SNSに添えられたキャプションはこうだ。【元妻さん、新しい彼女がいるから、もう連絡してこないで】案の定、それっきり結衣からのメッセージは途絶える。これで一件落着、今後結衣と関わる機会はもうないだろうと思っていた。しかし予想外なことに、社長の命令で、俺と秋穂は結衣のいる都市で開催されるITエキスポに参加することになったのだ。会場に行けば、確実に結衣と鉢合わせるだろう。あくまで仕事と割り切ろうとする俺に対して、秋穂は「絶対にあの女をギャフンと言わせてやる!」と、なぜかやる気満々だ。レセプションパーティーの最中、秋穂が「ちょっと寒い」と言うので、俺が自分のジャケットを彼女の肩にかけてやった、そのとき。背後から冷ややかな笑い声が聞こえた。「へえ、ずいぶん優しいのね」この聞き覚えのある声だ。振り返ると、結衣がいた。隣の明人の腕にしがみついて、わざと見せつけるように寄り添っている。俺の反応をじっと観察していたが、そこに嫉妬の色がまったくないと分かると、わずかに失望したようだった。結衣は秋穂を上から下まで舐めるように見て、口元を歪める。「これが新しい彼女?趣味悪いね」すると秋穂は、まるでスイッチが入ったかのように俺の肩に寄りかかって、甘い笑顔を浮かべた。「そうよ。蒼を手放してくれたおかげで、チャンスが回ってきたの。ありがとね」結衣は唇を噛み、悔しそうに足を踏み鳴らす。「私が捨てた男のくせに。蒼、自分がそんなに特別だと思ってるの?いいこと教えてあげる。明人が会社の危機を救ってくれたのよ。もうすぐ上場するんだから」明人は背筋をピンと伸ばして、照れくさそうに笑う。「結衣、そんなに褒められると照れるよ」俺は少し驚いて明人を見る。まさか本当に成果を出したのか?だが、彼の経歴にはこの業界の経験など一切なかったはずだ。少し考えたあと、俺は口を開く。「畑社長、御社の製品を見せてくれませんか?」結衣は顎を上げて、得意げに笑った。「いいわよ」手渡された製品を細かく観察する。やはり、予想通りだった。外観こそ俺がかつて設計したものによく似ているが、使われている部品があまりにも安っぽい。このままでは、数日も持たずに壊れるだろう。そう思うと、もうどうでもよくなって、適当に「さすがですね」とおだてておく。結衣はすっかり気を
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