「プロポーズした日、俺は本気だった」慎也は低い声で言った。「お前を守りたかった。けど結局、全部裏目に出た。お前が何より大事にしていたつかさを傷つけて……俺たちの子まで奪った。ごめん、紗月。本当に悪かった。許してもらえるなんて思ってない。でも……それでも、後悔してるんだ。心から」話しているうちに、慎也の声は少しずつ掠れていった。けれど私の中に湧いたのは、同情ではなく、吐き気にも似た嫌悪感だけだった。「結局、あなたは何も変わっていないのね」私は冷たく言った。「私を引き戻すためなら、今度は反省しているふりまでするんだ」私は迷わず背を向けた。ドアを開けようとした、そのときだった。背後から、慎也の声が聞こえた。「離婚届には、もう署名した」私の手が止まる。続く言葉に、指先がドアノブに食い込んだ。「絵梨は、俺が殺した。遺体は海に沈めた」その日のうちに、警察は関係各所と連携し、海で捜索を始めた。やがて、絵梨の遺体が引き上げられた。海水に浸かっていた遺体はすでに腐敗が進み、生前の面影などほとんど残っていなかった。慎也は、自分が犯したことをすべて認めた。そして同時に、陽翔のことも供述した。つかさを殺す計画を立てたのは、陽翔だった。自分で手を下さなかっただけで、方法を考え、慎也に実行させていたのだ。つかさの命を奪った罪。絵梨を殺した罪。そして、私のお腹にいた子まで奪った罪。すべてが明るみに出た。判決の日、慎也は不気味なほど静かだった。一方の陽翔は、最後まで現実を受け入れようとしなかった。法廷で声を荒らげ、椅子から立ち上がる。「あれは俺の子だぞ!俺がいなければ、あの子だってこの世に生まれてこなかったんだ!あんな小さい子、まだ何も分からない赤ん坊じゃないか!赤ん坊が一人死んだくらいで、なんで俺だけがここまで責められるんだよ!」その場にいた誰もが、息を呑んだ。陽翔はなおも喚き続けようとしたが、すぐに係官に両脇を押さえられ、そのまま法廷から連れ出された。法廷を出ると、陽翔の両親と鉢合わせた。避けて通ろうとしたのに、二人はいきなりその場に膝をつき、私の行く手を塞いだ。「紗月、お願いだよ。陽翔は取り返しのつかないことをした。でも、あんたたち、一度は夫婦だった
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