All Chapters of 宇宙装甲戦艦ハンニバル ――宇宙S級提督への野望――: Chapter 111 - Chapter 120

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第111話……秘密同盟の成立

「め、面倒くさい問題に巻き込むなよ……」 超光速通信で、蛮王様に皇帝陛下を匿う話をしたら、非常に面倒がられてしまった。 政争に巻き込まれたくない、概ねの地方諸侯の正直な意見なのだろう。「……まぁな、でも、邪眼の持ち主は、世界を救う王を助ける戦士らしいぞ!」「それって何です?」 ……暗に、私には頑張れと言ってくる蛮王様。「ルドミラ教の神話らしいけどな……」「……私、信者じゃないんですけどね」 とりあえず、ハンニバルで皇帝陛下を蛮王様がいる惑星リーリヤまでお連れすることになった。 皇帝をずっと宇宙船におくのも、どうやら不敬らしい。 一路、長距離跳躍を繰り返し、惑星リーリヤの衛星軌道上にたどり着く。 同時に、蛮王様がシャトルに乗って、ハンニバルに乗る皇帝陛下に挨拶にやってきた。☆★☆★☆「この度は臣下として誠に遺憾。大変に申し訳ありませぬ……」 皇帝パウリーネ様に跪く蛮王様。「正直に申せ! 朕がここにきて迷惑なのであろう?」「……されば、ありていに申し上げれば、匿っていることが露呈すれば当地が戦乱となり、我が領は火の海となり申す……」 ……この言葉に、皇帝陛下も苦渋の表情だ。「エールパ候よ、朕はこれからどうすればよい?」「さすれば、ここから危険宙域を跨いだ辺境地域に身を隠されるのがよろしいかと……」「やはりか……」 凛とはしているが、未だあどけない少女のお姿の皇帝陛下。 切迫した状況に苦悶の表情だ。 ……その後。 蛮王様を交え相談した結果。 辺境宙域の盟主格であるレオナルド星系のアメーリア女王を頼ることとなった。 蛮王様の計らいで、ハンニバルの皇帝陛下のお部屋に、準備していた調度品が運び込まれる。 少しは皇帝としての体面が保てる部屋となった。「ヴェロヴェマ提督! すまぬが陛下をたのむぞ!」「はっ!」 宇宙港で蛮王様に肩を優しく叩かれ、見送られる。 ハンニバルは惑星リーリヤを進発し、一路レオナルド星系へと向かった……。☆★☆★☆「大変に名誉なことですわね」 唐突な副官殿の言葉。「え? 何が?」「いえ、非公式とはいえ、皇帝陛下の座乗艦の艦長ですわよ!」「ああ、そうか……」 ……ああ、出来れば公式が良かったなぁ……。 バレた瞬間に沈められるかもだけど。 確信はないが、多分、クレーメンス公爵元帥は皇
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第112話……忠臣パルツア―少将!

(……とある密室)「皇帝パウリーネはまだ見つからんのか?」「……はっ、未だにご遺体もご生存も確認できません」「アーベラインの奴も見つからんのか?」「はっ! 申し訳ありません」「共和国との戦況もひっ迫している。いち早くこのクーデターを成功させるのだ!」 そう部下にいい放ち、暗闇の中で男は机を叩いた。「……早く、せねば……」☆★☆★☆ 私は焦っていた。 もし、今回の皇帝暗殺を企んだ者がクレーメンス公爵元帥などの軍部であった場合、それに対抗しうる戦力の構築が急務だった。 幸いにも、レオナルド星系、ドラグニル星系、フェーン星系、ラム星系は我が第10艦隊の直轄地であった。 しかし、肝心の蛮王様のエールパ星系には、星系防衛艦隊が別途配属されていた。 この戦力を味方に引き入れることができるかどうかが、とても大きかったのだ。「……どういたしましょう?」 今まさに、この件を副官殿に聞かれている。「とりあえず、会って話すしかあるまい」「危険では?」「いや、危険はもとより承知。会ってみる!」 言葉とは裏腹に、私の足は少し震えていた……。☆★☆★☆ 私はエールパ星系に足を運び、エールパ星系の防衛艦隊司令部にアポをとる。 どうやら、新任の防衛艦隊の司令官は女性らしい。「中将! お待たせしました! エールパ星系防衛艦隊司令官パルツアー少将であります!」 応接室で待っていると、件の司令官が現れた。 褐色肌の長身のモデル体型。ワイン色の髪は肩の上までに短くまとめられており、ある種逞しそうな風貌の女性将官だった。「ああ、初めまして、よろしく」「よろしくお願いします!」 ああ、私が上官なのか……、なんだか慣れないな。「かけてくださいな」「はっ!」 パルツアー少将は私の真正面の席に座る。 端麗な顔つきから、厳しそうな表情が伺える。 こういう怖そうな女性は苦手なんだよなぁ……、って、今は関係ないか。「パルツアー少将! 君は今の情勢をどう考える?」 探りを入れたいが、どう聞いて良いかわからない。「はっ! いち早く皇帝陛下を探し出し、ご無事を確認したく存じます!」「……」 本心から言っているのだろうか? 表情はいたって真面目。 しかし表情だけでは分からない。――【邪眼】を発動しますか? 変な声が脳に直接に響く。 意味が分か
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第113話……新帝擁立と帝国議会

