All Chapters of 宇宙装甲戦艦ハンニバル ――宇宙S級提督への野望――: Chapter 131 - Chapter 140

148 Chapters

第131話……共和国休戦 ~新たなる戦い~

 久しぶりに地球のアパートで過ごす。 といっても、シャワーを浴びたり、食料を買い出しに行ったりするのが主だが……。「……よしっと!」 他にやったこと。 それは遺書の作成。 あっちの世界から戻ってこれなくなった時の為に、両親や兄たちに向けてしたためたものだった。 ……もはや、向こう側の世界は、私にはかけがえのない世界になったのだ。 此方の世界と違い、確かに必要とされている。 万一、向こうの世界が、幻の世界であったとしてもだ……。 電脳の世界をリアルではないとよく言われるが、しかし、確かにその時間は向こう側に、私のもう一つの大切なリアルがあったはずなのだ。 遺書を書き終わった後は、PCに電源を入れて、ハンニバルの設計に勤しんだ。 向こうの世界での私に、最も価値があるとすれば、それはハンニバルで勝ち続けることだ。 ……間違っても負けていい軍人なんていないはずだ。 平和な世界の会社員だって、うかつにノルマを落とせないのだから……。「これでいっか!」 ダメージコントロールを重視した設計にした。 今回、安易に沈まないことを優先にしている。 その分、大きさの割に、攻撃力が若干物足らなくなったかもしれないが……。「ふう」「いってきます……」 机の上の遺書にそう告げて、私はVRカプセルの蓋を開けて中に入った。 内側から『START』という赤いボタンを押すと、白い神経ガスが充満し、心地よい世界にいざなわれた……。☆★☆★☆――ドシィィィーン! 宇宙海獣により、艦艇が破壊される。  グングニル共和国は、多数の冒険者や有志の義勇艦艇を集め、通商破壊を行う謎の宇宙海獣に対処した。 ……しかし、それは正規軍より練度が低い艦艇の残骸が、ただ増えるだけの結果となっていた。 正規軍でも対処が難しい宇宙海獣を、安易に撃退できるという考えが、甘かったのかもしれない。「……やむを得まい」「残念です」「無念であります」 グングニル共和国の議会は、クレーメンス帝国に休戦和解案を提示することに合意。 彼等の首班である大統領の名でそれは合意された。 ……合意内容は、1)クレーメンス帝国が唯一無二のカリバーン帝国と承認。2)毎年1000億帝国ドル(約10兆円)を納付すること。3)2以外に、賠償金5兆帝国ドルを支払うこと。4)10星系の領土
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第132話……N国壊滅!?

「第六輸送船団壊滅!」「アルセーヌ商船団全滅!」「第八船団応答なし!」 ルドミラ教国の商船は、皇帝クレーメンス率いる新カリバーン帝国の通商破壊戦術に直面する。 件の宇宙海獣を用いての宇宙航路の破壊だった。 これによりルドミラ教国にも非戦の空気が流れる。 その一環として、激戦が続いていたアルデンヌ星域にて一時停戦、交渉がもたれた。 この交渉は、新カリバーン帝国側の要求が、アルデンヌ星系の通行認可と、地球においての一部支配権しか求めない条件だったことにより、あっという間に和平合意し、そのことはニュースに流れた。『我々カリバーン帝国は、地球の植民計画を実行する……』 私はハンニバルでこのニュースを見ていた。 しかし、次の発言で、口に含んだお茶を吹いてしまった。『……我がカリバーン帝国は、N国に対し宣戦布告をする!』 マジかよ!? ニュースによれば、新カリバーン帝国は、地球の極東地域の占領を目指すということだ。 よって、極東の重要拠点であるN国を、真っ先に占領するとのことだった。 なんで資源のないN国なんだよ。 ……と思ったが、思い当たる節がある。 N国の国民である金山という男が、新カリバーン帝国の提督だったという話である。 その旨を急いで、小池勝議員に連絡をとってみると、 彼は既に出国した後だったらしい……。☆★☆★☆『護衛艦あたご大破、護衛艦いずも沈没!』『箱須賀軍港炎上!!』『羽成空港使用不可!』 私はハンニバルのモニターで地球のニュースを見ていた。 最近は、この世界と地球のある世界が、情報的に近くなっていた。 星間ギルドにお金を払えば、地球上のTV放送を見ることができる情勢になっていたのだ。 ……しかし、地球へのワームホールって閉まるって聞いたよな。 閉まったら、この情勢は一体どうなるんだろう?? とりあえず情勢としては、N国の国防軍である自衛隊が、新カリバーン帝国の侵略に大苦戦していた。 なにしろ、彼らは宇宙海獣の使い手なのだ。 地球のニュース映像で見ると、N国がまさしく某大怪獣映画のようになっていた。 宇宙海獣によって高速鉄道が持ち上げられ、国政の中枢である議事堂が踏みつぶされていた。 すでに、N国の首都は滅茶苦茶な惨状になっていた。 他にも、新カリバーン帝国とともに、ルドミラ教国も進軍。 
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第133話……N国の反撃! 【神武】作戦発動!!

