「三千円?ぼったくりじゃないの!」そう言い放ったのは、つい最近村に戻ってきたばかりのインフルエンサー、浅桐未桜(あさぎり みお)だった。彼女はただ慣れない環境で、軽い下痢を起こしていただけだ。僕は最も穏やかな整腸薬を処方したにすぎない。「浅桐さん、この薬は原価が二千五百円なんです。診察料として五百円しかいただいていない、高くはないですよ」「嘘つかないでよ!」彼女は手にしたスマートフォンを振り、画面をこちらに突きつけた。「今ネットで調べたけど、まったく同じ薬が二千円で売られてる!しかも送料無料よ!診察料が五百円だけですって?あんたたちみたいな田舎のクリニックには国から補助金が出てるでしょ?それ、全部自分の懐に入れてるんじゃないの?」補助金?僕は一瞬言葉を失い、苦笑した。あの補助金は申請手続きが煩雑なうえ、焼け石に水にすぎない。仕入れの手間を省くため、僕は昔から顔なじみの製薬工場を自ら回って薬を仕入れている。効き目がよく、副作用が少ないものを選ぶためだ。思えば、名門大学を卒業した当時、いくつもの大病院から声がかかった。だが村長が訪ねてきて、村は市内から遠く、高齢者や子どもが診察を受けるのがあまりにも不便だと訴え、戻ってきてくれないかと頼んだのだ。幼い頃、父を早くに亡くした僕と母を支えてくれた村人たちへの恩を思い、僕はその願いを受け入れた。こうしてこの村の医者になって、もう五年になる。この手の理不尽な患者には、これまでも何度か出会ってきた。僕はすぐに壁に掲げてある料金表を指し示した。「すべての薬の価格は公開されています。仕入れにも費用がかかりますし。あなたから一銭たりとも余分には取っていません」「へえ、見た目だけはちゃんとしてるのね」未桜は腕を組み、鼻で笑った。「でもね、こういうぼったくりのやり方は、世間知らずの田舎者しか騙せないのよ」そう言って白い目を向けると、クリニックの内外で順番を待っていた患者たちに向かって声を張り上げた。「みんな見て!この医者、ぼったくりしてるわよ!私たちをカモにして金を搾り取っているだけよ!」その言葉と同時に、周囲の視線が一斉に僕へと集まった。そこには値踏みするような疑念が混じっていた。すると、隣の家の小さな女の子――吉田琴代(よしだ ことよ)が人混
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