「率直に述べる。小官はアルフォンス殿下に帝位についてほしいと思う!」 クレーメンス公爵元帥が発言すると、会議室は騒然となった。 この司令部で行われる会議の政治力は極めて大きい。 内政TOPのアーベライン伯爵がいない今、彼と軍部の力は台頭していたのだ。「そんな馬鹿な!」「ありえませんぞ! 公爵閣下!」 反対するのは軍部の重鎮バールケ大将とヘルツオーゲン大将。 彼らは仲が悪かったが、皇帝への忠誠は篤かったのだろう。「しかし、このまま皇帝不在という訳にもいきますまい!」 リーゼンフェルト大将が現実論を述べる。「うむむ……」 私も含め中将たちは発言しない。 処世術というやつだろうか。 議論は紛糾したものの、新帝擁立の運びとなった。 やはりクレーメンス公爵元帥の力は大きかったのだ。――その三日後。 文武百官を集め、新帝アルフォンスがカリバーン帝国の皇帝位についた。 交戦国とはいえ、後日グングニル共和国とルドミラ教国からも形式上の祝辞をうけた。 この時、帝国宰相にクレーメンス公爵元帥が就任している。 ……彼こそが帝国の真の実力者だった。 さらに彼の娘婿であるリーゼンフェルト提督が上級大将に昇進。 帝国統合軍NO2の地位に着いた。 しかし、帝国の支配力は落ちており、各地の在地貴族の力は増し、中央集権国家としての態は成していない状態だった。 帝国とは名ばかりで、実情は在地貴族連合による共和制国家といった実情だった。☆★☆★☆ カリバーン帝国は28もの星系を統べる星間国家である。 しかし、そのほとんどが過疎星系であり、総人口である約一億人の5割は首都星系であるツエルベルク星系に集中していた。 そのほか5割を軍閥や地方貴族が治めていた。 支配力低下に悩む帝国首脳部の勧めで、新帝アルフォンスは地方貴族による議会を制定。 合議制を開始していた。 今日は私もラム星系の領主として議会に出席していた。 隣の席はエールパ星系の蛮王様の代理のヘッツアー軍務卿だ。「……採決を行います!」 議事は暇なものが多かった。 私も次は代理で誰かに出てもらうと思った。 サボっているように見えるかもしれないが、現実の議会と同じく、議題にでるまえに根回しが終わっており、新たに議論することなどほぼ何もなかったのだ。 一つだけいいこととしては、エー
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第114話……高速船と帝国の忠臣たち

