一方、バルマ連邦北部。激しい雨が降り注いでいた。熱帯気候特有の猛烈な暴雨が、トタンの屋根を容赦なく叩き、耳をつんざくような音を立てている。学がランゴン国際空港に降り立った時、バルマ連邦はちょうど雨季だった。湿り気を帯びたむっとするような空気が押し寄せ、学は一瞬、息が詰まるのを感じた。潤が学の背後で顔色を曇らせながら告げた。「社長、調査の結果、奥様の最後の連絡先はその親戚の近藤豪(こんどう ごう)という人であることが分かりました。近藤さんはマンテラ市に住んでいます。ただ、3日前に近藤家は一族揃って姿を消しました。隣人によれば、何か事件に巻き込まれたのではないかと慌ただしく立ち去ったそうです」「マンテラ市へ行く」学は躊躇なく言い放った。こうして、彼はマンテラ市にある近藤家の屋敷を訪ねたが、既に誰もいなかった。学は大金を積んで聞き込みを行い、近藤家の一族が、バルマ連邦北部にある小さな町に嫁いだ娘のもとへ戻っているらしいという噂をようやく突き止めた。バルマ連邦北部。そこは争いが絶えず、麻薬が蔓延する、現地の政府さえも立ち入ることができない無法地帯だった。それを知って、学の心は深淵へ沈んでいった。「社長、あちらは治安が悪く、しかも最近紛争が激化しているため、極めて危険です」と潤が制止を試みる。「車を用意しろ」学はそれを遮り、「今すぐ行くぞ」と命じた。そして、マンテラ市からバルマ連邦北部まで、丸一日かけての車移動となった。その間、学は一睡もすることができなかった。頭の中で、あの3年間の記憶が何度も繰り返された。泉が初めて離婚を切り出した時、自分は言った。「泉、いい加減にしてくれ。わがままを言っているだけだろ?」そして、泉が家を出たあの日、自分は言った。「頭を冷やすために少し距離を置くのもいいだろう。落ち着いたら帰ってきなさい」そして、裁判のあと泉がサインをした時、自分は言った。「離婚などただの形式に過ぎない。お前はいつまでも俺の妻だ」その時、自分はいつか泉が戻ってくるだろうと思っていた。時間は解決してくれると思っていた。根気強く、愛情を注ぎ続ければ、いつかは泉も許してくれると信じていた。だが、すべてが間違っていた。道中は酷い状態で、大雨で土砂崩れが起きている箇所もあり、大きく迂回しな
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