世の中には、男にモテる女と、そうじゃない女がいる。私は昔から責任感が強く、学生時代はなぜか毎回、学級委員に選ばれていた。小・中・高、すべて学級委員。──当然、モテない側だ。それでもいいと思って生きてきた。好きでもない男に好かれるくらいなら、一人でいる方がマシだと、本気で思っていた。周りからは「一人で生きていけそう」とか、「肩で風切ってる」なんて言われてきた。……本当は、寂しくないわけじゃない。でも、それを見せるのが悔しくて、ずっと強がってきた。──こういうところが、可愛くないのかな。そんな私の周りには、なぜかいつも“首が揺れる女”がいた。「菜穂ちゃんは強いから~」そう言って、口元で手を合わせて「えへ」と笑う。その首は、いつもふわふわと揺れている。男は、大体こういう女が好きだ。フリルにパステル、ゆるふわの髪。甘い香りをまとって、天然を装いながら、男の懐に入り込むのが上手い。(ちなみに私も天然らしいけど、私の場合は“お笑い担当”らしい)そんな私にも、社会人になってから彼氏ができた。婚約が決まった矢先──彼は、“首が揺れる女”と浮気した。しかもその女は、二児の母。既婚者であることを隠したまま、彼に近づいていた。そしてある日。私は、ホテルから出てくる二人を見てしまった。頭が真っ白になって──気づけば、走り出していた。次の瞬間。強い衝撃と、ブレーキ音。視界がぐらりと揺れて、地面が近づいてくる。──ああ、これ。死ぬやつだ。意識が遠のく中で、ふと思い出したのは、昔スナックで出会った女の言葉だった。「私、首が据わってるでしょう?それがダメなんだって。男は、首が揺れてる女が好きなんだって……」皮肉なことに──私が最後に見たのは、婚約者の背後で、口元を押さえながら、“ショックを受けたふり”をしている彼女の姿だった。その首が、ゆらゆらと揺れていた。
Last Updated : 2026-04-18 Read more