 現皇帝派と前皇帝派の暗闘激しい中、ハンニバルはアルデンヌ星系の哨戒についていた。 帝国の主力部隊は他方面で共和国軍とにらみ合っているために、この星系の哨戒は輪番制で行われていた。 我が偵察艦隊の編成はハンニバルとドラグニルの二隻のみである。 いわゆる燃料の節約だった。「敵艦発見! 方位F-51」「宇宙空母ドラグニル、艦載機発艦!」 宇宙空母の格納庫からエレベーターにてマルチロール機が姿を現す。 電磁カタパルトにて次々に発艦する。「各隊、二機編隊を崩すな!」「「「了解!」」」 敵の偵察艦は、ほどなくドラグニル艦載機によって機関を破壊されて停船。 拿捕した後、ハンニバルの簡易ドックに収納する。 ……貴重な航行可能宇宙船だ。 一隻も無駄にはしたくない。 小さい船だが、修理すれば小型商船にはなるだろう。 このアルデンヌ星域は重要星系なので、各国の哨戒部隊が多数暗躍していた。 例えるなら、美味しい食べ物に群がるハエを追い払っていたのである。「敵艦発見! 方位P-163」「し、しかし、大きさが偵察艦ではありません!」「艦体規模は!?」「重巡洋艦の模様!!」 ……偵察に重巡洋艦は大きい。 本格的な侵攻部隊の斥候だろうか? 此方は二隻しかいないのだが……。「宇宙空母ドラグニルへ連絡! 艦載機を発艦させろ!」「了解!」 今回はドラグニルの搭乗員の習熟訓練も兼ねている。 発艦、発艦、また発艦であった。「艦載機部隊から連絡! 敵速度が速く捕捉不能!」 ……艦載機で追えないほど速い巡洋艦!? さらに、「提督! 敵巡洋艦、急速接近中ですわ!」「副砲の電磁レールガンで応戦せよ!」「了解ポコ!」 しかし、敵艦は目を疑うような速さだった。 敵の接近を阻むはずの電磁レールガンの射線が追いつかず虚空を彷徨う。「敵ミサイル多数発射!」「いかん! 撃ち落とせ!」「了解!」 敵超高速巡洋艦は此方へめがけて対消滅弾頭ミサイルを投射。 ハンニバルは回避に成功したが、鈍重な空母のドラグニルはその1発を甲板に受けた。「ドラグニル大破! 格納庫炎上!」 ぇ~!? 修理代が……。「許さないポコ! 主砲斉射!!」 タヌキ砲術長が主砲に射撃指示をだすが、まんまと敵に逃げられてしまった。 その後、高速戦艦オムライスに援軍に来てもらう
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第115話……エールパ星系の反乱計画

(……三週間後) ドラグニル星系にて皇帝パウリーネ様に謁見したメッケンドルガー中将が、再び準惑星ツーリアの私のところへ来ていた。「ヴェロヴェマ中将! この度は本当に世話になった。お礼の申しようもない」「いえいえ」 彼は私が皇帝を庇護したことに対して、大変に感謝してくれた。 本当は彼のような人が匿った方が良いのだろうけど、所属する立地として私が選ばれたのだろう……。「ヴェロヴェマ殿! 是非私に力があるうちに皇帝陛下を再び擁立したい! 力を貸してくれぬか?」「構いませんよ、何を致しましょう!」 うっかり安請け合いをしてしまったかもしれない。「まずは盟友である蛮王ブルー様とともに、エールパ星系で挙兵してもらいたい!」「さすれば、クレーメンスの犬どもはそちらに殺到するはず。そこで私が帝都バルバロッサで挙兵し、帝都を制圧して見せまする!」 ……私と蛮王様は囮か。 危険でもあるが、私の【邪眼】には彼に裏切りの色は見えない。「わかりました。やってみましょう!」 そう伝えると、彼は喜び勇んで帰っていった……。 その後、彼から作戦の要項が送られてきた。 まずは、蛮王様を説得せねばならなかった。☆★☆★☆「ぇ~!? やるの?」 砕けた感じでしゃべる蛮王様。 反乱の片棒を担がされて迷惑と思いきや、にやにやしている。 ……パウリーネ様が復帰した場合、条件として蛮王様には帝国の公爵の地位が約束されていた。 晩王様は意外と現金なところがある。「当然、お前の艦隊が守ってくれるのだろう?」「もちろんですとも!」 蛮王様のエールパ星系に帝国軍を引き付け、その間にメッケンドルガー中将が挙兵する作戦が行われることになった。 メッケンドルガー中将の説得のもと、帝国第二艦隊ベーデガー中将と同第四艦隊キルンベルガー中将もこちら側についてくれるそうだ。……上手にできるといいな。☆★☆★☆――エールパ星系反乱す! おとなしいブタ民族が反乱を起こすとは帝国中枢は思ってもおらず、この急報は彼らに驚きをもたらした。「……くそう! ブタどもめ、粉砕してくれん!」 リーゼンフェルト上級大将は憤ったが、夕食を同席していたクレーメンス公爵元帥は冷静だった。「ブタどもの土地を召し上げる好機が来たと思うべきだよ、婿殿!」 公爵元帥は笑う。 度重なる飢饉への財政
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第116話……帝国分裂 ~ワームホールの行方~

