自分の身を守るため、小雪は裕一郎の粉飾決算の証拠を暴露した。警察に裕一郎を逮捕させれば、自分のことは見逃してもらえる。そう考えての行動だった。裕一郎は、小雪に裏切られるとは夢にも思っていなかった。悔しさに歯ぎしりした。「小雪、俺がどれだけお前に尽くしてきたと思ってるんだ。よくも裏切れるな!この恩知らずが。お前が暴走運転で人を傷つけたとき、早苗が通報するのを止めるんじゃなかった」「自分がいい人だとでも思ってるの?浮気したのはあなたでしょ!北川さんに捨てられて当然なんだよ」口論はどんどん激しくなり、やがて掴み合いの喧嘩にした。最後は警察が介入してその茶番を止め、二人とも連行されていった。小雪が裕一郎を裏切ったことに、私は少しも驚かなかった。彼女の人柄は昔から悪かった。ただ裕一郎が彼女に夢中だったから、気にしなかっただけだ。動画を見終え、グループチャットを抜けようとしたとき、裕一郎からメッセージが届いているのに気づいた。【早苗、ごめん。俺が間違っていた。お前を騙したり、小雪を甘やかしたり、あいつが琴里を死なせるのを見逃したりするべきじゃなかった】【今になってようやくわかった。小雪はただの恩知らずで、俺があいつに尽くす価値なんてなかったんだ。やっと目が覚めた。俺にとって本当に大切なのはお前だけだった。小雪の言葉は全部嘘で、心から俺を愛してくれていたのはお前だけだ……】【早苗、本当に俺が悪かった。琴里が死んだのは俺のせいだ。これから刑務所できちんと罪を償う。だから出所したあと、もう一度だけやり直すチャンスをくれないか】【今度こそ絶対にお前を大切にする。もう二度と裏切ったりしないから……】似たような言葉を彼は何度も口にしてきたが、一度として守られたことはない。私は返信せず、冷めた目でそれを一瞥すると、裕一郎をブロックした。裕一郎と小雪の嫌がらせから解放されて、私は新しい生活を歩み始めた。もともと能力には自信があった。入社して半月も経たないうちに、大口の案件をいくつも獲得し、売上トップの座を独占するようになる。社長はすぐに私を昇進させ、昇給まで上乗せしてくれた。毎日が驚くほど心地よく、充実していた。この先一生、裕一郎と顔を合わせることはないと思っていた。ところが半年後、彼のほうから直接私のもとへやって来たのだ
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