All Chapters of 勘違い体質のカンナさん: Chapter 21 - Chapter 24

24 Chapters

出会い、まもなく再会

 声の主は、キセキよりもかなり背の高い男子生徒だった。短髪でがっしりとした体格で、一見すると威圧感を与える風貌だった。しかし、顔立ちは柔らかく怖いという印象は与えなかった。「あ、ごめんなさい。人違いでした」「いいよ。どういたしまして」 男子生徒は笑顔で答えると踵を返し、教室を出ていった。「びっくりしたぁ。キセキかと思ったけど、あんなにイケボじゃないもんね」「悪かったな。でもさっきの、すごい背デカかったな。俺もちょっとヒヤヒヤした」「ホントホント。あの人、確かうちのクラスの人だよね。えーと、何て言ったっけ……」 コンが頭に指を当てて考えると、カンナは横から口を挟んだ。「経堂《けいどう》さん、だったと思います」「あ、そうそう。確かそうだった。あんなに大きいのに、なんか地味だったから忘れてたよ。キセキほどじゃないけど」「悪かったな。それより、スマホ探しに行くんじゃなかったのか」「そうだった。早く行こ」 三人は後始末を終え、今度こそ放課後の町へ繰り出した。 その後、町を歩くコンたちだったが、その足取りは重々しかった。 三人は携帯ショップや家電量販店を巡った。しかし、コンはスマホを探すことを通じ、現実の厳しさをひとつ実感したのだった。「まぁ、そんなに気を落とすなよ。これからまた稼げばいいじゃんか」 キセキの慰めの言葉も、コンにはあまり響いていなかった。「……だってさ、あんなに高いとは思わないじゃん? とてもじゃないけど、あたしの今の稼ぎじゃ全然買えないし。それに月々の料金も見たら気が遠くなりそうで……」 コンは大きくため息をついた。カンナはコンを気の毒に思い、何かいい方法はないかと考えていた。「確かに高かったな。どっかに安く売ってる所ないもんかね」「そういえば、スマホを売っていそうなお店を知っているかもしれません」「ホントに? ダメ元で行ってみたい」「わかりました。確か、こっちの道にあったはずです」 カンナの案内で、コンとキセキは町の裏通りを歩いた。 到着したのは店内に家電が並ぶ、個人経営の小さな電器屋だった。「ここ……? スマホ売ってそうな所って」「はい。家電量販店には電化製品が売っていましたし、ここにもスマホがあるのではないかと思いまして」 カンナはあっけらかんと言った。だがキセキは苦笑いをしている。「多分だけど、
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昼休み

 カンナたちが同時に声をあげ、フリーズしたのはほんの一瞬のことだったが、四人には何倍も長く感じられていた。「あら、もしかしてケンイチのお友達? そういえば気づかなかったけど、同じ制服ね。ごめんなさいね、今日はもうすぐ閉店だから、また明日学校でよろしくね?」 その場の固まった空気は、店の中年女性によって破られた。雰囲気と言葉から察するに、経堂ケンイチの母親と見て間違いなさそうだった。「はい、また明日に。……帰ろう。な?」 キセキはカンナとコンを促し、店の外へ連れ出した。 帰り道。三人はどこか気まずさを感じ、しばらく何も話さず歩いていた。「経堂さん、あそこでアルバイトしていらっしゃったんですね」 考察は的外れではあったが、沈黙はカンナの言葉で破られた。「うーん、ちょっと違うと思う」「違うのですか? でも、働いていらっしゃったみたいですが」「あれはきっと親の手伝いしてたってところだろう。あそこは自宅兼電器屋ってことなんだろうな」「なるほど、世の中には色々な方がいらっしゃるということですね」 カンナは納得して頷いた。話が切り出されたことで、キセキは更に続けた。「で、どうするよ。明日、経堂と話すのか?」「そうするしかないんじゃないの? 誰かさんがまた明日、なんて言っちゃったもんだから、無視するわけにもいかないでしょ」「ちぇっ、俺のせいかよ。しゃーない。三人でいくか」 三人で、と聞くとコンは嫌そうな顔をした。「えー、やっぱりあたしらも?」「そうだよ。一緒にいたんだから」「わかったよ。いけばいいんでしょ」 あからさまに渋るコンと、やはり乗り気でないキセキの二人を見て、カンナは疑問が沸いていた。「あの、経堂さんと話すのは嫌なんですか?」 尋ねられた二人は、一瞬きょとんとした表情を浮かべた。「いや、別にそういうわけじゃないが」「うーん、嫌っていうか、まだ話したことない人と話すのって緊張するじゃん? だから、なんだか気が引けるっていうか」 キセキとコンはそう言った。あたかも、納得できる答えを無理やり探して答えたかのようだった。「そうですか。でもきっと大丈夫です。経堂さん、いい人そうですし」「そうかな……。まぁ、カンナさんがそう言うなら安心かもね」「……念のため言うけど、くれぐれもこの話はあいつにするなよ?」「? わかりました」
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昼食、屋上にて

