大型連休、私は夫の谷口湊(たにぐち みなと)と旅行に行く予定だった。しかし、湊は今回も急に地方出張が入ったと言い、私との約束を直前になって反故にした。だが、彼の秘書である原田睦月(はらだ むつき)のインスタには二人がビーチで寝そべる写真が上がっていたのだ。【うちの社長、この前の連休は一緒にお月見をして、今回の連休は一緒に海に来てくれた。次の連休は、どこについて来てもらおうかな。みんな、映える場所教えて!ちなみにうちの社長、かっこよすぎ】コメント欄もかなり盛り上がっていた。私は画面を見つめ、冷静にこう書き込む。【役所がいいんじゃない?写真も撮れるし、入籍もできるから】私がそんな投稿をすると、事情を知る同僚たちが、私が湊と大喧嘩するんじゃないかと勝手に心配して連絡してきた。すると、私が連絡する前に、先に湊から電話がかかってきた。彼は呆れた声でこう言った。「こんな些細なことで、いちいち騒ぎ立てやがって。一緒に日光浴くらい何なんだ?出張先で息抜きしちゃいけないのかよ?ただお前と旅行に行けなかっただけだろ?それなのに、大げさすぎ。今すぐさっきのコメントを消せ。睦月がみんなにどう思われるか……そもそも、俺たちはもう入籍してるんだから、これから一緒に過ごせる休日なんて腐るほどある。次の休みは付き合ってやるからさ」この言葉、今までにどれだけ聞いただろう。私は皮肉な笑みを浮かべた。次なんてもうないのに。連休が終われば、離婚届受理証明書が手元に届くのだから。電話を切り、会社に戻ると、同僚たちは私が社長である湊からどんな罰を受けるのかをひそひそと予想し合っていた。また、睦月のために飲み物を買いに行かされる?それとも半年分のボーナスが削られて、睦月の慰謝料にされるのか?私が戻ってきたことに気づくと彼らは黙り込んだが、私を見る目は依然として好奇心に溢れていた。しかし、そんなことにはもう慣れている。どちらにせよ、湊と睦月と私の3人の間に複雑な関係があることを皆知っているのだから。湊は私の夫だが、とにかく秘書の睦月ばかりを贔屓した。睦月は湊のコネで入社してきて、さらには多くの権限を与えられていたが、いつも仕事で失敗ばかりしていた。それなのに、湊は常に睦月を信じきって必死に支え続けた。それどころか、私が半年かけてやっと
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