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第4話

Author: ジンジャー王
未桜の言葉に、その場はまるで雷に打たれたかのように、一瞬静まり返った。

次の瞬間、彼女は群衆の中から岩本里奈(いわもと りな)を引っ張り出した。

里奈は目を泳がせ、僕と視線を合わせようとせず、蚊の鳴くような声で口を開いた。

「か、彼は……この前、腰の治療をしてくれたとき、マッサージを口実に体を触ってきて……」

群衆は一気に沸き立った。

そこへ村長もすかさず前に出て、僕を指さした。

「それに、お前の出した証拠の金額が本当かどうかも分からん!

聞いた話では、前から製薬会社の人間と結託して、仕入れ額を水増しし、リベートを受け取っていたそうじゃないか」

言い終わるや否や、見知らぬ男が人混みをかき分けて現れ、自分は製薬会社の従業員だと名乗った。

「証言できます。こいつの伝票の金額は全部嘘です!うちの社長と組んで、ずっと金を騙し取っていたんです」

隣にいた調査チームの役所の職員は顔色を変え、厳しい口調で告げた。

「もし事実であれば、これは詐欺行為に当たります。刑事責任を問われることになりますよ」

滑稽だ。

人を救ってきたことが、罪になるのか。

僕はクリニックの隅にある防犯カメラを指さし、一語一語はっきりと言った。

「僕がセクハラをしたかどうかは、防犯カメラが証明してくれます。

それに、この製薬会社の社員という人は、僕は全く知りません。僕が仕入れている工場も、彼らが言っているところとは別です。

通話履歴も送金記録も、すべて調べれば分かります」

調査チームはすぐに人員を割り振り、確認に向かった。

計略が破れたと見るや、未桜はすぐに次の手を打った。

「みなさん、話を逸らされないでください。彼の一番の問題は、無資格医療です」

彼女は悠を指さし、声高に言い放った。

「佐藤さんの手は、この人が勝手に手術してダメにしたんです!」

その言葉に合わせるように、悠は腕を押さえて大げさに叫び出した。

「そうだ!こいつだ!クリニックで違法な手術をしたんだ。

今でも傷がずっと痛む。後遺症が残ったに決まってる」

役所の職員の顔は、もはや最悪の表情を浮かべていた。

「無資格医療および傷害の疑いが事実であれば、あなたの医師資格は即時取り消しとなります」

僕は口を開き、なおも何か言おうとした。

だがそのとき、未桜が数歩で母の前に詰め寄り、侮蔑の眼差しを向けた。

「親が親なら子も子ね。年寄りもろくなもんじゃない、そんな親に育てられた子がまともなはずないでしょ?」

もともと怒りで気が上っていた母は、その言葉に耐えきれず、目の前が暗くなったのか、そのまま後ろに倒れ込んだ。

「母さん!」

僕は狂ったように駆け寄り、母を抱きとめ、必死に呼びかけた。

しばらくして、母はかろうじて意識を取り戻したが、息は弱々しかった。

だめだ、すぐに病院へ運ばなければ、手遅れになる

僕は母を背負い、人混みをかき分けて外へ出ようとした。

だが未桜は村人たちを引き連れ、壁のように立ちはだかり、道を塞いだ。

自撮り棒を掲げたまま、彼女は歪んだ笑みを浮かべた。

「同情を買って逃げるつもり?そんな手、通用するわけないでしょ。

まずは私たちから騙し取ったお金を返して」

「そうだ!金を返せ」

「返さないなら通さない」

目の前に並ぶのは、冷酷で貪欲な顔ばかり……僕の背にある、今にも消えそうな命など、誰一人として気にも留めていない。

その瞬間、僕がこれまで守り続けてきた「医は仁術なり」という信念が、音を立てて崩れ去った。

僕は母をそっと椅子に下ろし、部屋の奥へと入った。そして一つの木箱を引きずり出した。

ドンッ。

箱を開けると、中にはこの数年、村人たちから受け取ってきた現金が詰まっていた。

本来は、母の老後のために蓄えていたものだ。

だが今となっては……

僕は様々な額のお札を一掴み取り、彼らに向かって叩きつけた。

「金が欲しいんだろう?」

さらに一掴み。

「いいだろう」

また一掴み。

「これまで受け取った金、全部返してやる」

お金は雪のように舞い散った。

つい先ほどまで怒りに駆られていた顔は、一瞬にして喜びと欲望に変わった。

人々は我先にと地面の金に飛びつき、醜く奪い合った。

僕はクリニックの看板の前に立った。

それは父が自ら書き、母が一生守ってきたものだった。

椅子に足をかけ、全身の力を込めてそれを外した。

そして皆の前で、地面へと叩きつけた。

パキン!

看板が砕ける音が、鋭く響き渡った。

なおも金を奪い合う彼らに向かい、僕は残された力を振り絞って叫んだ。

「では、正式にお知らせいたします。皆さんのご希望どおり、クリニックは閉鎖します。

母を連れて、この村を離れることにします。

今後、体調を崩された場合は、三十キロ離れた市立病院で受診してください」

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