妊娠八ヶ月。破水したその日は、夫・寺沢慎司(てらざわ しんじ)の養子・寺沢春斗(てらざわ はると)の誕生日だ。自分の子と養子の誕生日が重なるのを避けたいという理由で、慎司は日付が変わるまで産むなと強いてきた。なかなか病院へ連れて行ってくれず、さらには私・寺沢心愛(てらざわ ここあ)を地下室に閉じ込めたのだ。慎司は冷酷な眼差しで私を見下ろした。「心愛、本当に図ったようなタイミングだな。わざわざ春斗の誕生日に産もうとするなんて」湿った床に這いつくばり、破水で濡れたワンピースのまま、私は病院へ連れて行ってほしいと縋り付いた。赤ちゃんが外に出ようと焦っているのが分かり、このままでは命に関わると感じた。慎司の瞳に落胆の色がよぎり、声は氷のように冷え切っている。「まだ嘘をつくのか。医者に確認したところ、破水したからといってすぐに産まれるわけじゃないそうだ。三日後に産まれた例だってある。俺の妻でいられなくなるのが怖くて、自分の子の誕生日を春斗と同じ日にしてまで、春斗の存在を薄めようとするなんて……お前の浅知恵には恐れ入る」私は深く息を吸い込み、絶望の中で声を絞り出した。「お腹にいるのは、あなたの子でもあるのよ!慎司、お願い。この子のために助けて。赤ちゃんさえ無事なら、もう二度とあなたの前に現れないと約束するから」それを聞いた慎司の顔が険しく歪んだ。彼は身を屈めて私の顎を掴むと、荒々しく言い放った。「そんな駆け引きが通用すると思うな!日付が変わるまで大人しくしていれば、病院へ連れて行ってやる。無事に産めたら、子供のために離婚しないと約束する。さらに妻として認めるんだ」言い捨てて、彼は立ち去ろうとした。私は青ざめた手で彼のスーツの裾を掴み、血の気のない顔を上げて必死に訴え続けた。「病院へ……お願い、連れて行って」慎司は鼻で笑い、私の手を力任せに振り払うと、ためらうことなく地下室の外から鍵をかけた。扉の向こうから冷淡な指示が聞こえてきた。「山本さん、こいつを見てろ。俺の許可なく出すんじゃないぞ」慎司に蹴り飛ばされ、私は床に激しく叩きつけられた。咄嗟にお腹を庇ったが、足の間から熱いものが溢れ出すのを感じた。目を向けると、真っ白だったワンピースが、じわじわと鮮血に染まって
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