「私が新しいN国の支配者である!」「明日からの君たちは、私の下僕となる道を選ばせてやろう!」 TVの地上波の放送に、映ったのは紛れもなく金山の姿だった。 その姿は椅子に座ったままであり、尊大さを感じる。「……まぁ、これを見たまえ!」 画面が切り替わり、見たことのない生物や機械兵器が映った。 数千もの機械アンドロイド兵も紹介された。「これを従える私に、君たちは勝てると思うのか!?」「……いや、勝てまい」「しかし、迷う時間はくれてやろう!」「二週間だ、二週間たっても降伏しないようなら、手始めにC県を火の海に変えてやろう!」「N国の愚民たちよ、せいぜい迷うがいい! あははは……!」 高笑いとともに、その画像は終わった。 ムカつくというより、予想の範囲内ではあった……。 必要なのは対処法であり、この対処法こそが難しいのだ。 すぐにC県では、避難活動が始まった。 普通ならこのような放送はデマだと思われるだろうが、現に首都はである西京は宇宙海獣が闊歩し、火の海なのである。 今日もコンビナート地域が攻撃され、広範囲の地域で地上戦が展開されているらしい。 昼の報道TV番組は、首都の惨状を地方都市に住む私にも、はっきりと伝えてきたのだった……。 ……私は一旦ハンニバルに戻り、善後策を練ることにした。☆★☆★☆ 私は悩んでいた。 今の巨人の姿で、ワームホールを通って地球側に出たらどうなるかを……。 世界は同じ精神を持つ私を、二人同時に成立させてくれるのか、ということだ。 ワームホールを出たとたんに、世界の理として、もし私の地球側の肉体が消えたら、こちら側の私も消え去るのではないだろうか? さらに、深く考えてみる。 もし私が、地球側の私をVR用のカプセルからだして、対面したらどうなるのだろうかを……。 私が私と面と向かって会話する世界は成立させて貰えるのだろうか?「困ったポコね」「困りましたわね」 この疑問を副官殿と、砲術長に相談した。「……あ、提督をこちら側に世界に残したまま、私たちが地球というところの提督をお迎えにあがっては如何でしょう?」「それはいい考えポコ」 副官殿が提示した案は、私の一つ目巨人の体をこちら側に残したまま、ハンニバルを地球側に航行させてはどうだろうか、という話だった。「……向こうの世界へ行ってく
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第134話……ハンニバル地球へ