(……遡ること18時間前。帝都バルバロッサ)「クレーメンス公爵! 大変です!」 「どうした!?」「反乱であります! 閣下!」 クレーメンス公爵元帥の部屋に駆け込んできたのは、帝都バルバロッサを守る地上部隊である宮廷近衛師団の師団長ジンツアー少将。  近衛師団とは言いながら人員は約3000名足らず。  しかし、ジンツアー師団長は八十四個所の傷を持つ屈強の獣人で、麾下のメンバーは禁忌であるサイボーグ強化手術を施された帝国一の精鋭だった。 サイレンがけたたましく鳴り響き、サーチライトが夜空の各所を照らす。 「防衛状況はどうなのだ!?」「宇宙港は未だ敵の手に落ちておりません! 船は用意しております。お早く脱出を!」 「わかった」 反乱軍を指揮したメッケンドルガー中将の第三軍は、ジンツアー少将の精鋭が守る宇宙港とその付属施設を落とすことが出来ないでいたのだ。  皇帝アルフォンスとクレーメンス公爵元帥及びその一派は、宇宙港より緊急用シャトルで脱出。旧帝都アルバトロス方面へと無事に逃げ延びることが出来た。  その後、ジンツアー少将は反乱軍と素早い政治的取引をする。  反乱軍はジンツアー少将とその部隊の他星系への撤退を見逃す代わりに、帝都バルバロッサの宇宙港施設を無傷で手にすることとなった。 この宮廷近衛師団の撤退を聞き、帝都の各所で抵抗していた勢力は、次々に反乱軍に投降していった。 このあまりにも手際のよい撤退劇は、反乱する側にもメリットが多々あったために、後日にジンツアー少将はクレーメンス公爵元帥に疎まれることになる。 ……何はともあれ、首都星系であるツエルベルク星系は、あっという間に反乱軍の手に落ちたのだった。☆★☆★☆「砲雷撃戦用意!」 撤退路をハンニバル率いる第十艦隊に塞がれた格好になった第六艦隊トロスト中将は、麾下の艦艇に攻撃命令を出す。  ここに無断で現れる第十艦隊は反乱軍以外の何物でもなかったのだ。 「第十艦隊さえ叩けば撤退路は開かれる! 残弾を気にするな! 撃ちまくれ!」 トロスト中将は猛った。  麾下の第六艦隊も奮いたった。 ……しかし、そんなところに、総司令部からの報告が入る。 「反乱軍は、第二・第四・第十艦隊をも含まれる模様!」 トロスト中将とその幕僚の顔が引き攣る。  質はともかくとして、帝国の約6割
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第117話……昇進!作戦部長ヴェロヴェマ大将

――カリバーン歴855年12月31日深夜。 装甲戦艦ハンニバル艦内。「明けましておめでとうございますわ!」「明けましておめでとうポコ!」「みんなおめでとう!」 私はいわゆるお誕生日席に座り、みんなと新年を祝った。 ちなみに来年からは、ルドミラ教国に配慮して標準歴というものが使われる。 今年は標準歴元年という訳だ。 艦内の一般クルーたちもそれぞれの部屋で新年を祝った。 食料倉庫から真新しいシャンパンや温かい料理が配られる。「美味しそうニャ♪」 マルガレーテ嬢の尻尾は今日も可愛い。「お塩と油は健康に良いメェ~♪」 性別不明なバフォメットさんもいつもながらに危険なセリフを吐いていた。 ハンニバルの艦橋から銀河は、いつになく美しく煌めいていた。☆★☆★☆「こちらバルバロッサ管制室! 貴艦の入港を歓迎する!」「了解!」「大気圏降下用意! 耐熱シャッター降ろせ!」 ハンニバルは帝国首都星系であるツエルベルク星系に到達。 首都星系主星であるバルバロッサの地表へと降下した。 青い空に大気圏降下、すぐさま摩擦熱で艦体は赤く光る。「逆噴射開始!」「了解!」 ハンニバルは海へと着水し、管制室の誘導に従いバルバロッサの水上宇宙港に到着した。「人が多いですわね♪」「にぎやかだポコ♪」 入港した後、副官殿と砲術長を連れ、帝都の街を散策する。 目的である、復位した皇帝パウリーネ様の皇帝再就任式にはまだ時間があったのだ。 時間に合わせ、リニアモーターカーにて宮殿へと出向く。 電磁走行で振動が全くない優れモノだった。「ようこそ!」 宮廷の門を守る衛兵は、いつ尋ねても愛想がよく気持ちがいい。 その後、私達は宮殿で行われる式典に出席した。「ようこそ! 救国の英雄殿!」 式典後のパーティーで声を掛けてくるのは、パウルス元上級大将である。「いえいえ、若輩の身で心苦しい限りです」 私はそう答える。 謙遜ではない。氏は帝国の歴戦の老将だ。 お世辞なしに、皆が一目も二目も置く存在だった。「私も今度軍に復帰できることになってな、君の第十艦隊には期待しておるよ!」 優しく肩を叩かれた。 公正で名高い氏が復帰すると、軍も風通しがいい組織になりそうだ。「おう、元気にやっとるか?」「お陰様で」 元上級大将と別れた次に話しかけてきたの
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第118話……クリームヒルトの憂鬱