 その時、向こうから声がかかってきた。「あのー、何か用?」 経堂ケンイチは上から三人を見下ろしていた。かなりの高身長で、三人の中では一番背の高いキセキよりも、少なくとも頭一つ以上は差があった。「あ、いやその、大した用じゃないんだが」 しどろもどろになりながらも答えたキセキ。だが話しかける目的で近づいたのだから、完全に嘘になってしまう。慌てて、コンはキセキに小声で促した。「違うでしょ! 話するんでしょうが!」「んなこと言ったって、何話せばいいかわかんないだろ!」 二人でひそひそ話をしたことで更に不審感を与えたのか、ケンイチは眉をひそめて言った。「用がないなら、失礼していいかな。これからお昼だから」 ケンイチが自分の鞄から弁当箱を取り出し、席に着こうとしたその時、カンナは口を開いた。「あの、もしよろしければ、ご一緒しませんか、お昼?」 ケンイチと、キセキとコンも、視線をカンナに注いだ。ケンイチはきょとんとした表情を浮かべたが、すぐに聞き返した。「一緒にお昼? どうして?」「経堂さんとお話がしたいからです。昨日お世話になりましたし」「昨日? ……あぁ、お店に来てくれたよね。僕は特に何もしてないけど?」「あのね、昨日の掃除の時、あたしが届かないところに物置くの手伝ってくれたじゃない。それのお礼がしたいの」 思い出したかのように、コンは付け加えた。「そういうことなら、まぁいいけど……。どこで食べるの?」「屋上などどうでしょう。前に行きましたので」 カンナの提案に乗り、四人は屋上へと向かう。その後屋上で昼食を食べ始めた四人だが、話題を切り出す者はおらず、黙々と昼食を口に運ぶことしかできていなかった。キセキもコンも、おそらくはケンイチも、誰か何か話せと頭の中で念じていただろう。 そんな中、最初に話を切り出したのは、カンナだった。「あの、経堂さんのご趣味は?」 気まずい空気が流れる。キセキは咳払いをして、カンナの元に行くと耳打ちした。「お見合いかよ。なんかもっと他になかったのか、質問」「違うのですか? 相手のことを知るには、いい質問かと思ったのですが」 しかし、ケンイチは何か考えているような素振りを見せ、しばらくして口を開いた。「趣味は……、漫画読んだりゲームしたりすることかな?」 ケンイチがそう答えたことで、場の空気が少し
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コンプレックス

「あの……。あたしたち何か変なこと言った?」「あたしたち……?」「ああごめん。そういうことじゃないんだ。ただちょっと、昔のこと思い出して」「昔のこと?」「うん。僕、小学生の頃から身長は高かったから、たまに怖がられたりいじられたりしてたんだ。いじめってほどではなかったけど、いい気持ちはしなかったね」 ケンイチの話に、場の空気はまた重くなる。彼は更に続けた。「親戚の人たちに会った時には、将来はスポーツ選手か? なんて言われるのがお決まりのパターンで。冗談なのかもしれないけど、やっぱりいい気持ちはしなかった。なんだか勝手に人生を決められてるみたいでさ」「そうだったの。大変だったね……。でも経堂くん、話してみたら気さくで面白いし、全然そんな感じしなかったよ」「気持ち、わかる気がする。誰だって見た目で判断されたくないよな」 キセキとコンは同調した。キセキは何か共感できる部分があるようだった。「キセキにもそんな過去があったんだ。意外〜」「そら俺にも色々あるわい。説明する気にもならんが」 ケンイチの話題をそっちのけで、キセキはコンにツッコミを入れる。 その話をひとしきり聞いたところで、カンナは唐突に尋ねるのだった。「経堂さんは、石みたいと言われたことはありますか?」「ぶっ、おま、急になんでその話を……」 当然ながら、キセキは吹き出して焦りだした。「石? そんな呼ばれ方は今までされなかったけど。どうして?」 ケンイチは不思議そうな顔を浮かべて聞き返した。「キセキさんは目立たないから石のようだと言われてきたそうです。でも同じ男性ですが、経堂さんとキセキさんは全く違います。コンさんは狐さんの真似をしますが、同じ女性の私はやったことがありません。そういうことです」 一同、カンナの言葉を理解するのに時間を要し、得も言われぬ空気が漂う。「えーと、つまりは……どゆこと?」 考えてもわからないと思ったのか、コンは全員に向けて尋ねた。「要するに、人を見た目や特性だけで同じに見なくていいってことだろ? カテゴライズしなくていいって言いたいんじゃないのか?」「それが言いたかったのです。人に何を言われても、経堂さんは経堂さんであればいいのではないですか?」 キセキの要約をカンナは肯定した。やや強引で支離滅裂な表現ではあったが、ケンイチの心には響
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