――ズズズーン S島への猛烈な艦砲射撃の後、上陸舟艇による上陸作戦が展開される。 反撃する施設には、B-2爆撃機からバンカーバスターが投下された。 ……私はTV中継でそれを見ていた。 N国側の攻撃はある程度効いているように思えた。 S島を守る機械化歩兵陣地は吹き飛ばされ、海岸線には多数のN国兵士が上陸する。 更には、上空の輸送機から、沢山のパラシュート降下兵が降りて来る様は、圧巻だった。 TVのコメンテイターの話によると、新カリバーン帝国はN国首都に主力を投入していたために、S島の防備が薄かったのではないかと解説していた。 ……まぁ、何はともあれ良いことであった。☆★☆★☆――ピンポーン「は~い」 玄関の扉を開けると、そこには見たことのある人たちだった。「こんにちはポコ!」「こんにちはニャ!」 正確に言うと、違った。タヌキ亜人と猫亜人だった。「どうぞあがって」「お邪魔するポコ」「お邪魔しますニャ」 二人にコーヒーをお出しすると、「美味しいポコ、これは良い豆ポコね!」「上等な珈琲ニャ!」 ……す、すまねぇ。 スーパーの安売りのインスタントコーヒーです (´・ω・`)――ピンポーン また、お客だ……。 今度は誰だろう!?「菱井さん! 駐車場に妙なもの止めないでくれます?」 大家さんだった。 駐車場には、二人が乗ってきたシャトルがデーンと止まっていた。「す、すぐにどけます!」 ……すぐに、私は二人とともにシャトルに乗り込み、飛び立った。 上空に舞い上がる。 実質上、この体では初めての宇宙への旅である。 空が奇麗だった。 成層圏まであがると、デッカイ浮遊物が見える。 衛星軌道上にあったハンニバルだった。 さすがに1200mの飛行物は大きい。 超大型のタンカーが、空に浮いているような感じだった……。「おかえりなさい」「ただいま」 艦橋に入ると、副官殿が出迎えてくれた。 副官殿はいつもの笑顔だったが、私は少し緊張していた。 外見が違うからである。 いわゆる、オフ会に参加した心境に似ていた。 ……が、すぐ慣れる。「N国での戦況は?」「はい、首都西京では新カリバーン勢が優勢ですが、S島はN国が奪回したようですわ」 ……え? N国凄くない??「しかし、これをごらんください!」 メイン
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第135話……N国開放!? ~月面戦争~

(……遡ること、一週間前)――俺は金山豪。 俺は月面戦線まで撤退していた。 主力は月面にあることを考えたら予想の範疇なんだがな……、くくく……。「S島の自爆成功!」「おう、よくやった、ざまあみろってんだ!」 S島に設置していた自爆装置が役に立ったようだ。 勝ったとおもったN国の兵士のみなさん乙ってやつだな……。 ……しかし、「謎の大型戦艦が、N国の我が方の戦線に攻撃をかけてきております!」「どこのふざけた船だ!?」「船籍は旧カリバーン帝国、識別信号はハンニバルです!」「ま、またあいつか!?」「そもそも、どこから湧いてでやがった!?」 ……多分、ワームホールからだろう。 厄介な奴だな……。「支援部隊を出しますか?」「……いや、イラン!」「しかし、このままではN国戦線が!?」「現地の指揮官には死ぬまで戦えと告げろ!」「……は、はっ!」 ……どいつも、こいつもトロいよな。 さっさと金山様の為に、仕事をしろよな。 ……不甲斐ないN国戦線は崩壊。 ゴミみたいな部下をもって、俺は不幸せだ。 ついに、奴はここ、月面基地までやってきやがった……。「敵、大型戦艦接近!」「迎撃システム稼働、VLS起動!」「高射砲斉射、用意良し!」「敵を生きて返すな!」「砲撃開始!!」 ……俺は、迎撃を指揮する。 しかし、あの巨体はすさまじい防御スクリーンをもっていた。「有効弾無し!」「ミサイル攻撃も効果なし!!」「……こ、効果なしだと!?」「くそう、……この化け物野郎!」 砲撃やミサイルでは、奴のシールドを破れないと見た……。「艦載機を出せ! 宇宙海獣も全部出せ!」「了解!」「艦載機発艦!」 ……しかし、すべての戦力は灰燼に帰した。 しかも、奴等は宇宙海獣と会話できるらしい。 チート過ぎるだろ!?「敵上陸部隊が進出してきました!」「迎撃戦車隊を出せ!」「了解!」……しかし、「戦車隊全滅!!」「正面第六ゲート突破されました!」「この司令部へまっすぐに通路を進撃してきます!」「げぇ!?」 ……なぜ、俺がいる場所が判るんだ!? 奴等は真っすぐこちらに攻めてきていた。 ……そうか、わかったぞ!! 情報がバレていた原因が……。「貴様ら! 裏切ったな!」「この役立たずが! 死ねぇ!」――ドンドンド
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第136話……反乱軍への支援任務開始!

