約束の時間を決めた後、穂花は凪の入院する病院を訪ねた。穂花が病室に入ると、凪はひどく興奮して、テーブルの上のグラスを掴んで投げつけてきた。「出て行って」と、凪は怒鳴った。穂花が身をかわすと、グラスは彼女の足元で砕け散った。穂花は破片を避けながら凪に近づき、単刀直入に言った。「お姉さん、力を貸してほしいの」馴染みのあった「お姉さん」という呼びかけに、凪は驚いたように穂花を見た。しかし、今の自分にある傷跡も、元はといえば穂花を巡る騒動が原因だったため、自分に穂花を助ける術などあるとは思えなかった。穂花は周囲を見回し、他の人がいないことを確認してから、ベッドのそばに腰を下ろし、小声で囁いた。「お姉さん、徹を殺したいの。成功したら、私が相続する財産はすべてお姉さんに譲るわ」その言葉に、凪は目を見開いた。あの気弱だった妹の穂花の口から出た言葉とは思えなかった。「私がそれを信じるとでも?」凪はもごもごとした口調で問い返した。穂花に人を殺すような冷酷さがあるとは思えない。ましてや、徹が死ねば手に入る莫大な財産を、簡単に差し出すなど、信じがたかった。疑う凪に、穂花は静かに言った。「信じないなら、契約書にサインしてもいいわ。お金なんていらない、私がほしいのは自由だけ」凪はしばらく黙り込んだ後、こう続けた。「あなたに人を殺す度胸なんてあるの?」「だから、お姉さんの力が必要なの」穂花は自分の限界を理解している。徹を死に追いやりたいと思っても、いざとなれば手が止まるかもしれないが、凪は違った。凪は徹底して打算で動く人間で、穂花とは正反対の性格だった。二人の姉妹は、正反対の性格を持っていた。凪が無言のままでいたため、穂花は彼女の考えを読み取れなかった。たとえこの話を徹に告げ口されたとしても、証拠がない以上、どうにもならない、穂花はそう踏んでいた。「いいわ、協力してあげる」凪が穂花に協力しようと思った理由は、お金という目的のためだけではなく、徹という男が救いようのない人間だと分かっていたからだった。これ以上、穂花が徹に蹂躙されるのを見たくなかった。穂花に同情しているわけでなく、ただ徹が穂花にふさわしくないと思っただけだ。今回は気まぐれに、哀れな妹に手を貸してやることにした。その言葉を聞い
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