All Chapters of 宇宙装甲戦艦ハンニバル ――宇宙S級提督への野望――: Chapter 121 - Chapter 130

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第121話……皇帝救出作戦 ~ハンニバル発進せよ~

「艦船を生産するクマ!」「ビーム砲艦を大量に作るポコ!」「みんな頼んだよ!」 準惑星ツーリアの造船所は急ピッチで稼働していた。 もはや名指しで敵対している以上、戦力を増やすしかなかった。 資源地帯から輸送船で鉱石を運び、高炉で溶かす。 もうもうと高温の蒸気が上がる。 特殊な鋳型に流し込み、圧延加工して超硬度鋼板とした。 軸受けのベアリング工場は特にフルピッチ稼働状態で、各種発電設備からの大量のエネルギーが浪費された。 惑星破壊砲という強大な暴力に屈するのも道。 さすれども、屈さず抗戦するのも道。 我々は僅か辺境4星系の戦力で、自治を求める道を選んだ。 この4星系は非人族が多く、クレーメンス公爵元帥に従属しても、迫害される可能性が高かったのだ。☆★☆★☆標準歴元年6月。 クレーメンス公爵元帥は、擁立していたアルフォンス帝を廃し、自ら皇帝の地位に就いた。「朕は人族の楽園を目指す!」 彼の統治は、ルドミラ教の教えに沿った人族優位政策だった。「人族の純血こそ、宇宙に価値あるものだ!」 獣人や亜人などの混血も許さぬ、かなり極端な政策をとりつつ、反抗する亜人族星系には弾圧を加えた。 ……しかし、エールパ星系や辺境自治星域へは侵攻しないでいた。 その星系には、地獄の番犬ことヴェロヴェマ提督の第10艦隊がいたのだった。 クレーメンス公爵元帥には、グングニル共和国やルドミラ教国といった敵も別に控えており、内戦に全力を投じるわけにはいかなかった。☆★☆★☆「提督! これをご覧ください!」 副官殿に言われ、通信用のモニターを覗く。 通信環境が悪く、画像が粗い……。「……ヴェロヴェマ提督か!? 元気そうだな!」「!?」 荒い画面に映ったのは、現在行方不明であったパウルス元帥だった。「げ、元帥! ご無事で!」「……うむ、陛下もご無事であらせられる!」「今、とちらに?」「惑星バルバロッサの残骸の地中奥深くにおる! 飲み水や食料も少ない、至急救出を頼む……」 ……そこで通信が切れた。 どれくらいの人が無事なのかは分からないが、助けに行かねばならない。「クリームヒルトさん、すぐにみんなを集めてくれ!」「わかりましたわ!」 敵中奥深く突破しての救出作戦となる予定だった。☆★☆★☆ 幕僚たちとハンニバルの艦橋で、会議を行
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第122話……戦場の魔神ヴェロヴェマ

――俺の名はトロスト。 階級は中将。 カリバーン帝国宇宙軍第六艦隊の司令官だ。 俺はこのゲームをかなりやり込んでいる。 名のあるプログラムにチートプログラムも組んでもらって、RMTにも何百万円もつぎ込んだ。 俺のことを師匠と慕う奴もいた。神と言って慕ってくれたやつもいた。 やはり世の中、金だよな。 貧乏庶民よ、くたばれてんだ。 地球でのいざこざで、ユーザーがめっきり減ったが、俺は課金力で成り上がってやった。 なんなら運営だって買収したっていい。 なんたって俺の親父は、大手自動車メーカーの創業家で常務執行役だぞ。 ちなみに次期社長なんだ。 俺に手に入らないものは何もない。 友達も地位も、優しくて美しい女も例外ではない……。 しかし、ゲームの中で出てきやがったヴェロヴェマ。 こいつが許せねぇ……。 チートと金で稼ぎまくった俺でさえ、中将になれるのが精いっぱいなのに、こいつは大将にまでなってやがる。RMT仲間のシェリオもこいつのせいで、グングニル共和国の監獄行きだ。 許せねぇ。絶対に!! このヴェロヴェマってやつは本当に腐ってやがる。 今すぐ地獄に送ってやるぜ。 なんといっても俺は神で、皆の師匠だもんな! 今から、最高のクランマスターの戦略ってやつを見せてやるぜ。「航空機全機発艦! 繰り返す、航空機全機発艦!」 「了解!」 「宇宙空母8隻より、装備A型の284機発艦致しました!」「うむ」 「……で、敵の迎撃機は!?」「はっ! 制空戦闘機56機及び、重雷撃機一機です!」「うははは! 奴等は戦闘機が足らず、艦船攻撃用の雷撃機までだしてきたか!」 ……しかし、俺は油断しない。 これこそ俺が、みんなに師匠と言われている所以である。「全砲門開け! 長距離射撃開始!」 戦艦と重巡の大口径レーザーが敵巨艦を襲う。  味方の艦載機が、多少巻き込まれるが仕方あるまい……。 ……大事の前の小事だ。 「ち、長距離砲撃、効果がありません!」「て、敵、電磁障壁が異常です!」「なんだと!? では艦載機は!?」 「ぜ、全機撃墜されました!」 「……な、馬鹿な! 奴は魔神か悪魔か!?」  しかし、未来の大戦略家である俺は慌てない。 いつの世にも不確実なことはあるのだ……。「仕方ない、惑星破壊砲を前に出せ! 鬱陶しいハン
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第123話……ヴェロヴェマへの圧力と奴隷船

