男子生徒は、空手黒帯のしじみ先生による、愛ある正拳突きを受けて、喜びのあまり悶絶しています。 いやはや、人はこうやって成長していくのですね。勉強になります。 まぁそんなこんなで、怒りボルテージが限界突破して、バーサーカーの如く狂喜乱舞しているしじみ先生は、かれこれ二時間ほど恨み言や愚痴などの咆哮をあげている最中です。 ちなみに止めに来た他の先生達は、愛ある正拳突きを受けて、男子生徒同様に喜びのあまり悶絶しています。 まさに地獄絵図ですね。面白い。 「つまりだ! 私が結婚出来ないのは、私に問題があるんじゃなくて、見る目がない男共が悪いんだ! 要するに世の中が悪い!」 流石、しじみ先生。とんでもない暴論だ。 「ちっ……、ったくさぁ。婚活パーティだってタダじゃないだっての。さっさといい男現れろってのに」 おやおや。これはびっくり。 どこから取り出したのか、アサヒスーパードライのロング缶をカシュっと勢いよく空けて、一気に呷りだしたよ。しかも、すかさずセブンスターに火をつけて吸い出しちゃったよ。 これには、教育委員会の頭の悪いお偉いさんもびっくりしてハゲちゃうね。 「まぁいい。とりあえず、本題に入るぞ」 そういえば、まだ本題に入ってなかったな。 とっくにホームルームは終わってる時間だけどね……。 てか、俺はいい加減帰り
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-04-02
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8話 魔女は空で語る
「んで? どうすんの、姫乃《ひめの》?」 「どうするって何が?」 無駄に長くて色々とあったホームルームごようやく終わって、アタシは箒に百合《ゆり》を乗せて空を飛んで帰っていた。 「いや、決まってるでしょ。保育園のボランティアのこと」 「あー……」 そのことかぁ。 しじみ先生ってば、とんでもない爆弾を投下してくれたもんだよ。 「どうしようね……」 「ま、総司《そうじ》君は、すごく嫌そうにしてたけど」 「そんなの分かってるよ……」 分かってるよ。ボケナスがアタシのことを嫌ってるのは。でもさ、あれは流石に言い過ぎじゃないかな? あの時、ちょっと泣きそうだったもん。 「姫乃も、何であそこで言い返しちゃうかな」 「だって仕方ないじゃん。アタシもボケナスのこと嫌いだもん……」 「……嘘つきだねぇ」 嘘つき、か。まぁ間違ってないね。 嘘という魔法を自分にかけたアタシにとってはピッタリの言葉だ。 「ま、聞いといてなんだけどさ。頑張りなよ」 「他人事だなぁ」 「他人事だからね」 と言ってもまぁ、どう足掻いたところで、今のアタシはボケナスに嫌われる運命だ。いつも通り。いつも通り……嫌われて嫌えばいいだけの話だ。 それにしても……あれだね。百合に言われっぱなしというか、こうも言いたい放題言われるのは面白くないね。 そうだ。ここは少しくらい仕返しがてら、からかってみようかな。 「百合は? 高木君とは最近どうなの?」 「ん〜? 昨日セックスしたよ」 「へぇ、セックスしたんだ。ふぇ!? せ、せせセックス!?」 「うわわっ! ちょっと姫乃危ないって!」 「あ、ああ、ごめん」 びっくりした。びっくりし過ぎて、魔力コントロールが少し乱れて、箒がぐらっと大きく揺れちゃった。 しかし、なってこった……。予想の斜め上を行くとんでもない返しがきたよ……。 え? てか、百合と高木君ってそんな関係だったの? 「えっとさ、百合? 高木君と付き合ってるの?」 「ううん。付き合ってないよ」 「付き合ってないのにセックスしたの!?」 「うん」 いや、嘘……。え、まじで? 「あのさ、どういう関係なの?」 「どうって。普通に友達だよ」 「いやいや、それは無理があるでしょ……」
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-04-02
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9話 保育園の美少女ちゃん