「重力波ビーム砲用意!」「てぇ!」――ドォォォン 赤黒い光線の先にある山脈が、轟音を立てて削れる。 ……N国への新カリバーン帝国の攻撃が終わっても、未だ地球上で、南半球のルドミラ側の同盟諸国と、北半球側の国連諸国の戦いは続いていた。 ルドミラ教国は地球での利権を確立すべく、アルデンヌ星系のワームホールを使って、次々に兵力を投入していた。 なぜなら、地球側の抵抗も大きく、地上戦力の増援が必須だったのである。 ルドミラ教国は、その持てる戦力の八割強を、アルデンヌ星系及び地球へと振り向けていたのだった……。「今こそ立ち上がれ!」「おう!」 こうした中、ルドミラ勢力圏で、戦力が薄い地域では、迫害されていたアンドロイドたちや、非人族系民族たちが反乱を起こす。 ルドミラ教の教義は、人族絶対優位のモノだったのだ。 たまった鬱積は相当なもので、内乱はルドミラ教国の各地へと飛び火。 大規模な反乱となった……。 ……民衆の反乱など、武器も持たず、物資も乏しいことが多い。 よって、安易に反乱は鎮圧されるかにも見えた。「反乱軍側の攻撃機接近!」「……や、奴らは何故そのような兵器を持っているのだ!?」「仕方ない、撤退しろ!」「了解!」 意外にも、反乱軍は立派な兵器を携え、ルドミラ各地の地方宇宙港などの要地を占領。 瞬く間に、地方警備部隊などを追い出した。「我々は独立を宣言する!」「……自治を要求する!」 各地で自治を目指す勢力が勃興した。 ……しかし、その戦力の出どころとは!?「お支払いは5年後でよろしくニャ♪」「いつも助かってるよ!」 高速戦艦オムライスが、物資を満載したコンテナを反乱軍にコッソリ届ける。 ……反乱軍の背後にいたのは、造船などの工業力を有していたハンニバル開発公社だった。「お客さんから注文が入ったニャ♪」「そんな早く作れないクマ!」「時は金なりニャ! 急ぐニャ!」「急ぐポコ!」 エールパ星系及び、ラム星系の工廠などの工業プラントは、大増産体制でフル稼働だった。「凄い売り上げですわ!」「ほとんど売掛だけどね!」 ……ある種、回収不能になるかもしれない案件であったのだが。 間接的に、地球への援護となるので、私は反乱軍への武器や物資の供与を推し進めていたのだった……。☆★☆★☆「提督もお仕事するニャ
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第137話……『ヘガクサイ』再び……。

「おう! シェリオ伯爵ご無事であったか?」「ええ! まあ俺からしたら大したことなかったっす!」「いやまぁ、無事でよかった!」「ちーっす!」 クレーメンスの奴が、俺様ことシェリオ様を出迎える。 ……NPC風情が、偉そうにすんなよヴェオケが! 俺様が、グングニル共和国から捕虜返還で帰ってきたら、奴は皇帝になってやがった……。 ……このゲーム腐ってね? クソ運営とか、どうせキムチ鍋パーティーやってて、ユーザーのこと全然考えてないよな。 ……ちっ、腹の傷がいてぇ。「なんだと! トロストの奴が行方不明!?」「……はい!」 アルバトロスの屋敷に帰った後、アンドロイドのメイドの報告に驚く。「……あいつは、俺様のことをお師匠様と慕う、良いヤツだったのにな」「はい、残念でなりません」「ヴェオケが! 機械メイド風情が俺様に気安く声をかけんじゃねぇ!」「す……、すみません!」「このガラクタが!!」「……てか、クラン・シェリオのメンバーが全員いねぇじゃねぇか?」「ちっ、どうなってやがる??」 俺様はクラン・シェリオのマスター様だ。 普通の奴とは訳が違うんだよな。 しかし、もうずいぶん長い間、ログアウトしてねぇ……。 あんなクソみたいなリアルに戻りたくねぇがな。「うん?」 フレンドリストに一人ログインしている奴がいる。 ……名前は、ヴェロヴェマ!? どんな奴だっけ? プロフィールの顔写真を調べると、思い出す。 『ヘガクサイ』というあだ名の雑魚のことだった。「……へ?」「奴の階級が大将だと!? ふざけんな!」 俺様は部屋の花瓶を叩き割った。 ……メイドがキャアキャア喚いて、超うざぃ。 どうやら、現在はこのカリバーン帝国に在籍していないらしいが、マジムカつくよな。 何様のつもりだよ、クズが……。 プロフィールを更に読んでいくと、彼奴は領地持ちの領主の様だった。「いいねぇ、いいねぇ、くくく……」「いまから部下を集めろ!」「はい、伯爵様!」「早くしろ、ヴェオケ!」 俺様のゲーム生活は、まだまだこれからだった……。☆★☆★☆「へっくしょい!」「提督、お風邪ですか?」「風邪ひきポコ?」「いや、風邪じゃないと思うんだけどな、最近くしゃみが多くて……」 ハンニバルはルドミラ教国政府に反する勢力を、全力で応援してい
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第138話……新首都星セイレーン