――私は トロスト中将の艦隊を徹底的に追撃した。 映画の主人公は、逃げる敵を追い詰めないものだが、私は徹底的に追うのが信条だ。 なぜなら、将来の味方の被害を少しでも減らすためだ。 味方の被害は少ないほど良い。「識別不能の艦船発見!」「メインモニターへ出せ!」「了解!」 逃げる敵を追っていると、不思議な輸送船団を目にした。  明らかに 味方に見捨てられていたのだ。  降伏勧告を送ることにする。 「停船し降伏せよ! さすれば攻撃はしない!」 「敵艦船、停止しました!」  見たことのない輸送船を拿捕した。  ドラグニル陸戦隊に乗り移ってもらう。「提督! 中には大量の人が乗っています!」 「どんな人だ!?」 「辺境星域の一般人が、寿司詰めにされています!」  ……なるほど、これはいわゆる奴隷船だ。 人類は有史以来、奴隷制度を継続してきた。  今でも、地球上には、教育も受けられず、職業の選択ができず、1日1ドル以下で働いている人が 5000万人もいると言われる。 我々の文明は奴隷とは無縁でありえないのだ。 ……どうやら この奴隷たちは、辺境星系の貧困層であった。 借金のかたに売られたらしい。 直ちに保護し、高速戦艦オムライスに迎えに来てもらう。「護衛を頼むよ!」「任せるニャ♪」 この輸送船団は、オムライスに護衛されながら 惑星リーリヤへ向かってもらった。  ハンニバルは、トロスト中将の第6艦隊を撃破した後、首都星系ツエルベルク星系へと向かった。 さしたる抵抗もなく、星系外縁を突破。 惑星バルバロッサの衛星軌道上に侵入した。 そこから見たバルバロッサの姿は 美しい地表の岩肌が削れ 痛々しい姿だった。「レーダーに敵影なし!」「よし降下するぞ!」 「大気圏突入用意!」 「耐熱シャッター閉じろ!」 「逆噴射ブースター用意!」 「……よし、地上へ降下する」「了解!」  ハンニバルは 惑星バルバロッサの大気圏に突入。  巨大な艦体が、摩擦熱で赤く焦がした。 「提督!地表に発光信号が見えますわ!」「読め!」「了解ポコ!」「ハンニバルここへ降下されたし、とのことポコ!」 指示された場所へ降下する。  逆噴射のプラスターがうるさい。  その後、指定の場所へ着陸に成功する。「提督お久しぶりです!」
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第124話……民衆奪還と屈辱の外交交渉

