月曜日の朝、僕はいつもより三十分早く起きて、洗面台に向かった。 今日は、学校でスクールメイク・デビューする日。 土日の練習の成果を発揮する時が来た。 「まず、ファンデーションはごく薄く……」 あかりちゃんやデパートの美容部員さんに教わったとおり、丁寧にメイクしていく。 学校だから、先生にバレるほど派手にならないように。でも、ちゃんと可愛く見えるように。 アイシャドウは、肌馴染みのいいピンクブラウンをほんの少しだけ。チークも血色が良く見える程度に自然な感じで乗せ、リップも透明感のあるコーラルピンクで控えめに仕上げる。 「うん、いい感じ」 鏡の中の自分を見て、僕は満足して頷いた。 素顔の時よりも透明感があって、でも化粧してます感は強すぎない、ちょうど良いナチュラルメイクになったと思う。 「翼、朝食はできて……あら?」 リビングに出ると、エプロンを着けた僕を見た理子先輩が目を丸くした。 「とても素敵ね。スクールメイク、完璧よ」 「ありがとうございます!」 「みんな驚くでしょうね。頑張って」 理子先輩の温かい励ましで、僕は勇気をもらった。 朝食を済ませて、一人で学校に向かう。 通学路を歩いていると、今まで以上に周りの視線を感じた。 すれ違う他校の男子学生や、同じ学校の生徒たちが、僕の顔をハッと振り返って見ていく。 緊張するけど、自分が可愛い女の子として見られていることが、同時にちょっと嬉しい気持ちもあった。 学校の校門前で、僕はポケットから小さな手鏡を出して最終チェックをした。 「よし……頑張ろう」 深呼吸をして、校内に足を踏み入れた。 * * * 昇降口で靴を履き替えていると、後ろから声をかけられた。 「翼ちゃん――」 振り返ると、桜井さんが立っていた。 「おはよう、桜井さん」 「おはよう。あ……」 桜井さんが、僕の顔をじっと見つめて動きを止めた。 「翼ちゃん、今日、メイクしてる?」 「うん……どうかな? 変じゃない?」 僕は少し緊張しながら聞いてみた。 「……ううん。とても似合ってるよ。すごく可愛い」 桜井さんが微笑んでくれる。でも、その笑顔がなんだか少し硬く、複雑そうに見えた。 「ありがとうございます」 「いつから始めたの? 急にすごく上手
閱讀更多