 今日の副官殿は私の膝の上。 ……彼女の銀色のサラサラした頭髪を優しくなでる。――彼女は悩んでいたのだ。 帝国人民としての人口に、彼女たちバイオノイドやアンドロイドの人数は含まれない。 しかし、人口10人に対し、アンドロイドは召使いなどに2人いると言われている。 軍の兵としても存在するが、下士官になるまでは人数に入れてもらえない。 惑星地上軍の中で存在するアンドロイドは2割と言われている。 その中でも危険な機雷除去などの担当に回されるのだ……。 ……そして、彼女の妹が本日戦死した。 同期生産されたバイオノイド100体の内、今も健在なのはたった1体のみだった。 一体とは、彼女のみになったということである。 ……それだけ過酷な扱われかたをされる運命だったのだ。 それゆえ、彼女はアンドロイドが平和に暮らせる自治領の拡充に勤しんでいるのだ。「……もっと貯金をせねばなりませんわね!」 彼女は涙を拭く。「これを使っていいよ」 そんな彼女に、私はへそくり用の通帳を差し出した。 それは、いざという時の為にためていたものだ。「え!?」「クリームヒルトさんのお陰で、私は今や不肖にも大将閣下になることができた。それくらいお安いものだよ……」「……う、うれしい」「……え?」「はずかしいから、二度は言えませんよ」 少し涙が流れる彼女の頬は、いつもより桜色だった気がした……。 彼女の頭を撫でる。 その日の私は、とても幸せだったと記憶している……。 ……窓の外の銀河は今日も奇麗だった。☆★☆★☆ 今日は久々に地球でのアパートで起きる。 もはやどこが我が家なのか分からない現状だ。 郵便受けを漁り、やかんでお湯を沸かす。 シャワーを浴びた後。PCをつけて、自分の情報を見る。【DATE】名前・ヴェロヴェマ提督レベル・AAA級【UP】称号・アンドロイドたちの英雄【NEW】特定スキル・羅針眼A級スキル・魔眼S級スキル・邪眼乗艦・装甲戦艦ハンニバル階級・大将爵位・子爵領地・衛星アトラス、衛星ガイア、惑星ベル、準惑星ツーリア艦隊戦スキル・A+【UP】艦載機戦スキル・A【UP】白兵戦スキルC内政スキル・AA【UP】艦船設計スキル・S【UP】…………。……。 ……!? アンドロイド達の英雄ってなんだ?? その後
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第119話……残忍! 惑星破壊砲!!