「提督! 謎の輸送船団に、乗っていらした方々のリーダー格の方をお連れしましたわ!」「お通ししてくれ!」「わかりましたわ!」 副官殿に連れられてきたのは白髪の老人だった。 恭しく席をすすめる。「なぜ、あんなところにいたのですか?」 早速に話をふると、老人は答える。「いや何、私どもは家も土地も全て取り上げられましてな。ついにはこの体自体も売られることになったんですじゃ……」 老人は苦笑しながら答える……。「売られる? どこにですか?」「グングニル共和国ですじゃ」 話を聞くと、皇帝になったクレーメンスは、その財政を立て直すため、帝都から離れた地域の民衆から私財を没収したらしい。 それに飽き足らず、その民衆自体もグングニル共和国に売却し、彼らに媚を売ると共に、財貨を得ようとしていたのだった。 私と戦ったトロスト提督は、偶然にも民衆狩りをした途中に、ハンニバルと出くわしたようだった。「そのようなことをしていては帝国が、なり行かなくなりますな……」 ……と言うと、「あなたも軍人さんじゃろ、同じようなもんじゃないか」 と言われ、二の句が出なかった。 とりあえず、彼らは惑星ベルに移住してもらうことにした。 しかし、その数なんと6000名。 生活物資だけでかなりのモノが必要になる。 この世界は食料と並んで人間が大変貴重だ。 労働力でもあり、生産力でもあり、そして兵力でもあるのだ。 彼らを敵にすることはできない。 いや決してしてはいけないのだ……。☆★☆★☆ 惑星リーリアで、皇帝パウリーネ様がご無事のことを内外に宣伝する。 しかし、敵対するクレーメンス帝国の勢力圏の星系からは無視されることになった。 多分、惑星破壊砲が怖いのだろう。 情報によると、あの兵器はもう一つあるらしい。 次に機会があれば必ず破壊しておきたいところだ。 結局、皇帝パウリーネ様に従う星系は五つだけと言う結果になった。  ……しかし、祝いの席にややこしい客も来た。 グングニル共和国と、ルドミラ教国からの外交官である。「ご無事で何より……」 共和国からの使者は、形通りの挨拶だけして帰っていったが、問題はルドミラ教国からの使者であった。「 ご無事で何より……」「さて、 我が国は貴国と仲良くしたいと思っておりまする」「それは嬉しく思うぞ」 パ
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第125話……金山豪という男

 俺の名は、金山豪(かなやまつよし)。 ゲームの中での名前はトロストという。  ……今、居間で防衛省の役人と会ってやっている。「金山さん ぜひ地球を救ってやってください!」 「まぁ、俺に任せろ!」 「だがな! ヴェロヴェマって奴に邪魔させんじゃねぇぞ !」「それはもう、わかっております。さっそく本人へ厳重注意の方をさせていただきましたので!」「おう、わかってんじゃねぇか!」「はい、ではよろしくお願いします!」 頭をペコペコして 役人風情が出てきやがったよ。 ……やだねぇ、宮使いなんて。 俺も週に3日、コンビニにバイトに行ってるがな。 金はあるけど、周りにニートとか呼ばれたくないしな。 ……てか、ヴェロヴェマって奴は、なんで接続できているんだろうなあ。 日本で発売されているヘッドギアタイプのゲーム機は、もうあのゲームに接続できなくなっているはずなのにな……。 ……ちっ、まあいいか。 でも、今度あったらただじゃおかねーぞ。 俺は部屋に戻り、お袋が買ってきたデパートのステーキ弁当を食った後、カプセルに入って向こうの世界へログインした 。☆★☆★☆「次は頼むよ、トロスト君!」「はっ!」  今や唯一の上司とも言えるリーゼンフェルトの旦那に、近日中の報告をする。 ヴェロヴェマの奴には少し負けたが、パウルス提督を捕虜にする手柄を挙げた。 ……まあこれでチャラってとこだ。 何しろ、クレーメンスの親父も、リーゼンフェルトの旦那も、そろばんが全くわかっちゃいねぇ。 俺は以前より、帝国の国営企業の株の過半数を秘密裏に買い占めていた。 つまるところ 、実はクレーメンス帝国の真の実力者は俺様ってことだ。 ……簡単だな、つまるところ、地球もこっちもコネと金次第ってことだ 。 しかし ヴェロヴェマってやつのおかげで、クレーメンス帝国の戦力はボロボロだ。 まあしかし、戦いに負けても、勝負に勝つってのが、俺様の流儀だ。 俺はその晩、トール技術少将の元を訪れてやった 。「例の物はできてるかい?」「えぇ、なんとか 」 薄気味の悪い水槽の中に 、アンモナイトのようなものが培養されている。「こんな大きさじゃ実用にならんが?」「いえいえ、すでにアルバトロス星系の外縁に、戦闘用の500m級を50体ほど駐機させております。「気が利くじゃねえ
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第126話……砲術長のくしゃみとチョコレート

