氷のように冷徹な夫と結婚し、これまた冷徹な息子を産んだ後、私はようやく待望の女の子を身ごもった。食事の時、私は息子に「妹は欲しい?」と探りを入れてみた。しかし、息子は首を横に振った。「僕、もう妹がいるよ」私は目を丸くし、息子が冗談を言っているのだと思った。そもそも家にぬいぐるみなんて一つもないのに、妹なんてどこにいるのよ。次の瞬間、夫が突然口を開いた。「俺、浮気した。あの子が妊娠した」「昨日羊水検査をしたら、女の子だった」私はその場に呆然と立ち尽くした。私を見つめながら、夫はゆっくりとした口調で言った。「子供は産ませるつもりだ。あの子は若くて健康だし、頭のいい子が生まれるはず」心を鷲掴みにされたような感覚。背後に隠した妊娠証明書が突然重くのしかかり、息が詰まるような思いがした。「どうして?」込み上げる感情を押し殺し、私は必死に口を開いた。十数年も愛し合ってきた夫、結城涼真(ゆうき りょうま)が、突然浮気を宣言するなんてどうしても信じられなかった。私の視線を受け止め、涼真は少しも目を逸らさない。「俺は半年前、薬を盛られて、うっかり若い子と寝ちまったんだ。その時は金で追い払ったんだが、なんとあの子、妊娠したんだ」彼は無意識に口角を上げた。「理人が女の子だと聞いて、どうしても産ませてほしいって頼んできた。あの日、息子がどれだけ嬉しかったか、君は知らないだろう」男は愉快そうに笑っていたが、私は胸の奥まですーっと冷え込んだのを感じた。息子の結城理人(ゆうき りひと)に目を向けると、彼には悪びれる様子が全くなかった。「僕、妹が欲しいんだ。誰が産んでも同じ」涙が抑えきれずにこぼれ落ちる。私のことをずっと命より大切にしていた夫と息子が、どうしてこんな風になったのか、どうしても信じられなかった。涼真はため息をつき、シルクのハンカチを差し出した。「そんなに泣くかよ。俺たちの世界じゃよくあるだろ。君ならとっくに慣れてると思ったんだけど。安心しろ、子供が産まれたらあの子は海外に行かせる。君の立場を脅かすようなことはしない」彼の手を払い除け、私はうつむいて泣き声を押し殺した。昨日まで、私は周りの誰もが羨む妻だった。涼真は十数年変わらず私を愛し、スキャンダルなど一度もなかった
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