結局、ツアーは山形、金沢、静岡、京都、鳥取、愛媛、宮崎で行うことになった。 前回は全国五都市での開催だったのが、今回は七都市。 日程が前回より長くなったのは当然だけど、やはり地方都市だけあって大人数を集められるだけの箱がなくてほとんどが野外コンサートになってしまった。 どこまでも広がる空の下、声を大にして唄うなんて初めての事なのでとても楽しみ。 お願いだから前回みたいに停電トラブルは勘弁してほしいけど。さすがに音響も何もない露天で隅々まで声を響かせるなんて不可能だし。「ツアーが終わるころには暑くなりそうだな」 キャリーバッグを片手に二階から下りてきたより姉が椅子に腰かけながら言う。「ひよりのお腹も大きくなってくるのかな?」「それくらいではまだ目立つほど大きくなりませんよ。予定日は来年の春ですから、人によりますけど妊婦だと服の上からでも分かるようになるのは年が開けてからじゃないですか」 わたしの質問にかの姉が答えてくれた。 いくらこんな見た目をしていても、女の人の体にまで詳しくないわたしには新しい事ばかり。 お父さん教室とかにも参加した方がいいのかな。「ゆきはなんでもできるから心配ない」「いくらわたしでも知らないことは勉強しないとできないよ。これから時間を見つけては調べていかないと」 あか姉の信頼は嬉しいけど、わたしだって最初から何でもできるわけじゃない。人間離れしてる面があるのは認めるけど、それでも基本は人間なんだから。 そんな話をしていると、ひよりの部屋から物音が聞こえてきたので二階に上がった。「ひより、準備できたー?」「あれ、ゆきちゃん? どうしたの?」 不思議そうな顔でわたしを見てくる。やれやれだ。 自分の身体がどういう状況なのか自覚を持ってほしい。「荷物重いでしょ? 重いものを持たせるわけにはいかないからね」 妊婦に重いものを持たせてはいけないと書いてあった。ましてやまだ安定期にも入っていない妊娠初期。流産する危険性が比較的高い時期らしい。「いくらなんでも過保護すぎだよ。これくらいの重さならどうってことないよ」「そんなこと言って何かあったらどうするの! 用心するにこしたことはないんだから」 なんで妊娠してる本人がこんなに呑気なんだろう。「少しは動かないとダメなんだよ。無理は禁物だけど、軽い運動程
Huling Na-update : 2026-05-16 Magbasa pa