凪はまず宝石鑑定士に依頼し、正式な鑑定書を出してもらい、そのネックレスが偽物であるという証拠を手に入れた。その後、警察へ駆け込み、美優が盗んだとは一切口にせず、慎重に状況を説明した。【昨夜、菊地徹に貸していたネックレスが、戻ってきたのですが、その時には別物にすり替わっていました】と伝えると、偽物であることを証明する鑑定書を提出した。その後、凪は病院へ向かい、中絶用の薬を手に入れた。穂花が流産させられた時、美優が麻酔も打たずに手術したことを凪は知っていた。いっそ、美優を捕まえて、その身に同じ苦痛を味わわせてやりたかった。しかし、そんなことをすれば、徹に怪しまれる可能性があるため、凪はぐっと堪えた。凪は事前に探偵に調査させ、徹と美優が密会している場所を突き止めていた。信じがたいことに、それは徹のオフィスだった。凪は隙を見て、オフィスのあるビルに忍び込み、二人が飲むであろうコーヒーサーバーに例の薬を仕込んだ。事後に必ずコーヒーを口にするはずだと、彼女は確信していた。凪が以前設置した小型の監視カメラで監視していると、予想通り、美優がオフィスに入ってきた。二人は服を脱ぐ暇もなく、すぐさま肌を重ね始めた。徹はデスクの引き出しを開け、ムチやロープなどの道具を次々と取り出した。彼は今のいら立ちを、すべて美優にぶつけていた。さすがの凪でも嫌悪感を覚え、眉をひそめたが、顔には出さず、そのまま聞き耳を立て続けた。耐えきれなくなった凪は、穂花にメッセージを送った。【あんなクズ男に、あんたは何年間執着してきたの?】凪は穂花が徹のことを心から愛していること、そして、彼と結婚するために、穂花が数々の陰口を叩かれ、傷ついてきたことを知っていた。実の妹ではあるが、凪は以前から穂花のことを強く疎ましく思っていた。一卵性双生児でありながら、自分は生まれつき耳が聞こえないのに、穂花は何不自由なく健常者として生きている、どうして自分だけが、生まれてからずっと、周囲から異質な目で見られなければならないのか?その不公平さゆえ、凪は妹である穂花を憎んでいた。しかし今や、穂花は家の中であれだけ苦しめられているだけでなく、外でも踏みにじられており、そのあまりにも惨い二人の仕打ちを目の当たりにしていると、今度は穂花の弱さが歯がゆくてたまらなくなった
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