――夕食後のひととき。 私が艦長室でくつろいでいると、クリームヒルトさんが入ってきた。「おじゃましますわ!」「どうぞ」「はい、提督」「何?」 彼女はラッピングされた大きな包みを渡してくれた。「今日は2月14日ですわ」「チョコレートです、どうぞ!」「わぁ、ありがとう!」 2月14日、それは私のような人間にとっては、悪夢の一日である。 というか、毎年その存在を忘れていた……。 ……が、この世界では違ったようだ。 副官のクリームヒルトさんがチョコレートをくれた。 しかも大きい、見たことのない大きさだ。 感激して涙が出そうだ。「早速、食べていい?」「どうぞ、はい、あ~ん」 なんと『あ~ん』してもらった。 ……嬉しい、めっちゃ嬉しいぞ。「提督、美味しくなかったですか?」「なんで?」「いえ、目から涙が出てますよ」 ……ああ、恥ずかしい。 彼女の頭を撫でてごまかす。「いやありがたくて、こんな大きなの貰ったことなくて、本当にありがとう!」 その後も、私が嬉しそうに食べると、彼女も喜んでくれた。「じゃあ、もう遅いから失礼させて頂きますね」 名残惜しい時間が過ぎる。 良い時間は速く流れるものらしい……。「おやすみなさい」「い……、いつか、私も貰ってくださいね」 彼女はそれだけ言うと、部屋から逃げるように出ていった。「ぇ!?」 ……今日も銀河は綺麗だった。☆★☆★☆――俺の名はトロスト。 今、制圧した星系の捕虜たちの見分をしている。 ……この一時はたまらない。 ああ、優越感が俺の心を満たしてくれる。 最高だ!!「お前美人だな!」 一人の若い女の手を引く。「え!? 何をなさいます?」「いやなに、機嫌をとりたい上官にお前を献上するだけだ!」「や、やめてくださいませ、私は来月結婚の予定の身の上なんです!」「知らんな、ただ俺の上官は美人が好きだということは知っている。 まあ俺の出世のための足がかりになるんだ。光栄に思ってくれよ、ははは……」……これだから勝利ってのはやめられん。 艦隊戦で勝つだけでは、俺からすれば勝利とは言えない。 地上戦も合わせて勝って、捕まえた捕虜を自由にする、この一時が最高だ。 これこそ勝利と言える。 ……めぼしい女たちを見繕った後。 俺は次に 、占領星系の領主もどきの
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第127話……外務省の会見劇

――グングニル共和国艦隊は、クレーメンス帝国の生体艦隊に苦戦していた。「敵影確認!」「敵、甲殻型宇宙海獣28体、軟体型宇宙海獣47体!」 クレーメンス帝国の操る生物は、超巨大なカニやエビのような甲殻類の宇宙海獣と、同スケールのイカやタコのような宇宙海獣で構成されていた。「全艦艇、総力戦用意!!」「全砲門開け! 主砲斉射!」 戦艦や重巡洋艦の大口径ビーム砲の光条が、宇宙海獣たちを次々に襲う。 凄まじいエネルギー量が、大質量体に叩きつけられた。 しかし、超硬質の外皮や、超再生力の軟体にほとんど効果は現せなかった。「命中確認、されど効果極小を確認!」 砲術担当士官からの情報を聞き、グングニル共和国の指揮官の表情は歪む。「ここより後背は、人口が多い有人星系だ! 撤退は許されん!」「了解! 砲戦継続!」「ミサイル発射!」 しかし、効果は虚しく……、「敵触手に、次々に高エネルギー反応確認!」「いかん! 全エネルギーをシールドに回せ!」「了解!」 ……しかし、この後に共和国艦隊は残骸と化し、宇宙の藻屑となった。 クレーメンス帝国艦隊は更に、惑星攻撃戦を展開。 抵抗する有人惑星には、惑星破壊砲を使い、容赦なく粉々にしていったのだった……。☆★☆★☆「えっさ、ほっさ」「今度の領主さまは良い人だべな」「んだべ」 惑星ベルの地表は、海面が多く陸地は少なかった。 しかし、誘致民の増加により、どんどん農地が広がり、今期の予想食料生産高がうなぎ登りだった。「旦那様、緑が広がっていきますな!」「……ああ、奇麗だな」 私は都会育ちだったので、田舎暮らしに憧れたこともある。 だが、そのほのぼのとした理想の情景は、目の前に実現された形で広がっていた。 澄んだ小川に水車が回り、黄金色の耕作地が広がっていた。☆★☆★☆「造船の具合はどう?」「順調クマ♪ 人手不足が解決して嬉しいクマ♪」 移民の大量受け入れで、従業員が補充された造船部門のクマ整備長はご機嫌だった。 彼の整備服は油で汚れ、充実した忙しい様がよくわかる。 ここ準惑星ツーリアは、惑星ベルと違い、自然が乏しい岩石惑星である。 よって、造船を中心とした工業を重視させていた。 そのための資源調達を行うために、宇宙港を整備し、商人を呼び寄せた。「いらっしゃい、いいお酒がはい
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第128話……通商破壊と共和国元老議会