「貴官を元帥に任じる、又、宇宙艦隊司令長官にも任ずる。もって帝国艦隊の全数を指揮下に収めよ!」「はっ!」 レオナルド星系の仮宮廷において、私は皇帝陛下から元帥杖を賜る。 二階級昇進。 この世界では不吉なことではなく、たまにあるらしい……。 任命式会場は、現在避難先という感じの為、文武百官が居並ぶ中というほどではなかったが、それなりの来賓の中での任命式だった。 ちなみに、非人族での元帥に任命は初。 クリームヒルトさんも同時に、准将に昇進した。 こちらも、アンドロイド史上初の将官である。 ……その後、立食式のパーティーとなった。「ヴェロヴェマ殿、おめでとうございます!」「ありがとうございます!「……」「……」 名士と思しき方から、次々に祝辞を受けるが、正直誰が誰やらわからない。 凋落の感がある、パウリーネ朝でもこれだけの来賓がくるのだ。 皇帝陛下のご威光は凄いものがあった。「小僧! おめでとう!」「あ、ありがとうございます!」 シャルンホルスト退役中将に肩を叩かれる。 私の師ともいえる人だ。 この先も、地上戦では永遠に勝てないだろうが……。 パウルス元帥など、歴戦の諸将は帝都バルバロッサへの惑星破壊砲の攻撃によって、現在も行方不明だ。 よって、現在のパウリーネ様を奉じる戦力は、1個艦隊と惑星地上軍2個師団に過ぎない。 また、宇宙艦隊司令長官と言っても、現在はわずか一個艦隊250隻余りの長といった感じだった。 ……まぁ、これから増やせばいいよね。「お料理が美味しいクマ♪」「お肉が美味しいポコ♪」「……あ、メインのお肉でてきたの? 食べに行かなきゃ!」「おくれると、なくなりますわ!」 宇宙一、食い意地の張った元帥と、その幕僚たちだった……。☆★☆★☆「この書類もお願いしますね!」「これにもサインをお願いします!」「はい!」 宇宙艦隊司令長官にもなると、軍政の比率も大きくなった……。 前線の一提督という訳にもいかない。 ……しかし、事務仕事の裁量幅も大きかった。「新規工廠計画は如何しましょう!?」「ハンニバル開発公社に発注して!」「了解です!」 ……え? 汚職? きっと、きのせい。 このころになると、トロスト提督を失い凋落気味の新カリバーン帝国に対して、グングニル共和国が協定を破棄して、
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第139話……老婆の遺言