「なぁ、少女」 「少女じゃない。美少女」 「……なぁ、美少女」 「なぁに? お兄ちゃん」 「さっきからずっと、アリの観察して楽しいか?」 「う〜ん。普通?」 土曜日。俺らは保育園のボランティアに来ていた。 やることは、午前中は適当に子供達と遊んで、一緒にお昼ご飯を食べて解散という感じだ。 んで、そんな中俺は、黒髪ロングの美少女ちゃんと三十分ほど、花壇の周りにいるアリの観察をしていた。 「他の子と遊ばなくていいのか? ほら、あの辺とか楽しそうじゃん」 ジャングルジムの前で、黒川が作った魔法具で遊んでいる、ちびっ子達の集団を指さす。 服装を自由に変えられる魔法具を使って、スーパーな戦隊や仮面のライダー、プリティでキュアキュアの魔法少女になりきって、楽しそうに遊んでいる。 「私はあーゆう子供っぽいのは、趣味に合わないの」 「子供のくせに何言ってんだか……」 「お兄ちゃん、うるさい」 「へいへい」 まぁお気に召さないのなら仕方ない。でもいいな、あれ。普通に楽しそうだ。俺も体質がなければ絶対に使って遊んでいたんだけどなぁ。 「んじゃあれは?」 今度は、翔《かける》の方を勧めてみる。翔は活発系のちびっ子達と全力鬼ごっこをしている。あいつ、手加減無用で本気でちびっ子を追っかけて逃げてやがる。大人気ないな、おい。 「疲れるからやだ」 「まぁ確かに」 あれは俺もちょっと嫌だわ。 ちびっ子達も、翔に勝とうとかなり本気になってるし。遊びってより、ガチ感が強いんだよな。 「あれは?」 一応クソアマの方を勧めてみる。 あいつは、魔法で雲を乗れるように固めて、軽く空を飛んで遊んでいる。 つか、あれ大丈夫なのか? 万が一にでも落ちたら大変なことになるぞ。 「私、高いとこ怖いから無理」 「お? 意外と可愛いとこあるんだな」 「うわ、うざぁ」 「傷つくなぁ」 いや、ほんとにまじで。 ちびっ子でも意外とダメージあるなこれ。ほんのちょっと胸が締め付けられちゃったよ。 「それに……」 「ん?」 「あの人、何か嫌だ」 「ほう。ちょっと詳しく聞かせてくれよ」 「う〜ん、なんて言うのかなぁ。滲み出るうざさが気に入らない」 「よく分かってるじゃないか。見る目ある
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-04-02
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10話 魔女、怒る
「それじゃ、お疲れ様でした」 「はい。お疲れ様でした。よかったらまた来てくださいね」 「はい。是非」 二日間の保育園ボランティアが終わって、アタシ達は園長先生に軽く挨拶をしてから、保育園をあとにした。 「いやぁ、結構楽しかったな」 「そうだね。高木君とか子供達にめっちゃ人気だったじゃん」 「いやいや、花咲と百合《ゆり》には負けるよ」 「そりゃそうでしょ。だって私と姫乃《ひめの》は、マジカルパワーを使ったんだからね」 アタシの魔法や百合の魔法具は、子供達にウケた。アタシより百合の方が子供を集めてたかな。やっぱり、変身の真似事が出来るのはすごいね。アタシもちょっとやってみたかったもん。 「総司《そうじ》も楽しかったろ?」 「……ん? あ、あぁ……そうだな」 「どうした? 何か元気ない?」 確かにボケナスの様子がおかしい。体調が悪そうだ。そういえば、今日は朝から元気がなかった気がする。 「何でも……ねぇよ……」 「いや、何でもなくはないでしょ。総司君、顔色悪いよ」 「気の……せいだ……」 「ちょ、おい。総司!?」 ぐらりとよろけて、倒れそうになるボケナスを高木君が慌てて支える。 「お前……すげぇ熱じゃねぇかよ」 「え?」 本当だ。すごい熱。正確な体温は分からないけど、多分三十九度は超えてる。 それに……。 「体に魔力が溜まってる……」 何で? ついこの間抜いたばかりなのに。いや、それよりもこの量はやばい。いくら総司が魔力を溜め込む体質だからって、これは限界スレスレだ。 ダメだ。考えている暇はない。今は一刻を争う。 「転移!」 なりふり構わず、アタシは転移魔法を使って家まで飛ぶ。百合と高木君には申し訳ないけど、一緒に来てもらった。人物指定をして転移するより、まとめて転移した方が早いからだ。 「ごめん、高木君。総司をベットに寝かせて!」 「わ、分かった!」 ベットに寝かせられた総司の顔に触って、改めて状態を確認する。 うん。やっぱり酷いなこれ。 「お、おい……何してんだ、てめぇ……」 「うるさい。黙ってて」 「ちっ……」 悪いけど、今は総司の文句なんて聞いている暇はない。 「今から魔力を抜くから。大人しくしてて」 服を脱がせている時
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-04-02
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