私は唇をわずかに持ち上げ、茜の望みどおり、こう返信した。【末永くお幸せに】スマホを閉じようとした瞬間、今度は竜也から着信があった。無視して電話を切った。すると、畳み掛けるようにメッセージが送られてきた。【絢香、すぐ戻るからその場で待てと言っただろう?なぜ言うことを聞かないんだ?】【今どこにいる?どこの空港に行くつもりだ?場所を送れ。すぐ迎えに行く】【……】滑稽すぎて笑えてくる。8年間ずっと竜也を待ち続けていた頃は振り返りもしなかったのに、私が本気で離れると決めた途端に追いかけてくるなんて。残念だけど、もう遅い。私はもう愛想が尽きたし、二度と戻るつもりもない。竜也からの連絡が煩わしくなり、私はスマホの電源をオフにした。空港へ到着後、無事に保安検査場を通過し、咲希に別れを告げた。いざ搭乗しようとした時、背後から聞き覚えのある男の声がした。「絢香、待て!」振り返ると、そこには竜也が立っていた。汗だくで肩を揺らしており、必死に走ってきたのが分かった。呆気にとられている私を前に、竜也は息を切らしながら恨めしげに言った。「絢香、なぜメッセージを返さない?なぜあそこで大人しく待っていなかった?このまま君を永遠に失うかと思ったんだぞ!」彼を押し返し、冷ややかに見返した。「なぜここに?」竜也は目を真っ赤に潤ませ、悲しげに言った。「航空会社と病院に手当たり次第電話をかけ、やっと突き止めたんだ。道が渋滞していたから、車を降りてずっと走ってきた。絢香、俺が悪かった。俺と茜の距離感のなさに、君が怒っていたんだと分かった。もうあんなことはしないと誓う。お願いだ。行かないでくれ。海外なんか行かずに、俺とやり直そう。ゼロからやり直そう。今度こそ、必ず幸せにするから……」沈黙する私を見つめ、竜也は大きく息を吸い、何かを決意したように口を開いた。「もし残ってくれるなら、今すぐ籍を入れて式を挙げよう。だから、残ってくれないか?」「その必要はないわ」冷たく突き放すと、竜也は眉をひそめた。「俺がここまで譲っているのに、まだ何が不満なんだ?俺に土下座までしろというのか?」私が首を横に振ると、竜也は少し期待したような顔をしたが、私の冷徹な声がそれを打ち砕いた。「たとえ土下座
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