――標準歴元年2月。 蛮王さまが治めるエールパ星系の外周準惑星パールにおいては、未だ激しい地上戦が続いていた。 ……現皇帝パウリーネ派とクレーメンス公爵元帥の率いる旧帝国派との戦いだった。 旧帝国派の指揮官であるクレーマン中将は脱出していたのだが、彼の部下である中堅佐官達は必死に兵を激励して抵抗していた。 第九惑星地上軍は伝統的に純人族部隊であり、政治的に非人族を敵視していた風潮があった。 彼等にとってアンドロイドやバイオロイドの権利を擁護するヴェロヴェマなどは、極めて唾棄すべき存在だった。「降下開始!」「艦載機発艦!」 宇宙空母ドラグニルから小型揚陸艦と航空機が発艦する。 第九惑星地上軍の兵力は約6万人。 その多くがベテラン兵であり、帝国の誇る精鋭部隊だった。 質で上回れても、ドラグニル陸戦隊はわずか3000人しかいない。「撤退!」「第二防衛戦まで後退しろ!」 宇宙空母ドラグニルに座上するアルベルト中佐も、戦況に苦悶の表情を浮かべていた。☆★☆★☆「カタパルト軸線上オールグリーン!」「重雷撃機ケルベロス発艦せよ!」「了解!」 私は宇宙空母ドラグニルから発艦する。 ハンニバルは本隊を率いて後から来るので、ドラグニルに載せてもらって、先に戦場に来ていたのだった。「こちらB中隊、ケルベロス、航空支援を頼む!」「了解!」 数に勝る敵地上部隊を相手にするため、空からの支援は必須だった。 敵の頭上で、誘導爆弾を次々に投下する。――ズズスーン! 爆炎が上がり、複合装甲を施した敵戦車が消し飛ぶ。 彼等地上部隊の上面装甲は脆い。――ダダダダダ! さらに電磁ガトリンク砲で掃射し、装甲車や牽引砲を殲滅する。――プスン「……くっ! 弾切れか!」「こちらケルベロス、補給に戻る!」「了解! 第二ハッチを開けておく!」 今までの相手とは比べものにならないくらい強くて、かつ数の多い地上部隊だった。 いくら倒してもきりがない。「補給よし!」「ありがとう!」 私は整備兵にお礼をつげて、再び発艦する。 この日だけで私は7回出撃し、戦闘は34回を数えた。 まさしく激戦だった。☆★☆★☆「副砲射撃! 目標C-86地点!」「了解ポコ!」 二日後には、私はハンニバルの艦橋で指揮をとっていた。 敵地上部隊は、塹壕を各所に
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第120話……リーゼンフェルトの脅迫

『目標、進路前方惑星!』『エネルギー充填100%……』『……エネルギー充填180%!』『惑星破壊砲、発射!!!』――ズシャアァァァ 惑星破壊砲から放たれる閃光と共に、帝国主星バルバロッサが砕け散る。 周辺宙域を航行していた宇宙船を、多数巻き込んで……。『諸君! 我々は友邦以外に容赦はしない! 敵対するものは、このような悪夢を見るだろう!』 最後に、高らかに笑うリーゼンフェルト上級大将が現れ、映像が終わる……。――この映像はカリバーン帝国全土に何度も流された。 逆らう星系には、同じような目に合わせることを示唆した、強迫じみた政治的な宣伝だった。 しかし、この政治的宣伝により、帝国のほとんどの星系がリーゼンフェルト上級大将の属する旧帝国派に臣従することになった。 当時、バルバロッサにいたはずの皇帝パウリーネの行方が分からなかったのも大きい。 新帝国政権の主要スタッフも行方不明だった。 この事件により皇帝パウリーネ派の星系は、辺境自治星系国家と蛮王様のエールパ星系だけとなった……。☆★☆★☆――標準歴元年四月。 クレーメンス公爵元帥は、パウリーネの弟であるアルフォンスを擁し、再びカリバーン帝国の主となった。『辺境に巣食うヴェロヴェマは逆賊である!』 ……帝国全土への公共放送で、私は逆賊扱いされた。 まぁ、先日に彼らと戦っていたのでやむを得ない事情ではあるが。――PIPIPI アラームが鳴る。 (。´・ω・)ん?  ……何だろう?【警告】……栄養不足です! ゲームのやりすぎにご注意下さい。 私は急いで、この世界からログアウトしたのだった……。☆★☆★☆ 流石は製薬メーカーが作ったVRカプセル。 体調が悪くなると、連絡が来るのだ。 私は地球がある世界に戻り、コンビニ弁当を2つ平らげた後、カップ麺を啜った。 お腹がとても減っていたのである。 体重もいくらか減っている。 運動もしなくては……。――ピンポーン 来客だ。 ……誰だろう? ドアを開けると、来客は兄だった。「おう、カズヤ!」「あ、兄ちゃん、どうしたの?」「小池勝議員が寝込んだらしいんだ、何か知ってるか!?」 ……あ、バルバロッサのあるツエルベルク星系に送ったのを思い出す。 被害に巻き込まれたのかな?「……えっとね、実は、……」 ……
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