――人類は歴史的に見て、敵地に容赦がない。 破壊活動しかり、略奪行為しかり、焦土戦術しかりである。 この世界の人類もまた、古代の熱核兵器での大戦争時に、敵の継戦能力を奪うために、汚染兵器を大量に使用した  この汚染兵器とは、その惑星で将来食物が育たないように有害な電磁波をばらまく、地雷のような兵器を、敵地に天文学的な数量埋設したのだ。 この兵器をばら撒かれた惑星は、半永久的に植物が育たない、死の惑星と化した。 それは人工的な食料プラントにおいても同じである。 この地の人類は死の惑星を多数作り出し、その許容できる人口を恐ろしく減らしたのだった。 よって、食料の育つ未開の辺境惑星から、食料が育たない人口が多い惑星へと、宇宙船で食料を輸送せねばならなかったのだ。 ……これが、今日の激しい食糧不足の元凶事情であった。☆★☆★☆(……グングニル共和国輸送艦隊、旗艦艦橋)「超巨大質量がワープアウトしてきます! その数2!」「……こ、甲殻型の宇宙海獣です!」  情報担当士官が悲鳴を上げる。「全艦シールド全開、全力退避!」 艦橋で、輸送艦隊の司令官が即座に退却を指示した。「了解!」 しかし、宇宙海獣はその巨体に似合わぬ俊敏さも持ち合わせていた。――触手からエネルギー波が放たれる。「護衛艦大破! なおも敵至近!」  グングニル共和国艦隊は、クレーメンス帝国が組織的に行う、宇宙怪獣と特殊潜航艇による通商破壊行為に頭を悩ませていた 。 彼らは神出鬼没で、共和国主力艦隊が来た頃には、すでに姿をくらましていたのだ。 ……しかも、宇宙海獣にはこれといった有効な対抗手段は未だなく、グングニル共和国の経済はずたずたに破壊され、もはや休戦もやむなしという、情勢に追い込まれていた。☆★☆★☆(……グングニル共和国元老議会) ここには、共和国議会300名から選ばれた、各党派の代表9名が出席していた 。 共和国は古の熱核兵器戦争の反省により、独裁体制を避け集団指導体制を敷いていた 。 各地方の星系から議員を選出し、さらにその議員たちが元老と呼ばれる、上級議員を選出していた 。 ……主にグングニル共和国の政治は、この元老たちが重要な指針を示すことで、成立していたのだった。「もはやクレーメンス帝国と、不平等であれども休戦協定を申し込むしかないと思
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第129話……王女様ケロ!?