――ある晩。 コンコン。 深夜、ホテルの扉をノックする音がした。 今日は蛮王様主催のパーティーで飲みすぎていたのだ。 気持ちが悪いので、明日にしてほしい。 悪いが眠ったふりをした。――が、「カズヤ様、いらっしゃいますか?」 『……ぇ?』 慌てて鏡を見る。 一つ目巨人の姿だ。 なぜ私のリアルの世界の名前を知っている!? ……しかし、思い当たる節がある。 ベッドから飛び起き、急いでドアを開ける。 そこには予想通り、背の小さな老婆がいた。「へっへっへ、こんばんは」「どうぞ!」「あれ? 今日はすんなりじゃな?」 老婆を丁重に部屋にお通しした後、席を勧める。「眼の件は、誠にありがとうございます」「……なんのことじゃろうね?」 老婆は頭を振って、椅子に座った。「さて、今夜は用件があるのじゃ……」「なんでしょう? 女神様」 ……確か、この老婆は自称女神さまだったよな?「あはは、覚えておいでか」「実はの、ワシは女神というのは嘘ではないのだが、本当でもないのじゃよ……」「……と言いますと?」 私は老婆に、お茶をお出しする。「正式にはの、ワシの名前は帝国第23工廠という名前での。当時の通称が、ルドミラの女神と呼ばれていたんじゃよ」「呼ばれていた? 過去形なのですか?」「そうじゃの、最後の仕事は、カリバーン歴でいえば823年になるかの……」「……お仕事? 工廠?」 ……帝国第23工廠でカリバーン歴823年!? 以前に、聞いたことがあるぞ、確かクリームヒルトさんが製造された場所……!? 私は思い当たる疑念を、一つ一つ老婆にぶつけてみた。「そうじゃよ、今の姿は思念体での……、ワシの本当の姿は、バイオロイドを生み出す人工子宮なのじゃよ……」「ひょっとして、クリームヒルトさんの?」 ……ひょっとしてこの老婆は、クリームヒルトさんの実質上の親御さんなのだろうか?「それが違うんじゃ……」「実は、あの子は本当は、アンドロイドではないのじゃ……」「え!?」 私の驚いた顔を見ながら、老婆は出されたお茶を啜り、話を続けた……。「あの子はの、超文明古代アヴァロン王国の正統な後継者なのじゃ……」「身の安全の為に、アンドロイドだと本人さえ騙しておるがな、いつかはバレるじゃろう……」「え? じゃあ王女様かなにかです?」「…
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第140話……ヴェロヴェマ元帥、転戦中!

――翌日。「……え? またそんな話かよ?」「すいません」 私は頭をかく。 私がクリームヒルトさんの件を相談したのは、蛮王様だった。「……ふむう」「他の方には内密にお願いしますね」 私が話すことに頷く蛮王様。 変にバレては、副官殿が危険になると思い、内緒にと釘を刺した。「しかし、後方に匿っても変に見られるだろうしなぁ……」「とりあえず、いまのままでいいんじゃないのかぁ?」 ブタ族の蛮王様は、ブヒブヒとそう言ってくれた。 結論は出なかったが、相談できただけで胸のつかえがとれた。「それとは別に、元帥昇進おめでとう!」「ありがとうございます!」 昔、一緒に苦労した仲だけに、御祝の言葉も嬉しかった。 その晩、私たちは再び沢山のお酒を飲んだのだった……。☆★☆★☆「ヴェロヴェマ元帥よ、麾下の艦隊を率い、逆賊クレーメンスを追討し、もって帝国領土を開放せよ!」「はっ!」 首都星セイレーンの宮殿にて、皇帝パウリーネ様より受けた命令は、帝国領土奪還だった。 命令というより、長期方針という形に近かった。 しかし、クレーメンスの勢力がグングニル共和国と戦っているので、これを攻める好機でもあったのだ。「至急、幕僚を集めてくれ!」「わかりましたわ!」 副官殿が応じる。 カリバーン正統政府、宇宙艦隊の陣容は以下の通りだった。宇宙艦隊司令長官……ヴェロヴェマ元帥総参謀長……空席◎第十艦隊司令官……ヴェロヴェマ元帥幕僚長……クリームヒルト准将砲術参謀……ポコリーヌ大佐整備参謀……熊三郎大佐兵站参謀……ヨハン中佐〇第一戦隊司令……司令官直卒、麾下50隻・第一支隊長……アンナ少佐、麾下5隻・第二支隊長……レーナ少佐、麾下5隻〇第二戦隊司令……マルガレーテ大佐、麾下25隻〇第三戦隊司令……バフォメット大佐、麾下25隻〇第四戦隊司令……アルベルト大佐、麾下25隻◎首都星系防衛艦隊司令官……パルツァー中将、麾下80隻 ……まぁ、艦隊と言っても、現在は2艦隊しかないのだ。 新設艦隊でも創るべきだろうか? それには、人材と艦艇が足りない気がする。 現在、各星系に防衛隊を配備している。 もし、新設艦隊を創るなら、星系防衛隊が手薄になる恐れがあったのだ。☆★☆★☆(……二か月後)「全艦砲撃開始!」「主砲斉射ポコ!」 
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