「はい……、しかし、私の一存では……」副官殿が電話している。相手は誰だろう……。「提督、少しお願いが……」 電話を終えた副官殿が、私に話しかける。「お願い? 何でしょうか?」「いえ、宇宙船を一つ借りられませんか? 出来れば戦闘艦が良いのですが……」「ぇ? なんで必要なの?」「良かったら理由を話してみて……」「……実は……」 副官である彼女が言うには、昔のアンドロイド仲間が住む惑星が、宇宙海獣によって被害に遭っているとのことだった。「ああ、じゃあハンニバルで行こうか? 最近特には用事もないし……」 確かに、近隣星系の防衛には気を遣う必要があったが、最近は艦艇も充実してきたため、少しくらいの期間なら遠出しても良さそうだった。「僕も行くポコ!」「私も行くニャ♪」「吾輩も行くケロ!」 ぇ? 最後は聞きなれない声が……。 ……一体誰? 声のする方角を見ると、全長3cmくらいのカエルさんであった。「どちら様で?」 私はカエルさんに尋ねる。「先ほどは民が世話になったな! 吾輩は宇宙アメーバの王女ケロ!」「なにやら、物々しい様子、助っ人致すケロ!」 なんとカエルさんは、2kmを超える巨大アメーバたちの王族らしい。 スケール感がイマイチピンと来ないし、そもそもいつ艦内にはいったんだ?「じゃあ、助っ人お願いしますね!」「マカセロケロ!」 こんな小さなカエルさんに何かできるとは思えなかったが、せっかくのご厚意だし、連れていくことにした。「提督、お聞き届け、ありがとうございます!」 トランジスタグラマーの副官殿に抱き付かれる。 彼女の体はバイオロイドなので、……その、その、や、柔らかい……。「まぁ、困ったときはお互いさまで」「お互い様ポコ!」「お互い様メェ~!」 結局、我が第十艦隊の幕僚の中からアルベルトを除いた全員で行くこととなった。 目指すはグングニル共和国のアルファ星系。 パウリーネ様を安心させるために、戦力はハンニバル単艦で向かうこととした。「みんな頼んだぞ!」「「「了解!」」」☆★☆★☆【羅針眼】発動!! 眼力を上げ、接続した艦のコンピューターと共に、アルファ星系までの最適な航路を探す。 見知らぬ宙域への出撃なので、【羅針眼】を使って難所を避ける必要があったのだ。「航路設定良し!」「エネル
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第130話……宇宙海獣の秘密!?

「消火班急げ!」「破孔があるブロックに充填物注入開始!」 ハンニバルの装甲ブロックに大きな穴が開いていた。 これが重装甲のハンニバルでなければ、艦が真っ二つになっていたであろう攻撃だった。「左舷回頭、反撃開始!」「艦載機発艦!」「近距離重粒子ガトリング砲撃ち方はじめ!」――ドドドドド 無数の近距離砲を繰り出し、宇宙海獣に反撃するハンニバル。 ……しかし、これといったダメージは与えられない。「どうしましょう?」 不安そうな顔をする副官殿。 私の顔を見られても、策はないしどうしよう??「吾輩に任せろケロ!」「宇宙海獣同士、思念波で話しかけてみるケロ!」「頼みます!」 藁をもつかむ感じで、カエル王女様の思念波での会話に賭ける……。 …………。 ……。「……お返事がないケロ!」 駄目なんかぃ!?「おかしいケロ、相手が生き物でないみたいケロ!」 ……宇宙海獣がおかしな場所に現れて、通商破壊行為。 ひょっとして、操られているのかな? 私はふと疑問に思った。 ……よし!――スキル【魔眼】発動! 眼圧が上がり、網膜が腫れ、目の前が真っ赤になる。 私は【魔眼】で宇宙海獣の内部を垣間見る。 ……【異常探知】 うん!? 宇宙海獣の中枢神経系に、不可思議な機械が埋め込まれている!?「砲術長! 敵宇宙海獣のFD-468ブロックを集中射撃!」「了解ポコ!」 至近距離から、ハンニバルの全火砲が宇宙海獣の機械が埋め込まれた一部分だけを狙う。――ドドドドーン 流石に、部分的に電磁障壁を貫き、爆炎が上がる。 宇宙海獣に有効弾を与えたようだった。『痛いわぁ~!!』 突然、カエル王女の体を介して、こちらにも強烈な思念波が飛んできた。 さらに、カエル王女と、宇宙海獣が思念波で会話する。 …………。 ……。 どうやら、この宇宙海獣は精神操作用のモジュールを埋め込まれていたようで、それから解放されると、何処かへ次元跳躍していった。 ……しかし、まだなんだか違和感があるぞ!?――スキル【羅針眼】発動! すぐ近くの宙域に、ダークマター隠蔽型の潜航艇を発見する。「砲術長! YF-698宙域へ向けて砲撃!」「了解ポコ!」――ズシィーン! 何もないはずの宙域にハンニバルが砲撃すると、爆炎が上がり、大破したダークマター潜航
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